読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

バイロンベイ、ニンビン、サーファーズパラダイス③

ワーキングホリデー 旅行

前回の続き

目を覚ますとティピの中には他の人がいた。自分以外に一人だけ、おっさんであり言葉が通じる感じではない。その人はリュックを置いて出ていった。僕は共用施設へ行ってシャワーを浴びたり、やることがなくてうろうろしていた。ティピには当然ながらwi-fiもない。ロビーにはあるかもしれないが繋いでいない。宿泊客は10人ぐらいいただろうか。ここでも無料で宿泊する代わりに掃除やシーツの交換などの業務を手伝う仕事を募集していた。最長で3週間までいられる。こういうのを日本人の間ではフリアコ(free accommodation)って呼んでいるらしく、パースで一緒に働いていた人の中に、フリーアコモデーションでここに滞在していたことのある人がいた。

「自然が多くていいところだよ。一週間ぐらいはいたら?」

そう言われたが宿泊代がいらないとはいえ、この何もやることがない場所で一週間も過ごすというのは厳しい。無理すれば堪えられると思うが、そんなことをする意味が見出だせない。明日には去ろうと思い、再びティピへ戻って寝た。もう寝るしかやることがない。

しかしそう何度も何時間も寝られるわけではない。ティピから出て、座りながら空を眺めたり暗闇の写真を撮ったりしていた。

f:id:kkzy9:20160418174311j:plain

スポンサードリンク  

夜2時頃、カメラを持って歩いていたら、フリーアコモデーションでここにいるらしき人に話しかけられた。

「何やってるんだ?まあ座れよ、吸うか?」

彼はマリファナを吸っていた。

「どこから来たんだ?ここはいいところだろ、好きなスポーツはなんだ?俺はラグビーが好きで15年もやっていたんだ、だけどケガしてできなくなった。ラグビーは好きか?そういやこないだラグビーの日本代表がニュースになっていただろ、知ってるか?世界第三位の南アフリカに勝ったって、あれはいい試合だったよ、いいチームだ。俺はここで働いているんだけど、マカダミアナッツの農場でも働いているんだ、早朝友達に車に乗っけてもらってさ、今は人が足りているけれど他にも農場はあるから、働く場所なら探せば見つかると思うぜ」

同じく従業員らしい女性が「彼が起きてしまった!」とこのラグビー男を呼びに来て、行ってしまった。僕はティピに戻って今度こそ朝まで寝た。

起きてからチェックアウトを済ませ、バンがタウンまで行く時間を待っていた。その間やはりやることがなくてうろうろしていると、昨日タウンへ行く途中に会った若者の一人に会った。

「おお、ここに泊まってたのか。俺は向こうのテントに泊まってたんだ」

「でも今日バイロン・ベイに戻ろうと思っていてね」

「本当か?今日俺らバイロン・ベイに行くつもりだから乗っていくか?」

「いいの?」

「聞いてくるよ、俺の車じゃないから」

妙に言葉が聞き取りやすいと思ったら、彼はカナダ人だそうだ。モントリオールから来ており、YHAのキャンプスペースに持参したテントを張っている。そしてオージーの何人かに同行しているようだ。彼の友達というのは皆オージーだった。僕は車に乗せてもらえることになり、車の持ち主がスペースを作ってくれた。犬を連れている。

f:id:kkzy9:20160418174534j:plain

f:id:kkzy9:20160418174558j:plain

車はニンビンからバイロン・ベイに向けて出発した。めちゃくちゃ飛ばす。途中でケープ・バイロンという海に寄り、僕以外のみんなは泳いでいた。とても波の高い。ここはヌーディストビーチあり、そこら中でフルチンのおっさんが歩き回っていた。

「何でヌーディストビーチはどこ行ってもおっさんか年寄りばかりなんだ?」

同行者の一人が嘆いている。そのままバイロン・ベイまで送ってもらい、彼らは今日一日ここに留まるかニンビンに戻るか迷っていた。どうも結論が出そうになかったので、僕は日本から持ってきた些細なみやげを渡し、お礼を言ってその場を立ち去った。

時間はもう夕方だ。バイロン・ベイのバックパッカーズへ行って部屋が空いているか聞いてみた。今日は空いてないと言われる。他のバックパッカーズでも同じことを言われる。今日は土曜だということと、既に時間が遅いということもありもう一杯なのだろう。いくつか周ったがどこも空いていない。

「ビーチで野宿するのは違法なんだっけ」

バックパッカーズの受付に聞いてみた。

「違法だけど、見つからないように野宿できる場所はある。もっと西の方へ行ってみれば問題ないと思うよ。このあたりでは今朝も見つかっている人がいたんだ」

バイロン・ベイの砂浜で野宿して、明日ここを去ろうと思った。言われた通り西の方へ歩き、人が少なく寝られそうなところを探した。夜も更けてくると、だんだんと人はいなくなってきた。ビーチも昼間は暑いけれど夜は寒い。僕はこっちへ来てからずっと短パンだったのをジーンズに穿き替え、ジャケットを着て寝た。

朝、眩しくて目が覚めた。街の中心まで行ってバスを予約する。ゴールドコーストのサーファーズパラダイスまで$30。近くのカフェでコーヒーを飲み、パイのようなものを食べながらバスが来るのを待った。その間に宿を予約しておこうと思った。二日続けて慣れない野宿はしたくない。バスの時間が近くなり、バス停に向かうとYHAで一緒だったスウェーデン人がいた。

「ゴールドコーストへ行くの?」

「メルボルンへ戻るんだ、これから空港へ向かう。そっちはどうしてたんだ?」

「ニンビンに行ってた。けどあまりにもやることがなさすぎて暇だったよ」

どんな形でか知らないが、彼は彼なりに休暇を満喫したらしい。バス内は人が多かったため隣り合って話すこともなく、彼とは空港で別れた。バイロン・ベイからは空港の方が近い。空港からサーファーズパラダイスまでさらに1時間ぐらいかかった。道路が混んでいたせいもある。

宿まで歩き、チェックインする。受付に

「アップグレードする?」

と聞かれ、「なにそれ?」と返すと

「10人部屋で予約したでしょ、無料で4人部屋に変えられるけどどう?」

変えてもらった。4人部屋ということだったがこの部屋には誰もいなかった。僕は荷物を置いて、街の方へ出た。

f:id:kkzy9:20160418174716j:plain

バイロン・ベイほど暖かくはない、ここではもう泳げないだろうな。それでもゴールドコーストの海岸が見たくて海の方へと歩いていった。

f:id:kkzy9:20160418174737j:plain

f:id:kkzy9:20160418174923j:plain

海岸線が続き、それに沿って街やビルがあるゴールドコースト。泳げるほど暑くはないにもかかわらず、多くの観光客で賑わっている。

f:id:kkzy9:20160418174806j:plain

f:id:kkzy9:20160418174836j:plain

f:id:kkzy9:20160418175004j:plain

結局部屋には誰も来ず、4人部屋は僕の貸し切りとなった。次の日に僕はもうゴールドコーストを離れシドニーへ向かい、シドニーへ来ても無気力のまま、何もしないまま一週間ほど滞在して移動した。そのあたりはもう書くことさえない。