「写真の読みかた」感想・書評

岩波青版のかなり古い本「写真の読みかた」。書かれたのは1963年、著者は名取洋之助という報道写真家、編集者。ドイツで報道写真家としてキャリアをスタートし、報道写真という概念を日本に持ち込んだような人。

この本は「写真の読みかた」というタイトルだが、書かれているのはどちらかというと「写真の見せかた」だった。しかも最初は写真の歴史からはじまり、全体の半分ぐらいは著者の自伝に割かれている。見せ方にしても、著者はアート写真に批判的な人で、主に新聞や雑誌に掲載する報道写真について書かれている。

よい写真とは、写真の最大の機能であるコミュニケーションの手段として、最もわかりやすく、面白く、かつ感動させるものであるべきだった。作者が自分と、ごく少数の仲間だけで楽しむ写真などは、最大の機能を忘れたものとして、否定すべきであったのです。 p89

  • 写真だけを見ない
  • 誰が撮ったかは重要ではない
  • 感想
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ヒトコトへの回答③

このブログではGoogleフォームからご意見などを頂いております。スマートフォンでページを一番下までスクロールしてもらえば出てくるアレです。それをときどき拾って回答してたりします。今までもポロポロ載せていたんですが、ちょっとほったらかしていたんでまとめてみる。

  • 32通目:孤独にならないスキル
  • 33通目:アフィ収入
  • 34通目:応援メッセージ
  • 35通目:高野秀行ファン
  • ひとことどうぞ
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「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」感想・評価

ジム・ジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』を見た。この映画を知ったきっかけは現在タンジェにいらっしゃる、まなつさんの旅行記。

www.dokodeneru.com

ジム・ジャームッシュといえば『ストレンジャー・ザン・パラダイス』しか見たことなかったんだけど、モノクロだしもう引退しているんだろうなーと思ったら、今でも現役だった。現在『パターソン』という新作が公開されている。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』も実は1984年公開という、見た目以上に新しい映画だった。

映画『パターソン』公式サイト

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  • 雰囲気を極めた作品
  • 散らかった部屋
  • 人っぽくない
  • 音楽は良すぎる
  • タンジェとデトロイト
  • ジム・ジャームッシュ作品人気投票
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ウェディングドレスと戦争

少し前にこういうtogetterを見た。

togetter.com

男性が結婚式に対して後ろ向きなのは、衣装のせいではないかという話。まとめられたリプライには「鎧兜なら出たい」といったコメントもあった。僕自身はこの意見に賛同しかねる。何も僕が結婚式やりたくないとかそういう話ではなく、そもそもそんな仮定は成り立たないわけで。

それはともかく、他人の結婚式ならぬ披露宴に行って、呼ばれただけの立場なのに泣いている女の子や、自分も結婚式挙げたいとか、結婚式好きの女性をよく見かける。男性にも稀にいるが、女性が圧倒的に多い。あれ一体なんなんだろう、自分には全く理解できないんだけど、他人の趣味をとやかく言うつもりはない。多分あーやって人に注目されることや、物語の主人公めいたお姫様憧れみたいなのが根強い人もいるのだろう。

さて、ウェディングドレスやお姫様に憧れる女性が一定数いるとして、我々男性はなんだろうと考える。皆が皆そうだとは言わないが、有りがちな意見として出てきたのが先ほどの、鎧兜、甲冑、戦闘服である。軍人の男性は結婚式を挙げる際、一般的なタキシードではなく儀礼服という軍服を着る習慣がある。自衛隊も同じだ。あの服装は僕から見てもかっこいい。

でもなんか違う。儀礼服はかっこいいと思う反面、我々男性が憧れるのはやはり結婚式のような茶番ではない。では一体なんなのか。女の子がウェディングドレスで結婚式に憧れることと対比して、男の子が戦闘服で出陣するのに憧れるのは、やはり戦(いくさ)なのだ。つまり戦争である。

こう言うと野蛮だとか思われるかもしれないが、ある程度それが本質だと思う。もちろん戦争に全く興味ない人もいるだろうし、刀や銃といった武器や迷彩服のような軍服をかっこいいと思いつつも、戦争は悪で存在自体を忌み嫌っている人も多い。自分がいざ戦争に行くとなったら誰もが嫌がる。

岡田斗司夫が語っていたが、映画監督のスピルバーグはものすごい反戦主義者なのに、プライベートライアンみたいな戦闘シーンをすごく上手く撮る。また、宮﨑駿も根っからの反戦主義者なのに武器や兵器、戦闘シーンを描かせれば凄まじい。そこには戦争を否定しながら、ある一面では戦争を美しく肯定的に描きたい衝動があり、矛盾が存在すると。そしてそれは、彼らだけに限らず多くの男性にあるんじゃないかと言う。

男性が憧れるのは、誰もから注目されるお姫様のような存在ではなく、戦場に立つ英雄なのではないか。大義あるヒーローである。敵を倒す存在だ。そして誰もがヒーローになれる可能性があると感じるのは、男性にとって一世一代ハレの舞台は、結婚式場ではなく戦場にある。

戦争は悪と言いながらも、戦争映画、マンガやゲーム、ドラマ、時代劇やアクション映画、ファンタジーものからSFまで、戦闘やヒーローを題材にした作品には子供から大人まで根強い需要がある。これらの作品に心躍らされ、熱い展開に燃えあがるのは、心の何処かにあるヒーロー憧れの証左と言えるのではないだろうか。刀や甲冑といった武具を集めたり、サバゲーやったり兵器や戦術についての知識をつけたりするのも、戦場に対する憧れを心に抱いてのことじゃないだろうか。

多分男性だったら半分ぐらいわかってくれるだろうし、女性は理解できない人のほうが多いかもしれない。男女の違いは身体的な構造とそれを成すホルモンバランスの違いであり、感情にも影響を与える。個人の人格を作る要素はそれ以外にもたくさんあるため一概に言うことはできないんだけど、女性の「結婚式とウェディングドレス憧れ」と、男性の「戦場と武器憧れ」が対比できるなら

「結婚式とウェディングドレスに憧れる女性」に対して男性が思うこと=「戦場と武器に憧れる男性」に対する女性の気持ち

この等式は成立するんじゃないか。もしパートナーがいて、ヒーロー物や銃などの趣味が理解できなければ、その人のウェディングドレスに対する理解もそんな感じだと思っていいと思う。僕にパートナーはいませんが。

京都のカフェの話

先日、東京から来たやや年配の人と話していた。その人は渋谷区に住んでおり、京都に来たら必ずカフェ巡りをするそうだ。

「東京にはカフェがない」

とその人は言う。ルノアールとかスターバックスみたいなチェーン店ばかりで、独立系の店舗に行こうと思えば郊外に出向かないとないらしい。もしくはパンケーキ屋のような、コーヒーを主体としていない店ならあるとか。

その点京都に来れば、街中のあらゆるところに個性的なカフェがたくさんあって楽しいそうだ。それも古くからある純喫茶と呼ばれる形態や、比較的新し目のefishみたいなところまで、近い範囲によりどりみどりでカフェ好きにはたまらないと言う。

僕は東京に住んだことがないから詳しくは知らないけれど、そこら中にカフェがあるというのは京都だけでなく大阪も同じだから、割りと当たり前だと思っていた。

カフェと言えば、別の人からブルーボトルの話を聞いた。先日サンフランシスコから帰ってきた人で、

「ブルーボトルって京都のカフェを参考にしたのに、サードウェーブとかいって日本で有難がられているのは変な感じ」

と言っていた。アメリカでコーヒーと言えば、昔は$1ぐらいで味のうっすい不味いものが定番だったそうだ。しかしそんなアメリカ人が京都に来て、$5ぐらいするけれどおいしいコーヒーに感銘を受け、本国に持ち帰ったら爆発的に広まったと言っていた。真偽は確認できなかったが、ブルーボトルが日本の喫茶店文化に影響を受けてできたのは本当らしい。

Blue Bottle Coffee founder on Japanese coffee - Business Insider

ここでは東京と言っている。また別のところでは、ブルーボトルのメニューに有るKyoto Style Iced Coffeeは「からふね屋」の影響を受けてるんじゃないかとか書かれていた。

京都スタイルアイスコーヒーとは ブルーボトルコーヒー情報 | だーやま京都ブログ

そういえば学生の頃、四条西洞院でアルバイトをしているときによく「イノダコーヒーはどこですか?」って訊かれた。外国人からも訊かれた。京都のカフェ文化ってのはそんなに特別で有名なもんなのだろうか。

Kyoto’s coffee culture

ロンプラにも紹介されているんですね!まあ僕はあんまカフェとか行きませんが、カフェと言えばヨーロッパなんじゃないの?とどうしても思ってしまう。

変わった人が好きという話

ごく稀に「どういう人が好きなんですか?」と聞かれることがあって、そのときはいつも「変わってる人」と答える。恋愛うんぬんの話だけでなく、基本的に変わっている人が好きだ。格闘家では朝日昇が好きだったし、ミュージシャンでは向井秀徳が好きだった。二人に共通するのは"奇声"である(「奇声を発する人が好き」というわけではない)。

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2017年8月のふりかえり

更新14回。少ない。先月は29回も更新していて、香港旅行記10回を差し引いても19回だから、8月の14回は今年数え始めてから最少(さいすくな)となる。8月は映画ばかり見ていた。映画月間と言ってもいいぐらい見ていた。その反面、写真はほとんど撮っていない。なんでこんなに撮らなかったのか。その他にはわりと日記的なことを書いていたように思う。

  • 読書
  • 映画
  • 写真
  • その他
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夏終わり、気になったこと、健康のこと

夏終わります。エアコンをつけずに過ごす自分としては、多少暑くとも夏の気候が好ましい。汗はかくし蚊に刺されるし、肌は焼けるがそれでも夏のほうがいい。理由はいくつもあって、軽装でいられることや、身体の筋肉が緩むこと、頭痛も起きにくく、体調もいい。日が長いのも過ごしやすい。そんな夏は終わりを迎え、冬の時代が到来しようとしています。ファッション好きの人は服装が映える冬が好きな人多いですよね。僕は同じ服ばかり着ているんでそういうのない。日本の家屋は湿気対策なども兼ねて完全夏仕様にできているため、冬のほうが過酷に感じる。室内は外と同じぐらいの寒さになる。すぐ風邪ひくし鼻や喉の調子も悪くなる。伝染病も跋扈する。そんな冬まではまだ少し時間があるため、残暑をもう少し満喫するとする。

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ちょっと英語がわかれば結構世界は広がる

2年半ほど英語圏にいたから、英語がちょっとだけわかる。「2年半もいてペラペラじゃないの?」とよく言われるんだが、ろくに勉強していなかった。特にボキャブラリーがひどい。

「英語話せるんですか?」と聞かれたらいつも「10%程度」と答える。この数字は結構当たってるんじゃないかと思う。ネイティブを100%と考えた場合の10%だ。TOEICもIELTSも受けたことないが、英語圏の大学に留学生枠で入るために必要なIELTSのスコアは6.5だ。それがだいたい現地の高校生レベルだと言われている。僕は多分、良くて5ぐらい(ライティングが圧倒的にできない)。カナダの英語学校ではPre Advanced(上の下)というなんとも中途半端なクラスにいた。

僕の英語力が大体わかってもらえただろうか。つまり簡単な会話ならできるが、細かい話はよくわからない。字幕無しで洋画を見ると、半分ぐらい全くわからない(子供向けアニメならわかる)。その程度の、ちょっと英語がわかるレベルなのだ。しかしそのちょっと英語がわかるレベルでも、結構世界が広がったりする。

  • ちょっと英語がわかる海外旅行
  • ちょっと英語がわかる世界情勢
  • ちょっと英語がわかる株式投資
  • ちょっと英語がわかる交友関係
  • ちょっと勉強するだけで
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「パンプキン・シザーズ」ネタバレ・感想・評価

20巻ぶっ続けで読んでいた。ここ最近読んだマンガでは最もソソられる作品だった。月刊誌にて2002年から15年連載が続いており、2006年には2クールでアニメ化もされている。マンガでは現在「合同会議テロ編」が佳境に差し掛かっているが、ぜひともここで終わらないでほしい。個人的には「カルッセル事件編(7〜9巻)」が最も良かった。

舞台は別世界における近世、世界史で言うところの第一次大戦あたりになるが、技術水準などは混濁している。ガトリングや航空機はまだ実戦配備されていないにも関わらず、戦車は第一次大戦で用いられたものより高度なものとなっている。「薄氷の停戦」と呼ばれた帝国と共和国との停戦から3年後、戦災復興を目指す小隊の物語。

  • 導入
  • 概要
  • あらすじ
    • 舞踏会襲撃編(3〜5巻)
    • カルッセル事件編(7〜9巻)
    • 0番地区抗争編(10〜12巻)
    • 合同会議テロ編(12巻〜21巻)
  • 感想※ネタバレ含む
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どこにでもいる誰でもない自分

あー日記です。いつも個人的なことを書こうと思っているんだけど、頭がぼやけていて何も思い浮かばない。これは春頃から続いている。もう時間が止まっていて、自分とか他人とか世の中とかなんもない感じ。だから仕方なく読んだ本のこととか見た映画のことを書いている。そこにはいわゆる私がなくて、どっかに消えてしまった。中身のある言葉が浮かばないし、考えつかない。これはなんていう症状なんだろうね。

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「イット・フォローズ」「ライフ」「6才のボクが、大人になるまで。」感想・紹介

引き続き映画三昧の日々を送っている。わりと新しめで評価の高かった映画を、SFスリラー、ホラー、ヒューマンドラマとジャンルを問わず漁っているような見方。オチは含めず序盤のネタバレを混じえながら感想を書いていきたいと思います。

  • イット・フォローズ ★★
  • ライフ ★
  • 6才のボクが、大人になるまで。 ★★
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物欲がなくなってから

昨日個人投資家の人たちと話していたことを書いたが、お金のことを考え始めるのは物欲がなくなってからの方がいいんじゃないかと思った。あれがほしい、これがほしいと思っているうちは、お金を使わないでおくことに我慢が必要で、難しい。かっこいい服が着たいとか、バイクが欲しい、車がほしい、家を買いたいなんて思っているうちから30年後先を見据えて投資するなんて不可能だろう。今を楽しむためにはどうしても消費が必要だと思ってしまう。それはある意味正しい。若いうちに金を使わずに人生楽しまないで、年取ってから金持ってたってどうする?なんてどうしても考えてしまう。

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個人投資家と話した2

またまた2人の個人投資家と話す機会があった。彼らが口をそろえて言うのは「働くより投資のほうが儲かる」。今回はなかなか実践的な話を聞いたのでメモとして残しておこう。

  • ゴールを決める
    • 年間100万円ずつの運用
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  • 1億円を超える理由
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  • 高いパフォーマンスを保つには
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