仕事のトラウマの夢

理由はわからないけれど、昨日は仕事のトラウマの夢を立て続けに見た。僕はマルチタスクが苦手で、一つのことに集中しないと作業ができない。一つの事が完璧にこなせるようになれば、それらを無意識に同時並行で作業することはできるものの、それは考える作業ではなかったり、たとえばバイクのギアチェンジのように右手でアクセルを吹かしながら左手でクラッチを握り左足でシフトチェンジをするというような身体が勝手に動く動作に限られる。慣れた作業であり、尚且つ単純作業にしか当てはまらない。

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僕は仕事を始めたばかりだった。先輩から作業を一つ一つ教わり「じゃあやって」「あれができてない」「これができてない」「さっき言ったでしょ」「前にも教えたよね」「何回言わせるつもり?」「まだ覚えてないの?」「もう注意する気もなくなった」「邪魔だけはしないで」「君は参加しなくていいよ」「わからないなら言ってって言ったよね?」「できないんだったら手を出さなくていいから」「いつになったら慣れるの?」

そういった言葉を浴びせられ続けていた。僕は不器用で記憶力も悪く、一つのことに慣れるのに時間がかかり、また作業にも時間がかかる。さらに同時並行で作業を進めることができない。何もできない無力感に苛まれていた。そんなことを思っている最中に目覚めた。ああ、今はもう働いていなかったっけ。僕が人に指導することがあったとして、こういう言い方だけはやめようと思っていた。スパルタとか厳しい態度を取られることが向いている人もいるかもしれないけれど、僕自身は萎縮するばかりだった。それはまるで、目の敵にするような、追い出すような態度だった。指導者だったら本当は相手に合った態度を使い分けられるのが一番なんだろうけど、僕は自分がやられて嫌なことを人にすることが心情的にも耐えられないから、いい指導者にはなれないだろうな。まあそういう機会が今後あるとも思えないんだけど。

もう一つは、顧客だった人から電話がかかってきた夢だった。

「川添くん、マーケットレポートが届いてないよ。会議で必要なんだから午前中に出してくれないと困るんだよね。前もこういうことあったよね。勘弁してくれないかな?そうそう、あと今年度の長期修繕計画を作って出しといてね。12時までに頼むよ。」

膨大な仕事を処理する中でレポートの提出を忘れていた。ああ最悪だ。あれをやればこれができてない、これをやっていれば他の報告書はいつになったら届くのか、そういう催促が延々と続いて終いには最初にやっていた作業を完遂するまでに緊急で他の仕事をやる羽目になり、そのうちどれかの仕事が抜けてこういったお叱りを受ける。よくあることながら「やってしまった」という思いが毎回尽きない。でもよくよく考えてみたら、僕はもうこの案件の担当を外れていた。今の担当者は、外出しているようだ。ああ、僕がやるしかないのか。そして長期修繕計画の作成は僕の領分ではないため、別の部門の人に頼まなければならない。顧客の方も面識あるはずだけど僕を通した方が一回で済むし楽だろうから僕に言ってきたのだろう。それは仕方ない。

「この案件で長期修繕依頼が来ていて、お願いできませんか。」

「また?今言われても困るんだよね。立て込んでいてできないよ。いつまでにやればいいのかな?」

なんで俺がこんなことやらないといけないんだ。そういう思いをずっと抱きながら仕事をしていた。折衝も苦手だったし、コミュニケーションも苦手でチームワークも苦手だった。人と関わることが苦手だった。尚且つ仕事ができなかった。人の仕事をやるだけでなく、僕も人に仕事を押し付けたりしないといけないこともあり、それも嫌だった。ずっと嫌な思いをしながら怒声を浴び、役立たずと言われながら仕事をしていた。上達する余裕も改善する余裕もなかった。考える暇さえなかった。毎日吐き気と下痢を催していた。食事は昼だけで、深夜家に帰ると毎日ビールを飲んでタバコを吸っていた。何が悪かったのだろう。僕に何ができたのだろう。僕には何もできなかった。

今でもこういう夢を見る。目覚めると「もう仕事は辞めたんだ」と安心するけれど、何度でも、何年経ってもこういった夢に追いかけられる。