家庭の幸福

2時に目が覚めて、普段あまり見ないテレビをつけたら、ちょうど映画が始まったところだった。株の投資会社で社長を務める男が、40代だろうか、クリスマスの日に過去の恋人から連絡を受ける。彼は休日返上で新しい合併の企画を繰り広げようとしている矢先、ふと、あのとき彼女と結婚していたらどうなっていただろうかと考える。

次の日目覚めると、ベッドにはその彼女が寝ている。13年前に結婚した事になっていて、子供も二人いる。郊外の家に住み、タイヤのセールスマンをしている。戸惑う彼はなんとか元の生活に戻ろうとするが、そこで彼は、自分が必要と思わず、築いてこなかった家庭のあたたかみ、幸福を知る。妻がいて、子供がいて、送り迎えをし、食事をし、記念日を祝い、平凡でありながら、幸せに満ちた生活。彼は一度、あの投資会社へ舞い戻るチャンスを得る。社長までのし上がった彼の意欲は沸き立つ。妻に説明する。
「誰もがうらやむ生活ができるんだぞ?」
「もうしてるじゃないの」

人が享受できる、一番の幸福というのは、家庭の幸福なのかもしれない。最初の部分を見るだけで最後が予想できるような、そんな映画だったけれど、自分とその周りをもう一度振り返ることが出来きた。

その後彼は、あるはずのなかった結婚生活から、一人寝室のベッドで目覚める。その日はまだクリスマス、昨日電話のあった彼女へ、連絡を試みる。