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後輩だった一人が会社を辞めた

後輩だった、というのは僕が3年前既に辞めた会社の人であり、その後連絡を取っていたわけでもなく、今となってはもう全く関係のない人だから元後輩と言えばいいのか、とにかくそういう人が僕より後に会社を辞めているという話を耳にした。これがなかなかひどい話で、聞いたときには「そんなことあるのか」と耳を疑った。

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辞めた理由も辞める経緯も本人に直接聞いたわけではなく、会社に残っている先輩からの又聞きで信憑性がどのぐらいあるかというと風のうわさ程度でしかないが、そのひどい話というのは会社中に知れ回っていたそうだ。元後輩は会社を辞めたいという話を前々から会社側に打診していたが、考え直してくれと言われていた。しかし辞めたいと言い続け、ついに辞めるという話にまとまったとき、会社からある提案を持ちかけられたそうだ。それは「辞めてもいいけど会社には在籍するという建前を残してほしい。その後無断欠勤が続いて懲戒解雇したという扱いにさせてほしい」という話だった。

みなし懲戒解雇

最初聞いたときは意味がわからなかった。元後輩はもちろん無断欠勤などしていない。つまり会社側が言うのは、ある決めた日を境に事実上は退職だけど、書類上は飽くまで退職の手続きを取らずそのまま残し、その1ヶ月後か2ヶ月後か知らないけれど「無断欠勤が続いたから懲戒解雇した」という書類上の手続きを取らせてほしいという提案だった。退職金は出ないけれどその代わり無断欠勤扱いの間の給料は出るよ、とかそういう話だろう。懲戒解雇の扱いになると再就職が非常に困難になるそうで、なりふり構わないひどい話だ。元後輩が辞めることはもう決まっていたから、脅しというわけでもなく辞める人間に対しての手のひら返しと受け取れる。

ただ実際はそういう提案を受けただけで、元後輩はその話に乗らなかったため普通に自己都合退職という形式を取った。とは言え会社側がそんな提案をするということ自体に驚いた。僕が辞めるときにはそんな話はなかったが、おそらく辞める人が続出したため上から責任を問われないよう人事部が行った提案だと思われる。もしくは組織ぐるみで会社の評判を守るために、会社ではなく辞める人間に責任をなすりつけようとして画策した手段かもしれない。僕と元後輩が勤めていた会社はグループ企業だったため、こういった方針を上のどこまでが把握していたのか、どの段階から指示が降りていたのかは謎だが、もしかしてこういう手段は他社においても定番なのだろうか。僕は初めて聞いたから信じられない話だと思った。

雇用慣行が産むミスマッチ

その会社は昔ながらの社風が残っており、サービス残業も当たり前で、って社会人になったときはそんなの何処の会社でも似たり寄ったりだということを知ったが、特に金融系なんかは今後もそういった状況が改善されることはないだろうなあということを聞いていて感じた(僕は金融系ではなかった)。この構造はおそらく、エキスパートやスペシャリストを採用するわけではく新卒を採って叩き上げる体質が産んだ構造じゃないだろうか。労働や業務に見合わない能力の人材をそれなりの賃金で雇わないといけないため、労働過多もやむを得ない状況が生まれている。

それでも職を得たい人は多いだろうし、労働者側も食っていけるなら仕方がないと受け入れていくうちに、終身雇用どころか体が続かなくなって若いうちに辞めていく人が続出したのだろう。辞めた元後輩に関しては労働時間だけが理由だったわけじゃないみたいだが、仕事が合わなかったのは事実みたいで、こういうのはやってみないとわからないところもあり解雇規制の緩和や雇用のマッチング、採用基準や雇用慣行のあり方を変えていくことでしか改善の見込みはない。

新卒一括採用から即戦力、実力主義へ

外国の例だとIT系企業に就職するにもその分野の学位が必要だったり、実績がないと採用されなかったりするため、学生はみんなそういった専門分野の知識や能力を培うために大学へ入る。一度就職してから他分野で再就職するとなれば、大学、もしくは専門学校のようなカレッジへ再び入学し、勉強した上で再就職するという手順も結構当たり前にとられている。だから大学生は必死で勉強する。事務職、一般事務のような募集形態はあまり聞いたことがない。どこで働くにしても即戦力が当たり前だから、学生あがりであろうが使えないとそもそも採用されないし、試用期間のような形で最初はパートタイムの雇用だったり、就業訓練のための無給インターンも多い。ちなみに就職や仕事を得るにあたって、営業もそうだけどコネが最も重要になってくるのは日本よりも外国の方が顕著だそうだ。(外国と言っても僕が聞いたのはカナダやアメリカの話だけだが。)

日本でそんなことが急にできるかというと、無理だろう。会社も学校も学業を仕事に直結させるような体制になっておらず(特に文系)、大学教育は根本的な仕組みから変えていかないといけなくなる。そうなれば大学受験も大きく変わるだろう。それに沿って中高の教育も就業を目指した教育に変えていかざるをえない。今の学校教育は社会性を培うという建前を元に新卒一括採用を見越した、軍隊のようなサラリーマン養成所と化しているため、従来の雇用慣行が機能しなくなれば学校教育から変えていく必要がある。

解雇から再就職までの道のり

企業においては労働力の流動化が欠かせない要素になり、解雇規制の緩和なしでは戦力主義なんて成り立たない。そして現在会社に所属している使えない人材と判断された多くの人が路頭に迷うだろう(日本では会社における責任の所在が曖昧な構造になっているため、解雇規制の緩和は権力闘争なんかに利用されて上手く機能しないかもしれないが)。解雇された人は同業他社で実力を活かせる仕事を探すか、もしくは住宅ローンや子供の教育資金などに追われていなければ、そこから1年や2年かけて新たな分野の勉強をし、別の仕事に就くことを促すという方向がある。

そのためには採用基準における年齢のような項目を撤廃しないといけない。代わりに学位、教育を受けた実績、資格などの実務能力を判断することが必須条件となってくる。会社側としては、解雇規制が緩和されているためとりあえず雇ってみるのもいいだろうし、試用期間設けたり最初はパートタイムで雇ってから様子を見て判断しても構わないだろう。再就職を果たした上で以前ほどの給与をもらえないか、上回るかは本人の能力と仕事とのマッチング次第となってくる。本人の希望に沿わなければ再チャレンジし続けていく。

このような再チャレンジを促す政策としては、ベーシック・インカムが最適だと思う。退職後の収入減を補うために不本意な仕事に就く必要もなく、時間をかけて仕事を選んだり学校に通ったりしながら、次の雇用機会まで十分な準備を整えることができる。ベーシック・インカムで学費までを賄うことはできないが、少なくとも今よりはましだろう。現行の基準であれば労働人口はただでさえ減っていく一方で、一億総活躍なんて言うなら自民党もベーシック・インカムを採用したらいいんじゃないだろうか。ベーシック・インカムの実現を目指す政党、候補がいれば間違いなく投票します。

ベーシック・インカムについて

ベーシック・インカムで支給できる額は、財源などの兼ね合いもあり成人に対して月7万円前後が限界だという議論があった。よくベーシック・インカムが始まれば誰も働かなくなるという意見があるけれど、月7万円となれば何もしなくても生活できるギリギリのラインであり、ほとんどの人はそれ以上の収入を求めて働こうとするだろう。ただ、ベーシック・インカムが始まれば生存のために必要というだけの生産性のない労働に費やされる時間は減るだろうし、その分勉強などに当てられる時間も増え、労働意欲も労働の質も今後向上されるのではないかと予想できる。現実的じゃないと思うかもしれないけれど、フィンランドでは来年から始まる予定だ。スイスでは否決されたが、そもそもの社会体制の違いや検討案の内容にも問題があったため、今後再検討されるかもしれない。その他各国でも社会実験などは行われており、実現する国が増える見通しもある。僕もあまり知識があるわけではないため、知らないことをここで多く語るよりは、他の専門的な議論を見てみてください。

ベーシックインカム - Wikipedia