パース近郊のオオクマファームで働いていた

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2015年の冬から夏にかけて、パース近郊にあるオオクマファームというトマト農場でお世話になっていた。ここは日本人の大熊さんが経営している農場であり、ワーキングホリデーで多くの日本人が働きに来ているため西オーストラリアに来る日本人の間では有名らしい。僕がここの事を知ったのは2014年にワーキングホリデーでパースに来ていた前原さんという人のブログからだった。前原さん自身はオオクマファームで働いていなけれど、知り合いが働いていたということでブログに紹介されていた。

読売テレビ | グッと!地球便

大熊さんがテレビ取材された記事

 

労働環境

オオクマファームでは基本的に日本人しか雇っておらず、職場において英語環境などを求める人にはおすすめできない。男女比はどちらかというと女性が多いが、大体同じぐらいになる。年齢層は20代後半から30代が多い。これは大熊さんの採り方だそうだ。場所はBaldivisというパースから南へ50kmほど下った郊外になる。もう一つセツコファームというオオクマさん経営のトマト農場があり、そちらはCarnarvonというパースから北に1,000km離れた場所になる(カナーボン農場については行ったことがないため詳しく知らない)。労働者を募集しているのは9〜11月がピークとなる。Baldivisは一応年中仕事があり、募集が出ていれば検討してもらえる。6〜9月頃は人数が少なく、僕が入った9月は7人ほどであり、出た2月は17人ほどだった。Carnarvonは11月頃に農場を閉めるため、11〜6月ぐらいの間はおそらく募集していない。

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お金の話

  • 時給 $21/h(タックスジョブ・研修期間は約$18)
  • 勤務時間 am8:00〜pm5:00(変動あり)
  • 勤務日数 週5日または6日
  • 週労働時間 30〜45時間

賃金は、僕が行っていた2015年だと$21/h。研修期間が1ヶ月ほどありその間はだいたい$18/hになる。タックスジョブであるため、あらかじめ銀行口座やタックスファイルナンバー、スーパーアニュエーションを用意しておくことが望ましい。労働時間はam8:00〜pm5:00までと一応決まっているけれど、シーズンや日によって終わる時間はバラバラだ。これはトマトの生育状況や採れ高に左右されるため、ときどき休みになったり休みがズレたりする。基本は日曜休みの週6日間勤務。冬は週5勤務が多かった。ちなみにファームでは当たり前だけど休日手当や祝日なんかは無い。

給料の支払いは2週間区切りの日曜日締め翌火曜日支払い。多かった週は2週で$1,850(手取り$1,250)ほど。少なかった週は$1,600(手取り$1,100)行かないぐらい。どれ位貯金できるかは支出によるけれど、僕は3ヶ月で大体40万円+タックス30万円、5ヶ月いて55万円($6,500)+タックス45万円($5,500)ぐらい貯金したことになる。

仕事内容

仕事内容はおおまかに分けると3つになる。一つはトマトの栽培、もう一つは収穫、最後に箱詰め。このうち僕が入っていた時期は男性が栽培の管理と収穫、女性が収穫と箱詰めを行っていた。栽培をしていないシーズンは男性も女性も箱詰めだけを行うけれど、そういう時期は年間を通して短い。他に例外というかレアジョブとしてトラックで配送をやるケースもある。運転が得意であれば配送を募集しているか尋ねてみてもいいと思う。

栽培は苗植えから始まり、植えた苗の手入れを2ヶ月ほどかけて行っていく。1ヶ月間隔程度で別の畑に順次植えていくため、手入れの作業は年間を通して続く。収穫は列に沿ってトマトの色を見ながらどんどんバケツに入れ、バケツからカゴに移してカゴを荷台で運びながら列を進んでいく。箱詰めは収穫したトマトを販売用のプラスチックケースに詰め、重さを測って輸送用のコンテナに詰めていく作業となる。

ついで言うと長く働ける人が望まれている。半年は普通で長い人だと1年以上もいた。すぐ辞める人も多くいたけれど、3ヶ月以上は働ける人のほうが望まれていたような気がした。

大熊流

大熊流はとにかく速さが命であり、器用で早い仕事が得意な人は向いていると思う。また、向上心を持って真面目に努力する人が求められる(だから日本人ばかり採るとか)。仕事ができなくてクビになった人は僕がいた5ヶ月の間に2人いた。僕自身も最初の方仕事があまりに遅くてクビになりそうだった。遅ければ怒鳴られるしボロカス言われるし「どうやったら早くなるか自主練しろ」と言われて仕事が打ち切られ、無給の自主練タイムが始まったりする(もちろんそこで無給だから働かないというのは勝手だけどクビになる)。「仕事が遅いとクビにする」はもう大熊さんの口癖のようになっていた。

日本人しかいないため日本社会となり、礼節を求められる。オーストラリアに来てまでそういう環境はちょっと、という人はやめておいたほうがいいだろう。こういう説明をすると「日本の社畜乙」って感じに見えるけれど大熊さんはすごくいい人で、ファームの仕事としては他と比べても楽な方であり給料も環境も良いから相性の問題だと思う。他のファームと違って音楽聴きながら仕事したりはできない(僕がいた頃は箱詰めの作業場のみ音楽流すのを許可されていた)。

シェアハウス

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  • $145/週
  • 2〜4人部屋が5室、計12人前後
  • wi-fi有
  • トイレ、シャワー2ヶ所
  • 各部屋に扇風機、リビングにエアコン有
  • 自転車の貸出有

シェアハウスに関しては、オーストラリアに来るとこんなもんだ。他のファームやバックパッカーズに比べたら値段も環境もマシだという話をよく聞く。家の所有者が大熊さんであり、多少ルールが厳しいというぐらい。ある程度綺麗に使っていないと怒られる。ネットの速度は普通だけど、人数が増えたらよく止まったりもしていた。庭があり、そこに洗濯物を干している。夏は庭で時々バーベキューをしたりもする。

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シェアハウス以外にはトレーラーハウスとテントがある。トレーラーハウスはカップル限定で一人あたり$150/週、テントはシェアハウスが満員の時限定で$70/週、2人まで(※最近は利用していないとか)。追加で新たにシェアハウスを建設予定と聞いている。

周辺環境

  • ファームまで自転車15分
  • ショッピングセンターまで自転車15分
  • コンビニまで自転車5分
  • バス停まで徒歩3分
  • パース市街まで電車バス乗り継いで約1時間半

必要最低限の環境は周辺に整っている。ショッピングセンターにはcoles、woolwarth、kmartを初めリカーショップやマクドナルド、ケンタッキー、キッチン用品店や薬局、銀行の支店がある。小さなフードコートやカフェもあるけれど利用したことはない。週末になるとみんなパース市街へ出向いたり海へ泳ぎに行ったり釣りに行ったりしていた。

観光

周りには基本的に何も無いため、観光するとなるとパース近郊になる。パース近郊で観光地となればロットネスト島ぐらいだろうか。車があれば、シェアハウスからフリマントルまで1時間ほどで行ける。フリマントルからロットネスト島はフェリーで30分。他に日帰りで行けるようなところというのは遊園地とか、まあ行きたければ。

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セツコファーム

序盤に少し触れたが、大熊さんの経営する農場がもう一つカナーボンにある。こちらには行ったことがないため詳しいことはわからないけれど、話を聞く限りではこちらのほうが良さそうだ。聞いた範囲でバルディビスのファームとカナーボンのファームを比べてみよう。

良い点

カナーボンにはセツコファーム(大熊さんの農場)の他にも沢山の農場があり、他の農場で働いているワーホリ生や外国人と交流できる。バルディビスには他の農場がないため労働者同士の交流というのがなく、全くの日本語環境だったがその点カナーボンは大きく違う。遠隔地のため大熊さんは定期的に通うものの、ワーホリ生にてほとんどの自治が行われている。

悪い点

スーパーはあるがショッピングセンターのようなものはなく、市街まで行くようなこともできない。虫が多い。

僕が話を聞いた限りではカナーボンで働くほうが良さそうだった。ちなみにカナーボン農場では箱詰めの作業がなく、栽培と収穫のみになる。シェアハウスは農場の中にあるため通勤時間も無し。

働いていた人たち

これは飽くまで僕がいた時期の人たちであり、その時々で全然違うだろう。僕がいた時期にもいろいろな人がいた。世界一周を経験している女の子が2人いたり、南米も旅行している人、僕以外にキューバへ行ったことある人、その人はイエメンやシリアなんかも訪れたことあると言っていた。そうやって各国を旅行している人が何人かいたりして、それぞれが訪れ体験した外国の話なんかは面白かった。全身ムキムキでスキンヘッドでヒゲ面の人は香港でガーナ人の武器商人に同業者と間違われ「なんで日本人は銃火器を買わないんだ」と問われたりしたそうだ。

他にも日本で肉体労働をしていた人なんかは大熊さんにも重宝されたり、刺青が入っている人もよくいる。看護師もだいたい一人はいる。美容師をやっていた人に髪切ってもらったりもしていた。プログラマの人がこっちで専門学校へ行くための学費を稼ぐために来ていたりイラストレーターの人もいたり、日本で地下アイドルみたいなのをしていた人もいた。ボクシングをやっていた人は総合の試合に出たことがあり、その人の後輩が大晦日の番組に出場してタイ人とキックの試合をしていたとか。こうやって書くと個性が強いように見えるけれど、全然普通の人達だった。

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もっと詳しく知りたい人がいればどうぞ聞いてください。僕が働いていた時期と今では事情が変わっているかもしれませんので、その点に関しては保証できません。タックスリターンやセカンドビザなどの制度も随時変わっているため、合わせて条件も変わる可能性はあります。また、2016年は少し規模を抑えるとおっしゃっていたため採用人数やシェアハウスの人数も減るかもしれません。