ヨーロッパにおける学費無料の大学について

2013年の夏、大阪に住んでいた頃にノルウェー人とカナダ人がうちに2週間ほど泊まっていった。彼らは九州の日本語学校に通っており(ノルウェー人の方は6ヶ月勉強してかなり流暢な日本語を操っていた)夏休みということで日本各地を旅行していた。彼らの年は21とか23とかだったと思う。二人に「日本滞在が終わったらどうするの?」と聞いたら「ノルウェーの大学に行く」と言っていた。二人共らしい。一人はノルウェジアンだからわかるけれど、カナディアンの方もノルウェーの大学に行くということなのだ。「なんでマックス(カナダ人)もノルウェーの大学に行くの?」と聞いたら「学費が無料だからさ」と返ってきた。マジか、と思った。確かにそういう話はどこかで聞いたことがあった。

 

先日ライフハッカーの記事を目にした

ここにはドイツ、ノルウェー、フィンランドのいくつかの大学において留学生も学費無料だということが書かれていた。しかも講義は英語で受けることができるとか。この記事には住居費やインターン、就職についてサイトが紹介されているものの、留学にあたっての詳しい内容が書かれていなかった。また、ヨーロッパ生活の良い面しか書いていないような一方的な内容についてブコメによる批判も多く、飽くまで「そういう選択肢もあるよ」という紹介、触りでしかないことが見て取れる。では実際にヨーロッパで学費無料の大学に行くなんてことは、一般的な日本人に可能なのだろうか。どの程度現実味のある話なのか気になって少し検索してみた。

同じ人の記事

ここで新たにわかったのは、実際にノルウェーの大学院へ留学している日本人の記事、TOEFLのスコア80点以上必要なこと(検索したらIELTSでもいいとか)、英語で検索したほうが情報量は多いということ。

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英語はどれぐらい必要か

最初に貼った記事にTOEFLのスコアは80以上必要だと書かれていた。TOEFLは勉強したことがないから実感がわかないけれど、IELTSなら少しだけかじったことがある。IELTSは5.5から6.5のスコアが必要だそうだ。このスコアがどれぐらいかというと、一般的に6.5というのは英語圏における高卒レベルの英語が操れるスコアと言われている。個人的な感覚では、リスニング、リーディングは頑張れば取れるスコアであり、スピーキングもそれ用の対策を取れば(IELTS講習などを受ければ)めちゃくちゃ難しくなはないだろう。問題はライティングで、これはかなり努力を要する。僕がカナダでIELTSコースを取っていたときは、ライティングが出来なさすぎて嫌になり1ヶ月で辞めた。出来ない自分に向き合う信念と根気が必要だ。ただ、絶対無理というほどのレベルでもない。6.5を目指すなら半年ぐらい真剣に取り組まないといけないかもしれないけれど、5.5でいいなら3ヶ月ぐらいで済むかもしれない。前提のレベルにもよるが。この5.5〜6.5っていう幅は行先の国や大学、学部で変わってくるのだろう。

英語の学習についてはコスト面でフィリピン留学がよく勧められている。時間とお金に余裕あるなら英語圏にワーキングホリデーで行ったりして現地の英会話学校に通ったりするのもいいかもしれない。ワーキングホリデーであればお金がそれほどなくても現地で働きさえすれば学費もなんとかなる。フィリピンは行ったことないからわからない。個人的には英語圏においてネイティヴたちとの自然な会話を経験しておくと、スピーキング試験なんかの感覚は掴みやすいと感じた。

年齢について

トロントで会った日本人の女性がカナダの大学院を出ていた。彼女はアメリカの大学を出てそのままトロントの院に行ったらしいけれど、院に行って驚いたのがその年齢層だと言っていた。おじさんばかりで20代の若い女性は彼女だけだったらしい。どうも大学院っていうのはそういう話をよく聞く。最初にURLを貼った記事でも大学の平均年齢25歳と書かれていたから、年齢で悩んだりというのはあまり必要ないのかもしれない。僕自身既に30代だけど、おそらく浮かない。補助や給付を受けたりするにあたっては年齢制限があったりするかもしれないので、具体的な話は自分の年齢に合わせて調べてみてください。ちなみにトロントの人は理系の学部で、英語がそこまで完璧でなくても理系なら通用するということだった。外国でも日本の理系強いもんな。

クロアチアで会った旅行者の話

2015年の5月、旅行していた時にクロアチアのホステルで一人の日本人と会った(日本人は僕と彼だけだった)。彼は21歳だったと思う。スウェーデンで10ヶ月の留学を終え日本に帰る途中で旅行しているということだった。彼の場合は大学の交換留学プログラムでスウェーデンへ行ったとかなんとかだったから形式は少し違うけれど、留学の話を少し具体的に聞けた。

  • 留学生向けに全て英語で講義を受けるコースがあり、スウェーデン語は一切必要なかった
  • 日本人は彼以外1人もおらず英語を介してアメリカ人や各国の留学生と親しくなった
  • たった10ヶ月でも英語で講義を受け、周りとコミュニケーションを取ることしかしていなかったため英語が異様に上達した
  • ヨーロッパ各地を旅行した
  • スウェーデンは飯がまずい
  • 日本に帰ったら就活だけど、外資しか受けない

これを聞いた時失敗したなあと思った。僕は1年半もカナダにいたのにろくでもない暮らしをしていたため英語は全然伸びなかった。僕の場合は留学できるレベルの英語スコアが無いためそもそも留学というのは選択肢に挙がらなかったけれど、実際に経験してきた人の話を聞いてその選択肢の中身をリアルに実感した。

オーストラリアで出会った若者へ

オーストラリアに来てから会った日本人の一人で、中卒の人がいた。彼は日本に居た時、本当は大学に行きたかったけれど親の都合か何かで高校にも行けなかったというようなことを言っていた。しかし成人して親元を離れ、貯めたお金で今はオーストラリアに来ている。僕は彼にこの話をした。つまり、ヨーロッパには学費無料の大学があるということ。彼がもし本当に大学に行きたくて、お金の都合で行けなかったとしたら今からでも学費無料の大学へ行ってみてはどうかということを言った。今から日本の大学へ通うというのは勉強も年齢的にもお金の面でも厳しいかもしれない(特にお金)。そしてオーストラリアにまで出てきているんだから今更日本の大学へ行くこともないだろうと思う。彼が同世代と日本のキャンパスライフを味わいたかったという意味で「大学へ行きたかった」と言っていたなら僕の話は全く意味を成さない。しかしそうでなければ、試してみる価値はあるんじゃないかと思って声をかけてみた。

カナダへ行く際に、大学へ行くということも少しだけ頭がよぎったけれど「学費の面で無いな」という結論に達した。「どうにもならないほど学費が高い」というわけではないが、その学費を捻出してまで真剣に取り組み退路を断つ、というほどの気概はなかった。そういう状況に身を置けばストレスとプレッシャーで押し潰される。その学費という足枷が取り払われた「ヨーロッパ留学」という選択肢はかなり良いと感じた。英語の習得までに時間もかかりお金も多少かかるが、日本や英米の大学の学費に比べればたかがしれている。いざ入学出来て、どう頑張っても大学を卒業できなかったり学ぶ内容についていけなかったりそもそも合わなかったとしても、「学費無料だったから」という諦めがつく。これが数百万の貯金して準備していればそう気軽にもいかない。

それにしても大学で真剣に学ぶ気概は必要になってくる。日本の大学(文系)とは違い、大学で学ぶこと→インターン→就職という流れがある国においては講義への取り組み方も本気になる。学びたい内容を真剣に吟味し、そのコースで学び始めることができるレベルまでには事前に達しておかないと厳しいだろう。お金の足枷が軽減されたとしてもそれぐらいの気概は最低限必要になってくるという印象がある。

これからの時代、500万近いお金を払って(借金をして)日本の私大へ行ったり地獄の受験勉強をして国公立大学へ行ったりする学生は減るかもしれない。その代わりの選択肢として学費無料の大学へ行くというのは十分すぎるほど魅力的だろう。

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