近い将来、当たり前になるテクノロジー

自動走行車

運悪く運転免許を失ってしまったため、5年以内に自動運転の時代が来ないと困ります。自動走行車が描く未来とはどのようなものだろうか。それはおそらく、従来の自家用車が自動運転になるというより、タクシーやレンタカーに近いだろう。ドライバーがAIになっただけ、行き先を入力して、目的にたどり着く足として公的に利用される。

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「予告された殺人の記録」感想・書評

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これはある小さな町で起こった殺人事件について、調べた記録である。調査を行ったのはその町で生まれ育った男であり、事件当時も町に居合わせていた。事件から数年後、彼は何人もの関係者から話を伺い、まるで刑事か探偵のように検証している。この事件は初めから犯人がはっきりしている。被害者サンティアゴ・ナサールを殺した犯人は、パブロ・ビカリオとペトロ・ビカリオの双子の兄弟。殺人の動機もわかっている。事件後に裁判が開かれ、判決も出ている。それでは一体何を調べているのだろうか。事件からは既に年月が経過しているにも関わらず、町の住民一人ひとりに丁寧な聞き込みを行い、調書記録を作る目的とは。

  • 予告された殺人 
  • 違う意味での迷宮入り
  • リアリズム小説
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「君の名は。」vs「まどか☆マギカ」

先月に見た「君の名は。」の流れでアニメ映画をいくつか見ており、新海誠は「秒速5センチメートル」と「言の葉の庭」を見た。それ以外にも亡くなられて気になっていた、今敏の「パプリカ」「パーフェクトブルー」を見た。他に何かあるかなーと思っていたら、ああそうだ、手を出していなかったなーと思いつつ遠ざけていた「まどか☆マギカ」があった。これは2011年のTVアニメで、当時話題になっていたのは知っていた。友人に勧められたこともあったが、あえて見ようとは思わなかった。今回たまたま劇場版の総集編と続編があることを知り、「魔法少女まどか☆マギカ」っていうタイトルで子供向けみたいな絵だけど、そんなに凄いと言われるんだったら見てみようと思った。

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「何者」感想・書評

一番最初に抱いた感想が「気持ち悪い」だった。この小説は新卒の就職活動とTwitterがテーマになっている現代劇だ。登場人物たちは表面的に友人としての体裁を繕いながら、お互いのTwitterを確認して毒づく。痛いヤツだという本音をどこかで発散しながら、自分もまた痛い誰かを演じる。Twitterというツールは現代的だけど、その構造というか形式そのものは過去から、国を跨いでも普遍的にあるもので、就活時代にTwitterがなかった僕のような世代でも、ああ、見てられないという感情を抱く。そういう人間の普遍的な気持ち悪さをよく表していた。それはかつての自分にも、もしくはいまだに自分にも通っている気持ち悪さであり、村上春樹的なものとはまた違った無自覚な、風呂敷を大きく広げられない気持ち悪さだった。この「何者」は言うならば「地獄のミサワ」が346ページに渡って書かれている小説。正直言って吐き気を催す。しかし読んでしまう。

  • 気持ち悪さの本質
  • 気持ち悪さの地域性
  • 自分が「何者か」ぶっていたとき
  • 早めに読むのがおすすめ
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「知っておきたいマルクス資本論」感想・書評

冷戦の時代、赤狩りが行われていた西側諸国では「俺はマルクスなんて読んだこともない!」と叫ばざるを得ないほど、なかば禁書扱いされていた資本論。名前だけは誰でも知っており教科書にも載っている。しかし、実際にその中身を熟知している人はどれぐらいいるのだろう。読んだことがある、読み終えた人も多いかもしれない。「ナニワ金融道」というマンガを描いた青木雄二はマルクス主義者として有名であり、単行本の著者欄にはいつも共産主義のメッセージを載せていた。講演を頼まれると呼ばれた場に関わらずいつも「唯物論とは」などと語りだして止まらなかったという。資本論には一体何が書かれていたのだろうか。赤は危険思想だと言われつつも、気になる。僕も一度だけ資本論を手に取ったことがあったけど挫折した。読み進めるのが非常に大変で、そのため解説書がたくさん出ている。その中で今回選んだこの「知っておきたいマルクス資本論」を読んだ。正直言ってこれすらも読むのが大変だった。

資本論は全3部あり、2部3部はマルクスの死後エンゲルスによって草稿が編集され、刊行された。この入門書では、マルクスが唯一自身の手で刊行まで関わった第1部だけを対象に解説されている。

  • 経済の本だった
  • 何のために資本論を知るか
  • マルクス経済学
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内容を重視するなら、移転先はMediumか

最近のブログサービスに限界を感じていたり、今までとの変容についていけなかったり、ちゃんと中身のあるコンテンツを読みたい、書きたいという人が出てきていると思う。そういう人にはMedium(ミディアム)がいいのかもしれないと思ってきた。

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オタク時代の終焉と「好き」をわかってもらう新たな時代

昨日、岡田斗司夫のyoutubeチャンネルをいくつか見ていた。まず、岡田斗司夫って誰っていうところにさらっと触れておくと、過去オタキング(オタクの王)を名乗りテレビなどのメディアで先頭に立って活躍していた人、エヴァンゲリオンを作った会社であるガイナックスを立ち上げた人、去年の初めに9人彼女がいることが話題になった人というぐらいでいいかな。この人を初めて知ったのは、高校生のときにBSマンガ夜話というマンガ解説の番組だった。マンガを技術的、文化的、専門的に解説する姿を、僕はこの番組で初めて見た。夏目房之介という人が「夏目の目」というコーナーを持っており、マンガを文法的に批評するとか、そんな番組だ。あれは衝撃だった。島田紳助が漫才のテンポと構成を語っていたときぐらい衝撃だった。僕が見たのは自分が好きなマンガの回だけなんだけど、大衆の娯楽であるマンガについてあまりにも真面目に、ただのファンとは違う目線から楽しそうに語っている番組というは他に類を見なかった。しかもその語っている内容というのが、どこかで感じていたけれど言葉に出来なかったようなものであったり、今まで知らなかったような裏設定、自分にはない観察眼や理論など、自分が作品に対して抱く「好きである」という感情を補強するような内容だった。岡田斗司夫とBSマンガ夜話についてはWikipediaがかなり詳細に書かれているので、興味ある人はこちら。

岡田斗司夫 - Wikipedia
BSマンガ夜話 - Wikipedia

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東京みたいに遊ぶところはないけれど

カナダにいたときは、トロントという街に住んでいた。カナダでは一番大きな街ということだったが、東京と比べれば非常に小さく、オーストラリアのシドニーのほうがまだ発展していたように思う。トロントで知り合った日本人も、東京出身の人たちはみな「何もなくてつまらない街」と評していた。

オーストラリアでは滞在の半分ほどをパースという街とその近郊で過ごした。パースはオーストラリアで4番目の街ということだったが、規模はかなり小さい。街が発展しているかどうかを見る基準として、地下鉄網の発達を見ることがあるけれどオーストラリアに地下鉄はない。路面電車かバスでカバーされている。メルボルンやパースなどの市街地では乗車無料の区間も広い。パースは住みやすい街だと言われてるが、その反面見るものは何もない。

海外は日本よりもっと進んでいると思っていたが、全然だった。特に東京なんかと比べたら、遊ぶところも店も物も情報も全然少ない。こっちの人たちはいったいどうやって遊んでいるのだろうと思っていた。街中ではカフェに入ったりバーで飲んだり、クラブへ行ったり、それだけ。アウトドアだとでっかい公園で寝そべったり海で泳いだり、スケートやローラーブレードは移動手段として普通に利用されており、壁や障害物のある公園もどこでもある。庭でバーベキュー、ホームパーティーも多い。どこかの家に集まって酒飲んで喋って、それだけ。日本と一番違うのは家で遊ぶ比率が高いことだろう。

ニューヨークなどの大都会、東京に優る大都市を除けばどこもそんな感じ、バー、クラブ、家、公園、飲んで喋って運動してそれだけ、単調だ。お金も全然使わない。あれ、じゃあ日本では一体何をしていたんだろう。僕らの世代だと学生の頃はカラオケ、ボーリング、ダーツなんていう屋内施設、ゲーセンもときどき行った。ライブに行ったりスポーツ観戦、映画や舞台、ミュージアムに行ったりイベントに参加、買い物、そんなところだろうか。消費してばかりだ。日本の都市は確かにそういうのが揃っている。レストランも掃いて捨てるほどある。東京から海外の小都市へ行くと、何もなくてつまらないと感じるのもわからなくはない。

東京には住んだことないし、そういうのが無くても別にいいんじゃないかと思う。人がいて集まって飲んで音楽を聞いて何かをしていれば、それだけでいいんじゃないか。日本に無いものも一つあった。

このSkrillexのSUMMITという曲に使われたビデオがすごく好きで、これはオーストラリアのパースで作られたものだ。こういう日常風景って日本ではあまり見かけなかった。

「辺境中毒」感想・書評

先日、Kindle版が日替わりセールで199円になっているという話を聞き、買って読んだ。こちらはアヘン王国から日本に帰る経緯や西南シルクルードは密林に消えるとは別の機会にミャンマー、カチン州を訪れた話など、今までの紀行における本編に収録されなかった裏話、雑誌連載の書評、作家との対談をまとめた本だ。大槻ケンヂとの対談が面白かった。少しだけ引用して触れていこう。 

【カラー版】辺境中毒! (集英社文庫)

【カラー版】辺境中毒! (集英社文庫)

 
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