29日目、公園と夜景

前回の続き

メキシカンは帰る準備をしていた。たった2日だったけれど彼と過ごした時間も終りとなる。

「実は、俺の曽祖父が日本人なんだ。日本から渡ってきたらしい。彼は柔術の先生だった。そして俺は宮本武蔵が好きでね。五輪の書も読んだんだよ。いつか日本にも行きたいと思っている。カズはどこに住んでいるんだ?」

「僕はこれから1年の間オーストラリアだけど、日本に帰ったら多分京都に戻ると思う。その時は訪ねてくれるかい?なんだったら泊めるよ」

「本当か?それはそうと、オーストラリアって言えばクロコダイルダンディーだな!実際クロコダイルってオーストラリアにいるのか?いないよな?」

僕らは最後まで80年代映画の話をしていた。

 

ユールゴーデン

ヨハンは今日休日ということで自宅にいた。僕はもう行くところがなくなっていた。ストックホルムで行きたかったのはFotografiskaとModerna Museetだけであり、もっと他に行っておくべき場所もあっただろうけれど個人的には買い物も終えて一通り満足している。今日はとりあえず、まだ訪れていないDjurgarden(ユールゴーデン)という島に行ってみようと思った。ここは観光スポットがたくさん集まった島なんだけど、観光地はもう行きたいところがなかったためただ散策しようと思った。

今日は天気もよく、外を歩くにはちょうどよい。ヨハン宅からストックホルム中央駅まで電車に乗り、Kungsträdgården(読めない)まで地下鉄で向かいそこからは歩いた。Kungsträdgårdenからユールゴーデン島の中の方までトラムが通っているため、歩きたくない人はトラムで向かうこともできる。ちなみにこのトラムは結構混む。歩いていると天気が良いおかげで暑いぐらいだった。ストックホルムは6月下旬なのに9〜15℃という今までにない寒さなんだけど、太陽が当たると上着を脱ぎたくなるぐらい暑くなる。ユールゴーデン島への橋を渡ってすぐにあった売店で、ソフトクリームを食べた。チョコレートのコーティングをしたものが40kr(約580円)、もちろんクレジットカードで支払える。

アイスを食べたあと島の中心の方へ歩いていると、何かの集まりに人が並んでいた。おそらく並んでいるのは全員スウェディッシュだ。みんな白い服装をしている。これがなんなのかはよくわからないけれど、スウェーデン人は本当にブロンドで青い目の人たちばかりだ。

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公園を歩く

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中程に畑のような場所があり、奥の方は自然公園のようになっていた。僕はどんどん奥へ進んでいった。なんだかんだ行ってどこへ旅行してもこういう自然の中をさまよっている気がする。モロッコはそうでもなかったか。このあたりは馬車が通るらしく、馬糞がそこら中に転がっている。もっと奥へ入ると馬車も入れない道があり、そこをまたずっと奥へ進んでいった。

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これはもはや道なのか?道だろう。ちなみにすれ違う人も前後を歩く人も誰もいない。ベンチがあったので、腰掛けて少し休んだりしていた。地面を見るとたくさんのアリがいた。こんなにアリを見かけるのはいつ以来だろう。日本ではもう何年も見ていなかった。もちろんカナダでもあまり見た覚えがない。

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さすがに奥に入りすぎ、帰り道がわからなくなりそうだったから適当に戻る方向へと歩いた。海岸に突き当たるとそのまま海沿いを歩いた。

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そのうち屋敷のようなものがあり、庭にいろいろな銅像のレプリカが置かれていた。ロダンの考える人とかあった。写真に撮ったこれは何なのか知らない。

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ボートがたくさん停まっている。

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帰りは途中からトラムに乗り、島を通りすぎて帰路についた。

夜のストックホルムへ

これも旅先の恒例となってしまったが、今日がストックホルムの夜は最後だった。明日午前中にはヨハン宅を離れ、空港へと向かうことになる。最後の夜にまた写真を撮りに出かけた。ストックホルムの夏は日が長いため、僕がヨハン宅を出たのは夜11時半、それぐらいになってようやく暗くなってきていた。

「終電は1時半だ。最悪終電を逃してもバスで戻ってこれるから」

ヨハンは調べてくれていた。僕はカメラを持って駅へと向かった。

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日が落ちたこともあって、駅は寒い。2人の女性がタバコを吸っていた。ヨーロッパはタバコが高いものの、喫煙者は日本や北米に比べて断然多い。みんな吸っているというわけではないけれど、日本や北米のように毛嫌いされていないため肩身の狭い思いをすることもない。僕はストックホルムへ来てから吸っておらず、彼女らに声を掛けた。

「あの、5kr(約72円)でタバコ一本売ってくれないかな?」

ちなみにストックホルムの公衆トイレは有料で全部5krかかる。お金払って利用している人を見たことがなく、街でトイレに行きたくなったらどうするのかヨハンに聞くと、マクドナルドなどに入って用をたすそうだ。

「ごめんなさい!これ私たちの最後なんだ、ほんとごめんね!」

「え、そうなの?わかったありがとう、他の人に聞いてみるよ」

「ごめんねー!うまく見つかるといいね!」

本当にこんな感じの会話だった。こう言うと変だけど、スウェーデンの人はすごく美人ですごくフランクだ。僕は周りを見渡し、同様にタバコを吸っている人を探した。黒人の男性がベンチに座ってタバコを吸っていた。

「やあ、タバコ一本売ってくれないかな?」

僕はそう言って先ほどと同様に5krを差し出した。

「いいよ、やるよ。金なんかいいよ」

「こっちタバコ高いって知ってるんだ。払うよ」

「いいって、気にすんな」

そう言って黒人男性はタバコを一本くれた。カナダや他の場所でも同じことをしたことがあるけれど、大抵の人はお金を受け取らない。僕にも同じようにタバコ1本買うと言われたことが今まで何度かあったけれど、確かに僕もお金を受け取ったことがなかった。僕はその場で頂いたタバコを吸い、電車が来るのを待っていた。

夜景を撮る

電車に乗り、ストックホルムセードラで降りた。夜のセーデルマルムを撮った。店はけっこう閉まっている。人はそこそこいる。

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南側からストックホルムの中心を撮った。これ、夜の12時ぐらいなんだぜ、明るい。

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そのまま僕は向こう側に渡り、旧市街を歩いた。旧市街はわりと歩いている人も多い。

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旧市街を抜け、ストックホルム中央駅の方へと歩いていた。途中にクラブのようなものがあり、人がたくさん並んでいた。並んでいるのか、なんなんだろうこれ。

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特に目新しい場所へ行ったわけではなく、昼間行っていた場所を夜撮っただけ。時間が遅いこともあり全体的に人も少なく、1時頃にはストックホルム中央駅から電車に乗って帰った。

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この日は帰ってからヨハンとゲームセンターCXのファミコン聖闘士星矢 黄金伝説の回を見た。これは確かいとこが持っていた。たけしの挑戦状を思わせる過酷なゲームだ。

次回、30・31日目ストックホルム→バンコク