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誕生日が嫌い

実は先日誕生日を迎えたんですよ。私も立派な中年でありまして、いつまでもガキみたいな思考でガキみたいなことしかやっておらず人生終わってるなーと思っているんですけど、僕の理想の中年はマンガ「プラネテス」に出てくるフィーの叔父、ロイ・ブライアントなんですよね。彼についての項目をWikipediaから引用すると、

フィーの叔父・対人恐怖症で、森の奥で一人掘っ立て小屋暮らしをしていた。幼かった頃のフィーには優しい叔父だったが、後にある冤罪が元で失踪する。この失踪事件が、フィーのトラウマらしい。

プラネテス - Wikipedia

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彼は森で魚を釣ったりして生活しているんですが、黒人で人と話すのが苦手で町の人から変人扱いされていて、ある日子供がいなくなった時に「あいつが誘拐したんじゃないか」って家を焼かれたりして元々対人恐怖症だったのが人間不信も重なり森からも失踪してしまうんですよ。超かっこいいじゃないですか。子供だったフィーは伯父さんのことを好きだったんだけど母親からは「いい年して社会に向き合えない叔父と関わるな」と言われていたりして、自分の好きな叔父がそのような扱いを受けていることにモヤモヤするんですね。その後フィーは大人になって子供もおり、息子のアルフレッドがどこからか毎日犬を拾ってくるんだけど数が膨大になってマンション住まいで近所迷惑だから苦情が来るんです。ああ、もうこれ以上は原作読んでもらいましょう。とにかくフィーは、息子アルフレッドと犬の近所迷惑など世間との折り合いを考えている中で、自分が憧れていた叔父を追いやった側につくのがどうしても嫌になったんですよ。それでどうしたかっていうのは忘れてしまった。

プラネテス(4)

プラネテス(4)

 

このロイおじさんは今たまたま思い浮かんだだけで、僕が言いたいのは単に、そういう人、というだけ。そっち側の人。ほら、思い返してみてください。親戚が多い人だったら自分の親戚の中に一人ぐらい中年になって結婚もしないで子供ももちろんおらず、仕事も何しているのかわからない。けれどたまに会ったら独特で面白い人で、興味湧いて話しかけてしまうようなおじさんだったりおばさんだったり、全然悪い人じゃないけれど評判は悪くて、親戚の中でも立場が低く、いてもいなくてもだいたい悪口を叩かれているような、そういう感じの人。理想。

僕はサリンジャーが好きなんだけど、サリンジャーがやったことは色々失敗だったらしく、特に家庭を築くにあたってはかなり色々と娘や誰それに恨まれたみたいだ。その後はどうか知らない。そして彼は金を持っていて才能もあって小説がニューヨーカーに掲載されていたような人だから全然住む世界が違う。それにしても離婚してからのサリンジャーの隠遁生活というのは若干近いかもしれない。彼はその後何かを見つけられたのだろうか。

J・D・サリンジャー - Wikipedia

他にも誰か例は思いつくだろうか。そうではなくても、だいたい感じは掴めたと思う。今まで書いた理想の中年の話っていうのは別に本題には関係ない。この辺りでタイトルに戻ろう。誕生日嫌いと言っても「毎年誕生日を迎える度に年を取るから嫌い、早くいい人見つけて結婚できないかな」なんていうクリスマスケーキ説を気にする丸の内OLじみた理由からではない。若さに対する執着とかはあまりない方だと思う。何しろ僕自身は若い頃に若いことが理由で何か良いことがあったかというと何もなかった。体力はなかったし見た目がいいわけでもないから、齢をとって失ったものというのがあまりない。性欲ぐらいか。そんな話は良いとして、誕生日嫌いな理由としては、単に鬱陶しいから。あまり意味がないと思っている。誕生日というのは、書類上の記号だ。年齢を計測するための基準になる日付でしかない。誕生日を迎えようが迎えまいが人は毎日毎秒老いており、日付を越えて急に年を重ねるわけではない。節目でしかない。人類はなんとなくそれを祝ったり祝い合ったりしているが、僕は子供の頃からそれの意味がわからなかった。ただなんとなく流されてはいたが、中学ぐらいから誰かの誕生日を祝ったり祝われたりする習慣はなくなった。他の人がどうかは知らないけれど、そういうのすごい鬱陶しいだけだと思っていた。誕生日に限らずその、日付とか記号とかにこだわることがよくわからないだけだったりする。なんとか記念日とか、すごいアホみたいどうでもいいと思っていたから。

だから、facebookで誕生日の通知来たりするのあれすげー邪魔。別に他人の誕生日なんか興味ないでしょ?コメント書きましょうみたいなの出るけど自分の書かれたら返してあげたほうがいいかなとか思ってしまうから自分の誕生日は非公開にしているし、もうなんだろ、誕生日とかどうでもいい。

ただまあ、あまりそういうことを言うと「あの人ひどい」みたいに風当たりが強くなってさっきのロイおじさんじゃないけど生活のハードルが上がるため、誰かの誕生日を祝う時に「はぁー誕生日来たって年取るだけだし全然うれしくない」みたいな事を言ってると「何言ってるんだよ!去年のこの日から1年経ってまたこの日を迎えられたっていうことは素晴らしいことなんだ!君がそうやって元気でこの日を迎えられたことを祝福し、また来年もこうやって元気にこの日を迎えられることを祈る日なんだよ!誕生日おめでとう!!」などと心にもない言葉を口にしたことは、あったなあ何度か。

他の人たちが祝うのも、おそらくは自分の子供に対して祝うことが一番多いんじゃないかな?誕生日。成長記録みたいな形で。ただまあ自分には子供いないし、いたとしてもその日付にこだわることに関しては意味を見出せないから、毎日何らかの形で成長を見守ったりするんじゃないかな。わからないけど。いや、でも、別に人の誕生日は祝うよ。基本的には興味ないだけで他人を祝福する気持ちがないわけではない。今日誕生日の人おめでとう。