僕の持ちネタその1

すべらない話でもなんでもないけれど、むしろ周りの人がよく引く話ではあるけれど、だいたい初対面の人や会って間もない人たちと話さなければいけない時用の鉄板ネタというのが存在する。僕にもいくつかあった気がするけれど今思い出したがその1。

自殺部屋に住んでいた

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しかも2軒住んでいた。1軒目は2年住んだ。人が死んだ話をこういう風に面白おかしく話すのは気が引けるものの、今まで何度も持ちネタとして使用させてもらった。僕の前に住んでいたのは同じ会社の人だった。会社のビルも部門も全然違うため面識はなかったものの、僕の先輩などは同期でよく知っていた。その先輩の同期が部屋で首を吊った。クローゼットのポールで。理由とかそういうのは詳しく知らない。ただ片方の親が死んでもう片方は再婚しているかなんかで、身元引受人は祖母だった。実に悲しいニュースだった。

その部屋はワンルームマンションの一室で、会社名義で借りていた。部屋は次の誰かが住めるようにクリーニング等きれいに仕上げられていたものの、会社名義のまま借りっぱなしで誰も住む人がいなかった。別に会社はその部屋を解約できたんだけど、僕はちょうど住んでいたワンルームマンションの部屋が狭かったため「その部屋見ていいですか」と会社に尋ねた。僕は肝試しとか面白がっていたわけではなく本気で部屋を借りる下見をしたいという話をしたら頭がおかしいと思われた。

僕はホラー映画とか全然怖くなくてあまり見ないんだけど、心霊番組などで演出が無いもの、見るからに作り物だなっていうのが無い番組に関してはよく見る。その、実録物と言うか本気で怖いものだけを見るようにしている。そうでないと面白くない。だから、幽霊とか全く信じていないわけでもない。部屋の下見に行った際には塩と御札とデジカメを持参した。何か写ったらやめようと思い、そのクローゼットを中心に部屋の中を撮影して回った。結局何もなかった。そして僕はそこに2年住んだ。最後まで何もなかった。

2軒目

1軒目の話が会社の一部では話題になっていた。2年後僕は転勤が解除され、古巣へ戻ることになった。前住んでいたのは転勤用の社宅だったため家賃は会社負担だったが、戻る際にはまた自分で部屋を探さなければいけなかった。僕が部屋を探していたところ「ここに住んでくれないか」という話が舞い込んできた。会社の人の知り合いのつてだった。そこは通勤30分圏内で繁華街からも徒歩数分、場所も建物も良く、値段は街中なのに4万円。同じマンションの他の部屋は7万円。ああ、そういうことか。

その部屋は以前に住んでいた女性が飛び降りたらしい。「部屋の中で死んでないから大丈夫」というわけのわからないフォローが入りつつも、その部屋は半年間借り手が見つかってないそうだ。僕はその時まだ転勤先にいたため実際に部屋に入って確認することができず、結局間取り図と値段と外観写真、あとその自殺部屋という話だけを聞いてそこに住むことにした。正直親には言えなかった。家に来たこともない。当時の彼女は来ていた。

結局その部屋でも何事もなかった。僕はその当時シェアハウスを始めたいと思っていたから半年で出ることになり、その後も今に至るまで普通に暮らしている。僕に残ったのは自殺部屋に2軒、合計2年半、自ら進んで住んでいたという趣味の悪い持ちネタだけ。今住んでいるのは$250/月というまた信じられない安さだけど狭いだけの部屋です。