痴漢に痴漢呼ばわりされた話

昨日、中央線で移動している時、痴漢に痴漢呼ばわりされた。

俺は仕事中だったからスーツとカバンで電車に乗ってたんだ。昼間でも結構混んでいてさ、暑いんだよな。俺は電車に乗るときいつもTwitter見てるから左手につり革を持って、右手にiPhone持ってたんだよ。そんで「でんしゃなう」とか今どきそんなツイートするやつなんかいないんだけど

「やめてください!!!!!」

「俺じゃねえよ!!…こいつだ!!」

 

右手引っ張られたわけですよ。iPhone持った右手を。目が合ったのは髪の短いヒゲの濃いスーツのおっさんと、同じくジャケットを着た大人しめの雰囲気のお姉さん。

「おれ?」

「そうだ!!おまえだよ!!俺は見てたんだよこの手を!!」

そして俺の手に握られるiPhone6+。

「いえ!こんな物当たってません!!」

こんなもの、俺のiPhone6+はそりゃ曲がるとか言われているけど画面デカいんだぞ。

「次の駅で降ります!!あの、すみません、あなたも一緒に付いてきてくれませんか?」

「おれ?」

「私一人じゃ不安なんで、この人、逃げるかも知れないから…」

「だから俺じゃねえって、こいつだって言ってんだろ!」

「おれ?」

「あなたじゃないのはわかっています。そんなもの当たってません。」

そんなもの。俺のiPhone6+はSIMフリーでMVNOだから月々も格安なんだぞ。

「とにかく、一緒に来てもらえますか?もう次の駅着くんで」

そして次の駅で俺ら3人は降りることになり、駅員に話をして駅の警察官と話すことになった。そこでも男は終始「おれじゃねえ、こいつだ」と俺を犯人だと言い張り、しかし被害者の女性が犯人は俺ではなくその男で間違いないと主張してくれたため、俺は終始無言でいた。俺についてはここまで付き添ってくれたボランティアみたいに説明していた。

「ほんとありがとうございました。助かりました。」

というお礼を言われて帰ってしまったのだ。俺は遅れた言い訳をしないといけなくなったがどう説明していいかわからず「痴漢に間違われて」と、あながち嘘ではない答えをするのだった。俺が遅れて少しムードが悪かったのが、爆笑されてしまい

「確かに君痴漢しそうだわ、ほんとは君なんじゃないの?したんでしょ?どうやって逃げてきたの?」

などとゲスな好奇心をそそったようだ。俺はとりあえずネットで見た模範解答として

「警察の前で身分証を見せて名刺を渡して、「今仕事中なんで後にしてください」って言いましたよ。」

「え、そんなんでいいの?」

「痴漢なんて現行犯以外逮捕しようがないから、その場さえ切り抜けたら証明なんてしようがなく捕まえられないんです。」

「お前なんでそんな詳しいんだよ!絶対お前やってるじゃん!!本当なのかそれ?そんなんだったら逆に痴漢し放題じゃん!」

「え、なさるんですか?」

「しないよ。するわけないだろ!二元論だよ二元論。」

二元論?

とにかく俺はこうやってトラブルと仕事と両方なんとかなったが、もしあの時被害者女性があの痴漢の言うこと、つまり「おれじゃねえよ、こいつだ」と言って俺を突きつけたのを真に受けてしまっていたら、俺はどうなったのだろう。もしその時俺が右手にiPhone6+を持っていなかったら。元々俺は全く関係ない第三者なのだ。たまたまその場に居合わせただけで、痴漢に間違われてさえいない。痴漢に痴漢呼ばわりされたのだ。

こんなことってあるか?こういう時って一体どうすればいいんだ?