5ヶ月目でもう働きたくない

ずっとそうだったと言えばそうなんだけど、もうすぐ辞めるということもあり「働きたくない度」がピークに達している。しかしそれは僕に限った話ではなく、周りにいる人達がみんな辞めたがっている。実際辞めることが決まっている人も多く、今週に2人、来週にも一人、再来週に一人、そして3週間後には僕が辞める。オーストラリアにおけるワーキングホリデーの労働では短期で辞める人が珍しくなく、人が入れ代わり立ち代わりしている。そんな中でみんな辞めたい辞めたいと言っており、特に長い(5ヶ月でも長い)人は限界に達している。労働内容がすごく嫌というわけではなく、一緒に働いている人がすごく嫌というわけでもなく、労働環境が悪化したというわけでもない。何故こんなに嫌気が蔓延しているのかと言うと、一つは飽きであり、他には時期がある。

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オーストラリアまで来て何やってるんだ、という気持ちがおそらく誰の中にもある。ただお金を稼ぐためだけに誰でもできる労働に従事し、限られたビザの中で数ヶ月やら半年やら過ごす毎日、一体俺は何をしに来たんだ。ここオーストラリアでは賃金が良いことが大いに魅力であり、そういう誰にでもできる労働で月収30万ぐらいもらえるため、本当にただお金を稼ぐためだけにいろんな国、物価の安い国などから労働者がたくさん紛れ込んでいる。それは日本人にとってもほぼ同じ。こちらに来てよく聞くのが「オーストラリアに魅力を感じない」という言葉だった。観光名所が特別優れているわけではなく歴史があるわけでも文化があるわけでもなく、人がいいわけでも食べ物が美味しいわけでもない。もちろん良いところはたくさんあって、気候がいいとか海がきれいとかのんびりしたムードとか、ただそういう部分に関しても別にオーストラリアが特別一番良いというわけではない。この場所に人を惹きつけるような特別な魅力というのをあまり感じない人が多い。そして一番の魅力はやはり金となってしまう。誰しもにとって。

いくら賃金が良いとはいえ、数ヶ月間同じことを延々と繰り返していれば飽きが蔓延する。それでもお金のため、と言って続けるのが通例だけど、それなら日本でやればいい。わざわざオーストラリアまで来てやることではない。そうは言いつつも我慢しながら働く。労働の中に発見や喜び、上達やら理解を見出しつつなんとか気力を保つ。理由其の二として、不況がある。オーストラリアが不況というわけではなく、単に今バイト中の環境において市況がかんばしくない。当のオーナーからすれば利益は上がらず、そのため供給を減らし、労働時間は短縮され、人員削減、事業縮小、労働における向上心も削がれ、時間が減った分給料も減り、それをアテにしていた労働者は一人、また一人といなくなり、残った人間の間にも早く辞めて次に行きたいという気持ちが広がる。職場は敗戦処理さながらのムードが漂っている。理由其の三は人間関係だろうか。それまでに挙げた飽きと不況とも大いに関係している。ムードは伝染し、人間関係に悪影響を及ぼす。これについて僕個人的にはあまりどうでもよく、それ以外の人は多少気にしているかもしれない。理由其の四、気候。ただただ暑い。今日は土曜で休日だが37℃を弾きだした。今日が休みでよかった。先日は42℃の中を汗かきながら労働し、昨日はそこまで気温が高くなかったものの熱中症の頭痛を伴いながら炎天下の中を作業していた。こればかりは外仕事だからどうしようもない。

さて、そういった環境の中で職場を変えるのもよし、いっそのこと一時帰国をするのもよかろう(コストの無駄だと思うけど)、思い切って遠くへ移動することもできる、しかし、当然ながらまだ続けるということもできる。自分である程度スケジュールを決めていたり、ビザの関係やお金の都合だってあるだろう。もう少し残るのであれば、この「働きたくない度」というのは非常にやっかいになってくる。それをぶら下げたまま日々を過ごすのは自分にとっても周りにとってもよくない。いや、周りなんかどうでもいい。とにかく、気分を上げなくてもモチベーションを保たなくても今この場を快適に過ごすことが、日常生活を営むにあたって最も重要になってくることかと思われる。やっかいごとはひとまずどこかに置いとく。そんなものは自分でどうにかできることじゃなかったりめんどくさかったりするだけだから、自分の事だけ考えて気持ちを和らげることが肝心だろう。それでは、具体的にどうするかというと実に簡単な話で、僕が思いつくのは「行ったことのない場所へ出かける」「読んでいない本を読む」「聞いていない音楽を聞く」「見ていない映画を見る」「食べていないものを食べる」「新しい計画を立てる」「やっていないことをやる」「考えていなかったことを考える」日常生活における些末な出来事よりも、きっと自分には大切な何かがある。そういうものに精神と肉体を向ける。そういう時間こそが自分をクリアにし、クリーンに保ち、クリエイティヴな毎日へと繋がるのである。何か新しいことに手を付けよう。