33・34日目、旅の終わり

前回の続き

クアラルンプールの空港は森のど真ん中にあり、空港から屋外へ出ると熱帯雨林が見渡せる。時々大雨がふり、飛行機は大丈夫なのかな?なんて思いながら外を見ていた。AirAsiaのチェックインカウンターへ行き荷物を預けられるか聞いたところ、フライトの4時間前にならないと受付していないと言われた。後は待つだけか。昨日はほとんど寝ておらず、次の飛行機まで10時間近く待たないといけないためどこかで寝ようと思った。バックパックをリヤカーに乗っけると、空港内をさまよった。空港内のベンチは数が少なく、どこも既に埋まっていた。リヤカーを押して併設されているショッピングモールのようなところを歩いた。3フロアほどあり、ひたすら歩きまわったけれどファストフードやカフェ、レストランの中にしかゆったりできるソファのようなものはなかった。1階の奥まったところに医務室のようなところがあり、その前にはイスが並べてあった。幸い空きもり、寝ている人もいるためここで寝ようと思った。

 

旅の終わりを実感する

次の行き先はオーストラリアだ。オーストラリアはこれから1年間住む国であり、旅行で行くわけでも観光するわけでもない。もう旅行は終わったんだ。この一ヶ月は流れるように過ぎていった。いろいろな場所を訪れ、人と会い、あらゆるものを目にして、考え、学び、心を動かし、落ち込んだり、時々は落ち着きも退屈もした。些細なトラブルがあったり、寝不足でとても疲れながら歩き回ったり、そんなことを繰り返してきた。全てが懐かしい。それらは既に過去になった。これからのことを思うと、とても気分が沈む。旅行というのはレジャーであり、遊びであり、ある意味夢の時間であり、これからはまた現実と向き合わなければならない。住む部屋も探さないといけないし、また働かないと生きていけない。これからは旅行ではなく生活が待っている。ものすごく嫌だ。

オーストラリアへ

フライトの4時間前になると荷物を預けた。この時も僕はオンラインチェックインを事前に済ませており、バンコクに居た時と同様プリンタが無いために搭乗券を持っていなかった。荷物を預ける際にその旨を伝えると、その場で搭乗券を印刷してくれた。飛行機は夜12時発だった。もう空港でやることもなく、搭乗ゲートの前で待っていた。オーストラリアに着くのは朝の5時半。明日泊まるところも何も決めていない。とりあえずカウチサーフィンの申請を送ってみたが、別の宿泊客がいるということで断られた。「本当に泊まるところがなくてホームレスみたいな感じなら、リビングにマットレスを用意するぜ?」みたいに返事をもらえた。多分いい人なのだろう。そこまでしてもらう程ではないと思ってお礼だけを言い、僕はbooking.comでホステルを探したり、Airbnbを見ていた。高い。今まで旅行したどの都市よりも高かった。

飛行機に乗る人の数は少なかった。さすがのオーストラリア行きということで、人種は様々だった。西洋人、東南アジア人、韓国人など。搭乗の時間が来て、席につくと少し眠った。

オーストラリアへの入国は、カナダと全然違った。ワーキングホリデーでカナダに入国する際、別のカウンターへ連れていかれビザの許可証や滞在先の住所、電話番号などを求められ、別紙ビザの発行がありそれをパスポートに貼り付けるという手続きがあった。オーストラリアの場合、そういうのが何もなかった。僕はてっきりそういう手続があるもんだと思って入国の際に「ワーキングホリデーなんだけど」みたいなことを言っていたら「だから?」みたいな顔をされて素通りだった。入国してからも職員に「どこでビザを取得するんだ?許可証を持っているんだけど」と印刷したメールを見せながら聞いたら「その紙だけだ。あとはただ入国するだけだよ」とあっさり言われた。雑だ。

ともあれ、そうやって僕は今オーストラリアにいます。もういい年で、夢も希望もないです。あるのは不安と倦怠と疲れだけ。先日まで健康保険にさえ入っておらず、こちらでやっと手続きを終えたところです。オーストラリアは現在冬ですが、ストックホルムの夏よりも暖かく気温は9〜18℃、熱帯のタイやマレーシアから来た僕には肌寒い日々です。早速風邪をひき、日本から持ってきていた風邪薬は全てなくなってしまいました。また体重が減り、今は52kgになりました。顔も痩け、心身ともに衰弱し、「さて、これからどうしようか」とは思うものの、そこから先へ思考が進まず、何も考えないまま毎日の終わりを迎えております。

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