野垂れ死ぬのも悪くない

花の慶次というマンガがある。今はパチンコやゲームなどですっかり有名になった戦国時代末期の武将、前田慶次郎利益の生き様を描いたマンガだ。絵は北斗の拳原哲夫、ストーリーは時代小説作家の隆慶一郎が書いた小説が原作となっている。

そこに出てくる伊達政宗の話が好きだったりする。豊臣秀吉が小田原攻めを行うにあたり、伊達政宗にどっちに着くか返事しろと催促するが、なかなか返事がないため前田慶次が奥州まで向かい、真意を確かめに行くという話だ。
伊達政宗家督を継いでからも母と弟にその立場を狙われ、日々疑心暗鬼の中、天下への野心をも持っている。隻眼だった政宗は幼い頃から母親に嫌われ、また母親に可愛がられていた弟とも不仲であった。

回想シーンとして幼少期の政宗と、父輝宗の会話がある。幼い政宗は母から嫌われ、父もこんな醜い自分が嫌いだろう?と問うが、父に殴られる。父輝宗は、おまえのその眼ならわしの心が見えるはずだ、「お前はわしの宝じゃ」と涙を流し政宗を包容する。

また、政宗の弟である小次郎の話が良い。小次郎は幼い頃より母の傀儡として、自由のない人生を歩んでいた。母は小次郎に家督を継がせるため政宗を殺そうとしたが失敗し、小次郎は切腹を命じられた。生まれてから何一つ自分の意思で出来なかった小次郎は、死ぬ前に海が見たかったと嘆き、政宗はそんな弟を哀れに思う。

慶次と共に秀吉の元へ向かおうとする政宗の前に、一人の僧が現れる。小次郎だ。慶次の計らいで処刑を免れ、一切の身分を捨てて自由な旅に出ることになっていた。これからどこに行くのか?と尋ねる慶次一行に対し、最後の小次郎のセリフが良い。

「とりあえず海へ。そして生きるだけ生きたら野垂れ死に致します…」

この話について、Googleで調べていると面白いものを見つけた。

史実で伊達小次郎はずっと処刑されたことになっていたが、こういう新聞記事があったみたいだ。もしかすると「とりあえず海へ」は現実だったかもしれない。