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結核という病の時代

結核という病は一つの時代を象徴しているように思う。それほど一般的であり、尚且つ重大な病だった。多くの著名人が結核を患い、亡くなっている。結核にかかっていた人は僕が知っているだけでも太宰治(死因ではないが)、梶井基次郎、フランツ・カフカ、アントン・チェーホフなど、作家ばかりだけど他に有名な人だと高杉晋作、沖田総司、ショパン、滝廉太郎などがいる。有名人でそれだけ多いということは、有名でない人の間でもそうとう蔓延していたのだろう。結核はワクチンが見つかるまで一般的には不治の病であり、死に至る病だった。ワクチンや予防接種(僕らの世代まではハンコ注射でお馴染みのBCG)が一般的になったのは1950年代頃からというからだいたい60年ほど前、親世代はもう生まれているつい最近の話だ。

Category:結核で死亡した人物 - Wikipedia

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少し昔の本などを読んでいると、当たり前のように結核の話題が出てくる。結核を扱う際によく出てくるのは、サナトリウム、喀血などだろうか。サナトリウムという言葉は現代においてあまり馴染みがない。結核患者ばかりを集めた療養所であり、結核は空気感染するため罹患者たちが一箇所に集められる。隔離病棟と言えば現在は精神科をイメージするけれど当時は結核だった。僕はトーマス・マン「魔の山」や太宰治「パンドラの匣」などで読んだことがある。喀血という言葉もあまり馴染みがない。肺結核を患うと肺に血が溜まり、咳とともに吐き出してしまう症状が喀血と呼ばれる。吐血との違いは、吐血が胃などから食道を通して血を吐くのに対し、喀血は肺から気管を通して血を吐く事を言うらしい。古い映画やドラマなどを見ていると咳とともに血を吐くシーンがある。それが結核を表していることは多い。 

魔の山〈上〉 (岩波文庫)

魔の山〈上〉 (岩波文庫)

 

現代において代表的な死に至る病は癌になるが、癌とは少し違う恐怖の特徴を持っている。結核の何が怖かったかというと、若くてもかかること、空気感染すること、ワクチンが無かった当時は死亡率が高かったこと、そしてそういう病気が平然と蔓延していたことだろうか。今ではあまり想像できない。僕の知り合いにも二人ほど結核にかかったことがあるという人がおり、一応治って日常生活を営んでいる。生きた時代が当時でなくてよかったと思う。

結核の時代には、病に伴い今とは違った常識、空気が蔓延していたことと思う。それは闘病のつらさであり、それに向き合う人間の姿であり、絶望であったように思う。梶井基次郎なんかは作中でもよく自身の病を扱っている。太宰治の小説にもよく出てきた。斜陽なんかは有名だろうか。それは決して一般的な姿ではないと思うけれど、久々にいくつか読んでみようと思った。

のんきな患者

のんきな患者

 

文化としての結核、その歴史