読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

7日目、ただ全てが憂鬱だった日

前回の続き

この日は朝から調子が悪かった。オルガは朝早く仕事に出かけ、パブロは休みということで寝ている。僕は朝早く起きたものの、気分が優れずにただリビングでじっとしていた。いろいろ悪いことばかりが頭に浮かぶ。彼らにこんなに良くしてもらいながらも、僕はなんて失礼な言動をとっていたのだろう、とか。内容は些細なことと言えばそうなんだけど、彼らの親切に甘えていた。謝りたかった。それだけでなく、なんというか本当にいろいろな面で自己嫌悪に陥ってた。そのままリビングにいても気分は悪くなるだけだと思い、外へ出ようと思った。先日二人から聞いていたヴィエリチカへ行くことにした。

スポンサードリンク  

ヴィエリチカ岩塩坑へ

ヴィエリチカ岩塩坑はその名の通り塩が取れる穴であり、遠い昔から掘り続けてこられ、またお金を生むために利権の対象になった歴史がある。そういった詳しいことは現地でガイドが説明してくれるから簡単な紹介にとどめておく。僕は全然興味がなかったけれど行く前に少し写真を見て、ちょっと行ってもいいかなと思ったから本当に気晴らし程度のつもりで出かけた。

この家は内側から鍵を開ける際にもキーが必要となり、外に出るにはキーを持っているパブロを起こさないといけなかった。でもあえて彼を起こすほどのことではなかったため起きるのを待っていた。午前11頃になると彼が目を覚まし、僕は彼にヴィエリチカへの行き方を尋ねた。クラクフ中心地からの行き方はネットで調べたらいくらでも出てくるものの、一度中心部へ行くよりもこの家から直接向かったほうが近いという話を聞いていたからだった。

「ヴィエリチカへ行こうと思うんだけど、どのバス停から何番に乗ればいいかな?」

「そうだね、トラムの停留時のすぐ後ろのバス停から行けるよ。番号は、204とか244とか、」

「わかった、多分行けばわかると思うよ。ありがとう」

「ヴィエリチカ行きはゾーン2のチケットを買わないといけないよ」

「そうなんだ、ありがとう助かるよ」

「じゃあまた後でな」

失敗が続く

僕は軽装でオルガ・パブロ宅を後にし、バス停へと向かった。「トラムの停留所のすぐ後ろ」と聞いていたにも関わらず、僕は反対側のバス停で行き先を見て「ヴィエリチカ行きが無い」などと混乱しながら道行く人に行き方を尋ねたりしていた。まあバス停は反対側にあって方向を間違っていただけなんだけど。そして反対側のバス停に書かれている行き先には、ヴィエリチカ行きのバスが3つもあった。パブロが言っていた204も244も、忘れていたわけではなく全て正しかったのだ。そして僕は来たバスに乗り込み、チケットを買おうとした。バスの停留所には券売機がない。

財布を見ると、小銭がなかった。車内の券売機は札の投入口がない。これはまずいと思って僕は他の乗客に両替できないか尋ね回ったが、ほとんどの人はそんな小銭なんて持っていないと断られた。唯一おばさんが両替してくれた。買い物をよくするおばさんのほうが小銭を持っているというのは、もしかすると世界共通かもしれない。そのままバスに乗ること30分ほどで終点についた。ヴィエリチカの停留所は3つか4つほどある。そのどれもが「ヴィエリチカなんとか」と書かれており、一体どこで降りていいのかわからなかった。僕が終点で降りるとバックパックを背負った若い白人男性に「Mineに行きたいの?」と聞かれた。「Yes」と答えると「降りるところはここじゃないよ」と言われ、「どこか知ってる?」と聞いたらバスの運転手に聞いてくれた。「2つ前」ということで僕は再びバスチケットを買うのももったいないと思い歩こうとしたら運転手が「乗れよ」と言ってくれたため、バスに乗って2つ前の停留所で降りた。そこからもポーランド語の看板を探しながら「多分あれだろう」と思って歩いていくと、なんとか見つかった。普通はクラクフ駅から304のバスで向かうためそんなに迷わないらしい。

f:id:kkzy9:20150612020358j:plain

こういう表示がある

着いてから入るまで

僕はと言えば、着いてからも迷っていた。どこでチケットを買ってどこに並んでどこが入り口なのか全然わからなかった。下調べを何もしていなかったからであり、後からネットで探せばそういうのはいくらでも見つかった。なめていたなあ。着いてすぐ目の前にあるタワーみたいなのは違うということがわかり、奥の方へと登って行くとそこに入り口らしきものがあった。かなり多くの人が並んでいる。今日はポーランドにおいて4連休の3日目で、地元の観光客が多いようだ。これは完全に失敗したと思った。

チケットを買う場所と入場のために並ぶ場所は分かれており、また団体用の入り口も別にあり、それぞれ何て書いてあるのか確認しながら僕は英語のツアーチケットを買った。79złotyというポーランドの物価ではめちゃくちゃ高いツアーだった。アウシュビッツでさえツアー料金は40かそこらなのに。そしてここにはツアー以外で入ることができない。僕はもうその時手持ちが100złotyぐらいしかなかったから一瞬迷ったけれど、ここまで来たから入ることにした。

f:id:kkzy9:20150612020558j:plain

奥の人がいるところが外国語用チケット売り場

幸いなことに、めちゃくちゃ並んでいた人たちはみなポーランド語のツアー客であり、英語その他外国人向けのツアーについては10数人程度とガラガラで、並ぶ必要はなかった。もしかしたらシーズンによるかもしれない。僕が行ったのは6月の頭です。ツアーは時間で区切られており、開始まで少し時間があったため近くの売店で売っているソフトクリームを食べた。ツアーが始まる時間になると、入り口に人が並び始めた。と言っても10数人で彼らが皆同行するメンバーになるのだろう。そのほとんどがでっかい日本製の一眼レフを首から提げた年配の中国人観光客でした。クラクフに来てからこういう面々を見かけるのは初めてだったため、意外に思いながらもツアーは始まった。ちなみに写真撮影は有料であり、別途10złoty必要となる。僕は元々興味があった内容ではない事に加え、彼らに混じって写真を撮るのがどうしても嫌だったため、今回は撮影なしで向かうことにした。

ガイドツアーとツーリズム

ツアーは約2時間だっただろうか。僕は元々興味がなかったこともあり、結果的にあまり前向きな印象を持つことができなかった。ツアーもガイドも、そしてこの世界遺産にも登録されている現役のヴィエリチカ岩塩坑自体も悪くはないと思う。好きな人は行ったらいいだろう。ただ僕個人の意見としてはかなり否定的になってしまう。だから僕の不満なんか読みたくなければ、ここで読むのをやめてしまった方がいい。

結論から言うと、つまらなかったわけではない。ただうんざりした。自分はつくづくこういうツーリスティックなガイドツアーが合わないんだなということを実感した。以前にもこういうことがあった。5年ほど前に行ったベトナムでのメコン川クルーズだった。ガイドに従って説明を聞きながらダラダラと歩き、みながみな同じ場所で写真を撮って、中にはトロい人や遅れる人、あまりにも自分勝手でガイドに愛想つかされる中国人の老人など、そういう人たちと一緒に他人のペースで回るというのが苦痛でしょうがなかった。しかも中が寒く、正直言って早く出たかったけれどツアーのため全て回らないと途中で出ることなんてできない。

でも例えばトリップアドバイザーなんかでの評価は非常に高く、ガイドの人も面白かったから興味がある人やそういうツアーが好きな人にはいいと思う。あとポーランド人にとっては自国の歴史の一部であるため、知識としてもためになるだろう。僕には合わなかったというだけの話。僕は気晴らしのために来たにもかかわらず、ただ一人残念な気持ちでツアーを終えるとすぐさまバスに乗り込み、帰路についた。

次回、7日目②クラクフ最後の夜、やっぱり彼らはいい人だった