帰国日記

1年と7ヶ月ぶりに日本に帰国したからといって、何かこう大したことがあるわけではない。そういう意味では実に寂しい人間なのです。オーストラリアは夏だったから、こっち来たら寒い。それでもここ数日は暖かかった。そんな季節のあいさつぐらいしか出てこない。先週までずっとパン、パスタ、ソーセージ、コーヒ―、トマトしか食べていなかったのが日本に帰ってきてからはすき焼き、串カツ、イタリアン、神座、とんかつ定食と日本の食事を堪能している。堪能といったって特に感動があるわけではない。先月まで1ヶ月の出費は家賃以外2万だったのにこの4日でもう2万以上使っている。あらら、怖いわね日本。

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日本に来た外国人が、マスクをしている日本人を見て驚くという話がある。外国(欧米)ではマスクをして歩いている人なんておらず、マスク自体医者とかしか使わないって話はけっこう有名だけど、あれ実は意外と理にかなっていた。僕が居たカナダとオーストラリアと旅行したアメリカやヨーロッパ数か国では、外出時にマスクが必要になるような状況はなかった。日本だとそこら中にいるような咳やくしゃみを連発しながら歩いている人は滅多に見かけない。つまり、風邪だと外に出ないしインフルエンザのような伝染病は蔓延していなかった。そんな環境だとマスクが必要なわけがない。だから、日本人がマスクをするのも欧米人がマスクをしないのもどちらも理にかなっている、という風に納得した。病気蔓延大国ニッポン。

京都で春画展がやっていたから行った。入館時間ギリギリの夕方5時だったけれど人はたくさんいて、横の人がずれないと次の絵がずっと見れないような状態だった。客はどちらかというと女性が多い。男女の連れ添いもいたが男だけで来ている人はあまり見かけなかったように思う。春画自体はネットで見たことがあり、現物を見るのはもちろんこれが初めてだった。葛飾北斎、喜多川歌麿、菱川師宣といった誰でも教科書で見たことがあるような人の誰でも教科書で見たことがないような絵が展示されていた。版画もあれば肉筆のものもあり、色のない線画もあった。性器の描写がかなり細かく強調されており、形やシワ、陰毛までくっきりと描かれている。それが実にグロい。そしてあのドラえもんみたいな表情。こういうのを見ているとどうしても時代背景を考えてしまう。かなり変態的な内容も多く、当時はこういうのが普通だったのかな?と思われるけれど、現代のエロ本やAVが日常生活を描いているわけでもない。現代のエロ本やAVも後代にて芸術的評価を受けたりすることはあるのだろうか、とか。浮世絵なんかは外国でその美術的価値が評価されるまで日本ではそれほど価値ある物とされてこなかった、という話を小学生の時に聞いたことを思い出した。現代でも日本において芸術に限らずデザインなんかが蔑ろにされている傾向が強い。そういうのは街の景観や広告文化にも如実に表れている。

春画展 | 京都 細見美術館(4.10までやってる)

日本を離れている間に日本で起こった変化の中で「これよくやったなあ」と思ったことが二つあった。一つは携帯3キャリアの牙城を崩してMVNOが台頭したこと、それに伴いsimフリーが義務化されたこと。もう一つはwi-fiの広がり。特に京都だと各駅で無料wi-fiが利用できるようになっていて驚いた。それもツイッターログインやfacebookログインだけで利用できた。大阪にはまだそういうのなかった。東京は知らない。こういう公衆無線LANと呼ばれるものはsim契約していれば当たり前に必要ないかもしれないけれど、外国から来た旅行者にはかなり有り難い。日本のsimなんて持ってないから。ついでに京都ではやっと市バスでICカードが使えるようになって移動が楽だ。ただ実際にはほとんど使っている人を見かけない。飲食店や小売店におけるクレジットカード決済なんかはまだあまり普及していなかった。スクウェアリーダーってどうなったんだ。

日本に帰って一番やりたかったのは、本棚にある本を読むことだった。このあたり。地味王。

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そうこうしているうちに日本にいるのもあと一週間になった。