快楽と依存の仕組み

依存症という言葉をよく聞く。パチンコ依存症だとか買い物依存症、共依存だったり、タバコもそうだがアルコール依存、薬物依存はあまり馴染みがないけれどテレビを賑わせている。パチンコは韓国で禁止されたのに日本のパチンコ企業は韓国系ばかりで依存性をダシに食い物にされているとか、マリファナはタバコより害がなくて依存性が少ない議論とか、依存性、依存症にまつわる意見、議論を数多く目にしてきた。今まで依存にまつわる本を読んだのは一冊だけ。依存が出てくる本は2作呼んだ。それ以外にネットで見た記事を貼る。その他、人に聞いた話など依存に関して覚えている範囲をまとめておきたい。

 

脳内快楽物質と依存症

「ダイエットできない」というのは食事依存症の一つの形だろう。僕は計らずともダイエットに成功したことがあり、方法は簡単で食事制限だった。意図的に制限していたわけではないが、めんどくさくてあまり食べないでいるとみるみる痩せていった。年齢や体質の影響もあるかもしれないが、僕が痩せたのは30歳を超えてからで、同時期にお酒も飲んでいたし特別運動もしていなかった。中年になったら痩せないと思っていたから驚いた。

しかしよく考えれば「食べる量を減らせば痩せる」というのは当たり前の話だ。健康に配慮して野菜を摂ったり食べる量を減らしすぎないように気をつければ健康的に痩せることもできる。食べる量を減らすことができないのは、食事に対する依存症なのだろう。食事に依存するのは当たり前だが、腹が一杯になっても食べるのを止められなかったり、腹が空いていなくても食欲が抑えられなかったりするのは異常だと言える(急激なダイエットは体を壊すためやめましょう)。

快楽としての食事

油、糖、塩などは依存症になりやすいと言われている。なぜ依存症になりやすいかというと、それらの食品が脳内の快楽物質を誘発しやすいからだそうだ。どれも高カロリー食品を代表する成分であり、油と言えば揚げ物、糖と言えば炭水化物・砂糖、糖と油分を兼ね備えるのはスイーツなど、油分と塩分を兼ね備えるのがプライドポテト・ポテトチップス、全てを兼ね備えるのはラーメン、ハンバーガー、ピザ。

これらの食事は単に栄養だけでなく、快楽につながっている。空腹による食欲とは別の快楽に結びつき、食事をやめられなかったり、急激に催すといてもたってもいられなくなる、それが依存だ。太っている人がだらしないと言われるのは、快楽による食事の制御できていないからだと言える。

(依存症は風邪などの病気と同じなので、理性ではどうにもならない段階があります。たかが食事でも重度の場合は医者に通いましょう。)

食事以外の快楽

いろいろ見ていくと、どうやら依存症の仕組みというのは全て快楽物質が関わってくるらしい。ドーパミンやらエンドルフィンという言葉は聞いたことがあるだろう。食事依存も買い物依存もパチンコ依存もゲーム依存も恋愛依存も仕事依存も趣味への依存も全て同じ、快楽物質が出るから。快楽を司るドーパミンへの依存につながっている。

ドーパミンが放出される行動:食べる、ときめく、運動する、イベントに参加する、笑う、歌う、発見する、達成する、報酬を得る、セックス、リストカット

面白いことに、アルコールやタバコ、ドラッグといった薬物依存も原理的には同じみたいだ。違うのは作用の仕方と度合いだけ。上記の行動は結果的にドーパミンの放出に繋がるため、その「行動」へ依存してしまうことになるが、薬物依存に関してはそういった行動をすっ飛ばして脳に直接作用するため「薬物そのもの」に依存してしまう。

マリファナもヘロインもコカインも、結果的に全てA10神経系におけるドーパミンの遊離を促進する作用に結びついている。ヘロインか、マリファナか、タバコか、アルコールか、コーヒーか、もしくはセックス、ギャンブル、恋愛、ゲーム、音楽フェス、買い物、仕事、その過程が違うだけで何を選ぼうと行き着く先は全て快楽物質ドーパミンとなる。

(依存症には「欲しい」という欲求に繋がる精神依存と、切れたら離脱症状が起きる肉体依存とあるが、ここでは精神依存のことを言う。行動や薬物に伴う快楽の量、すなわちドーパミンの量は個人差が大きい。)

間歇強化は危うい

数年前、スマートフォンアプリにおける射幸性という言葉が流行った。射幸心とは幸せを求める心という意味らしいが、これはそのままドーパミンに繋がっていると言えるんじゃないだろうか。特にギャンプルや共依存を誘発する間歇強化が危ないと感じた。おそらく一般社会においても人心掌握術としてよく利用されているだろう。

人は、ギャンブルのように報酬が与えられる頻度が少ない状況で身に付けた反応ほど、その反応に強く依存するという心理傾向があるのです。これは間歇強化と呼ばれ、報酬が定期的にもらえる反応よりも、不定期的にもらえる反応の方が、依存性を強くするのです。この理由は、定期的にもらえる報酬よりも、不定期的にもらえる報酬の方が、その報酬の価値が、相対的に高くなるからだと考えられます。不定期的にもらえる報酬は、その価値が高く感じるので、その報酬がもらえたときに、脳内の報酬系で、ドーパミンが過剰に分泌される訳です。

間歇強化は、ギャンブルの他に、ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)などにも当てはまります。小さい子供が、母親に酷い虐待を受けても、母親から決して離れようとしないのは、母親からたまに与えられる「優しさ」が、強く報酬系に作用するからだと思われます。「たまに優しくしてくれるから」とよく暴力を受ける人はいいますが、これはまさにその「優しさ」に依存しているのです。

薬物乱用の科学

寂しさや不安につけ込むといった行動は、快楽物質の誘発を利用した人をコントロールする手段だと言える。営業トークや商品広告、勧誘などにも用いらている。

親しい仲間と一緒にいるような時には最強の脳内麻薬であるエンドルフィンを分泌するように遺伝的にプログラムされており、そのエンドルフィンが不安感の軽減と幸福感の発生を助けています。他方、社会的な孤独感や親近者からの別離感などを感じる時には、脳がエンドルフィンの生産を停止するために、一種の麻薬禁断症状に陥って、不安感に満たされるのであろうと考えられています。

脳内麻薬と快感神経の謎

(βエンドルフィンはドーパミンのリミッターを効かなくさせる)

脳内物質について調べたら色々とつまらなくなってしまった

これを読んだ。面白かった。

んだよ、愛だのいっておいて神秘じゃなくて結局機械仕掛けなのかよって思った。

結構な人は自分の心の弱さのせいだと思って、ホントはなんでもない機械仕掛けだと気付かない。

一緒に友達とバカやるのも、ラーメン食うのも、恋愛するのも楽しい。けど、頭の裏でなんて事のない科学反応が起きてるだけだと思うと何だかさみしい。

俺が異常に生まれたらどうすればよかったんだろうと思う。
人を殺すことでしか、陥れる事でしかドーパミンが分泌されず生きる気力が湧かないのなら。
それでも中途半端に脳内物質に左右されない理性が残っているなら、死ぬしかない。

明日もきっといろんな脳内物質によって俺は幸福中毒に振り回されるのだろう。

何をすればドーパミンが出て、どうすれば幸福を感じられるのかは、傾向はあるものの効果は人によって様々だ。人生をうまく生きるということは、究極は脳内物質と上手く付き合うことに行き着く。自分が何に幸福を感じるのか理解し、自分の理性でもって脳内物質をコントロールし、バランスをとることが、人生との上手な向き合い方なのだろう。世界は思いのほか単純にできている。

その他薬物について聞きかじったこと

  • アヘンにより肉体依存に陥るには1ヶ月かかる
  • コカインにより肉体依存に陥るには1年ほどかかる(クラックと呼ばれる煙での吸引だと1回でも肉体依存になるとか)
  • コカインの原料になるコカの葉はお茶として日常的に利用されている(成分が弱い)
  • タバコの依存性は強く、やめようとすると夢に出るほど
  • 寝酒はアルコール依存になりやすい
  • ヘロインやコカインなど一発で死ぬ人も多い

(全て個人差があります。薬物に手を出すのはやめましょう)

よくわからない点

  • 違法薬物などは結局ドーパミンの放出を促す作用だけなのか、薬物そのものがドーパミンのような作用をするわけではないのか。外部から入ってきた薬物がレセプターに結びついて、というのはわかるんだけどその先がよくわからない。
  • エンドルフィンとβエンドルフィンは別物なはずだけどそれぞれについての書き分けがあまりなかった
  • 鎮痛、鎮静といった作用は快楽とは別に依存に繋がるのか
  • マリファナよりもタバコのほうが依存性が強いけれど、得られる陶酔感はマリファナの方が強い。効果と依存性は比例しないのか。依存性の仕組みはどうなっているのか。アルカロイドが変わることによる受容体の違いで差が出るのか。別の成分の作用による違いなのか。

このあたり本やネットを読んだだけで、体系的な知識がないため理解が追いつかない。

参考にした本

増補・改訂版 さらば、哀しみのドラッグ

増補・改訂版 さらば、哀しみのドラッグ

 

若者に対して薬物利用の危険性を説明する本

シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)

シャンタラム〈中〉 (新潮文庫)

  • 作者: グレゴリー・デイヴィッドロバーツ,Gregory David Roberts,田口俊樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
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ヘロイン中毒から更生までの地獄の苦しみが描写されている

参考にしたサイト

報酬系 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%B1%E9%85%AC%E7%B3%BB

薬物依存 dependene
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/subs-dependence.html

薬物乱用の科学
http://sekatsu-kagaku.sub.jp/drug-abuse-science.htm

長く続かない麻薬の効果
http://mui-therapy.org/newfinding/lasting-pleasures.html

快楽物質ドーパミンの闇の部分 不思議な依存症の世界 | スピリチュアル情報のトリニティ
http://www.el-aura.com/mentalnavi14/

薬物から、ゲーム、恋愛まで。実は身近な「依存症」のメカニズムと克服法 : ライフハッカー
http://www.lifehacker.jp/2014/06/140608addiction.html

脳内麻薬と快感神経の謎
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/1566/zuisou_21.html

完全合法!仕事のできる人は脳内麻薬でドーピングしてるらしい!?|Career Supli
http://careersupli.jp/lifehack/legal-brain-doping/

脂っこい食事と薬物中毒は同じ」快楽的で危険な食生活をストップする方法とは | ログミー
http://logmi.jp/28481 ※おすすめ

脳内物質について調べたら色々とつまらなくなってしまった
http://anond.hatelabo.jp/20131017201044

※間違いがあればおしえてください