たとえば僕が死んだら

最近は森田童子を聴いている。森田童子と言えば、ドラマ「高校教師」の歌で有名だ。僕はドラマをちゃんと見たことがないけれど、よく夕方に再放送がやっていた。真田広之と桜井幸子が出ていた方。すごく有名なドラマだったから、この曲も一緒に有名になった。

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僕自身はドラマをちゃんと見ていないぐらいだから思い入れはない。昔付き合っていた彼女はドラマを知っていて、この曲も好きだった。彼女はこの歌を歌っている森田童子の他の歌も聞いていた。それは本当に遠い昔の話で、何故か最近この歌を思い出した。何故だろう。それから何度も繰り返し聴いている。僕がよく聴いているのは、「海を見たいと思った」と「たとえば僕が死んだら」と、冒頭の「ぼくたちの失敗」。


海を見たいと思った - YouTube

この人の歌のいいところは、森田童子の子供のような声と、何を言っているかはっきりとわかる、それでいてささやくような歌い方、その状況にいた人なら誰にでも共感できる、聞く側からすれば簡単で絶望的な歌詞、聞き取りやすい曲調。でも彼女は高校教師で取り上げられるまで、そこまで売れていたわけではないようだ。ドラマがやっていた当時は既に引退していた。歌詞などをよく見ればわかるけれど、ドラマがやっていた90年代の時代風景とも合わない。

高校教師 DVD BOX

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Wikipediaによると70年代の人らしく、学生運動の失敗などを歌った曲も多い。そうやって聞くと、僕は昭和を思い馳せる。僕が生きなかった昭和の時代。僕が生きた90年代以降というのは失われた時代などと呼ばれ、日本が没落した象徴みたいになっている。逆に70年代前後というのは若者も多く高度成長真っ盛りで戦後日本の最も恵まれた時代のような印象がある。しかし彼女の歌を聞いていると、どうも皆が皆そうでもなかった。事実、当時から若者の自殺は多かったというような統計もある。僕があの時代に生まれていたとしても、日本の隆盛にあやかることはできず、きっと今と同じように肩身の狭い思いをして、彼女の歌に心象を重ねていたのだろう。

狼少年~ウルフ・ボーイ

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