恋愛について

マンガのモテキを読んでいたら酷く落ち込んだ。それは30歳で彼女いたことない人がモテ期に入るというマンガだけど、非現実ハーレム選び放題好き放題という「だけ」の典型的な現実逃避オタク向けマンガではなくて、酷く落ち込む。滅入る。脆弱で保守的な男子なら弱点を絵と言葉とシチュエーションで突きつけられて吐きそうになる。実際に僕は通して一回で読めない。メンタルにこたえるから。考察も堪え難い。小田原ドラゴンもエグいけれど笑わせようとしている分、笑って見過ごせる。

恐らくこの、恋愛というお互い共感しあえない者同士が抑え難い感情を元にあらゆる努力を尽くして歩み寄ろうとするものの一向にその距離は縮まらず、縮まったつもりだけが増幅され、牽制と意地の張り合い、距離の取り合い、じゃあ正直に告げたところで理解は得られない、強さ弱さの差、性欲、思い違い、そもそもの路線の違いなどから来る平行線、要するに互いに分かり合えることのないままの単なるもがき合いというシステム構造そのものに苦しみの要因があって、それを楽しいとか言って楽しめる奴は麻薬中毒者かマゾヒストか不感症の無神経としか思えないほど、もう言わば地獄、それは言い過ぎかも知れないけれど、避けて通りたいものでしかないのが我が現状であり、失敗する前から分かっていたのに失敗続きというアホの有り様そのものなのでした。最近失敗したとかそんなではない。

合わない人たち。確かにいる。憧れる人たち。確かにいる。この、求める人と合う人とは必ずしも一致しないというより必ず一致しないのが曲者である。世間的に見て、社会的に見て、友人から見て、どう見ても考えてもいい人と、惹かれる人の違い。もうその辺りはすごく単純明快、起つか起たないか。そして良い人に起たないあなたは歪んでおります。幸せな生涯を決して送ることは出来ません。彼はそうですはいそうです、決して立ち直ったり思い直したり丸くなったり人が替わったり足を洗ったりはしません。いや、もししたとしたらあなたは既に彼に起たないでしょう。そしてまた既に起つ相手を目で追っていることでしょう。そう、あなたの失敗の原因はそこにあります。あなたは人間形成機ではありませんし人格矯正機でもありませんから、わかって?あなた本当に幸せを望んでいるのかしら、あなたの望む幸せってなんなのさ、世間一般の生活レベル?それとも燃えたぎるようなスリルとサスペンス?ないものねだり?自分が、何を望むのか、冷静に、その時その時ではなく、過去を振り返り、未来を鑑みて、冷静に考えた方がいいと思います。後悔の無いように。あなたの後悔は、全てあなたの責任の上での出来事であります。わかっていても、やってしまう。それは智慧のある人間の成すことではない。本能のまま突き進む動物と同じです。それならば、せめて受け入れましょう。私に幸せは訪れない、なぜなら自ら拒んでいるからだと。

世の中の大抵の物事は、何事も経験、経験値をつめば積むほど上達し、思慮深くなり、次のステップへと進める。しかしこれ、恋愛において成立するのは、同じ相手とだけです。数限りない恋愛をしている人を見ればわかるはず、彼は成功しているでしょうか、それを経験の蓄積と言えるでしょうか、果して。いやまあ、付き合うだけ、いい付き合いがしたいだけ、セックスしたいだけなら大いに当てはまります。手馴れた彼の手法プロセスは大抵の人のツボを掴み、満足して帰っていくでしょう。惹かれるでしょう思うツボでしょう。それを求めているなら大いにたくさんの人と恋愛して下さい。浅い恋愛を。しかしながら、誰もが求めているはず、本当はその先を。付き合った、うまく行っている、ほらその先です。この幸福な時間の分かち合いはいつまで続くのだろうか。どうすれば続くのだろうか。いつか別れが来るのだろうか、そのきっかけは?歪みはどこから?避けるには?そんな事はいくら沢山いろいろな人と恋愛をしたところでわからないでしょう。この人だ、なんて思える相手がいくら出てこようが同じ事の繰り返しとなります。むしろ、数をこなせばこなすほど、これまでの良かった点ばかりが記憶に残っていて誰も彼もがどこか足りないように見えてしまい返って妨げとなる事でしょう。反省、あの時はこうだったから、今度はもっと優しくしよう。あの人には分かりづらかったから今度はもっと丁寧に語ろう。その程度の事なら2回もあれば学べるはず。その反省を付き合ってる最中に出来なかったのは不幸としか言いようがないですね。それをしたところで相手の意図と合致していたか、或いは後悔と別れは全く無意味だったかもしれませんが。とりあえず、基本的には次の人に行った段階で別のゲームが待っております。前の人がどうであったかは関係ありません。下手すれば全く役に立たないどころか失敗経験が更なる失敗の元にまで及ぶ可能性もあるでしょう。ああ、だから、僕が言いたいのは、恋愛経験とドラッグだけは経験値高くてもいいことないよっていう持論。可能であれば、初恋の相手と結婚しなさい。セックスもその人とだけにしておきなさい。ほぼ不可能だけど。

だけどだけど、世の中には稀にいるんだな、そういう人。実際私の知り合いにいる。初恋かどうかは知らんが、17の時から付き合っていて、まだ結婚はしていないが男はその相手しか知らんらしい。10年付き合っているとか。ああ、なんだろう、それ聞いたときのうらやましさ。汚れた人間が真人間を見るうらやましさのような、もし、恋愛を望むのであれば、これ以上にうらやましい事はあるだろうか。過去の男とか、思い出とか、未練とか、後悔とか、そういうの一切ない。あったとしても続いているという事は解決している。何よりも、続いているということがうらやましい。なぜかって、そこには虚が存在しないから。自分の不合理性とか偽りとか欺瞞に頭がおかしくなりそうになったりしませんか。だって、あの時は確かにあの人が一番大事だった、今は違う、そんなのアリか。あの時は確かに、あの時と今とのこの温度差。自分のあの時の感情は嘘ではないが、それは時間が経って亡くなってしまっていいものだろうか。今それを言うと嘘になる。ではあの時は嘘ではないのか。時間がそれを嘘にしたのか。その時間がもし繋がっていたとしたら、今も嘘ではなくなる。その、矛盾性とか、嘘とか、それが我慢できないわけではない。ただ、一度大事に思った人をこうもあっさりと別の人に移すということ、それが何とも哀しすぎないかな。人ってそんなものですか。そうですか。過去は過去であって今とは違うもんな。グレートギャツビーという小説があって、今と過去が繋がっている男が、過去を終わらせて今を生きている女にふられるという話なんだけど、彼にとっては過去じゃなかったんだよね。今の前でしかなかった。彼女は一瞬過去の煌めきに取り込まれそうになったけれど、今に戻った。今が過去とは繋がっていない今である事を認識した。つまり別の人と結婚していて子供もいるという現実を。あとは何もかも知らん顔だ。残酷なぐらいに。それが出来る人は器用で、憧れはしないけれどそれもそれで羨ましいと思う。そうなりたいとは思わないけれど、一度でも恋愛に失敗した人間は、どうにかそのようにしてこの先を生きていくしかない。(4年前の日記からひっぱってきた)