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自意識は、どちらまで

タクシーの運転が好きでタクシーの運転手をやっている人だっているだろう。それと同じことで。あなたは彼に「タクシーの運転をやめなさい」と言いますか。彼がいくら力説しようと君には伝わらないだろうし、あなたはおそらく計算するだろう。そして彼は、それがある種の間違いであったことにいつまでも気づかないだろう。あなた方はそういった間柄であり、それは尊重される一つの形でもある。自分が何を望むか、目の前に提示されなくても知っている人が世の中にはいて、それが彼にとっては具体的な形を持った一つの役割であり、あなたにとっては抽象的で変化のある中での変化の無い普遍的な営みでもある。形にできない、水のような望み。色も変われば蒸発もする。あながた支えようとしているものであり、あなたにはそれを見分ける勘が備わっていると、自ら信じている。彼は目に見えるものしか信じていない。肌で実感できる、形あるものしか。あなたは色や香り、味といった形のないものを好む。彼は感情でさえ形あるものとして残そうとする。あなたもそれを知っており、彼も承知している。彼は時々タクシーのメーターさえ回さない。あなたはタクシーを降りて歩こうとは言わない。いつまでもそこで待ち続ける。あなたの形ないものを守ろうと、彼は形あるものを注ぎ続けるだろう。彼はそこにある肉体を通して、と考える。あなたは思念で願う。向こう側から見えるこちら側は、その距離によって全く同じものに見えている。その一つ一つが異なっているにも関わらず、同じものに見えることによって、お互いが分け与えることができる。つけ離すこともできる。そこには別の違った意味が備わっているにも関わらず。