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w-zero3[es]への歪んだ愛情

特別お題「おもいでのケータイ」

二代に渡りw-zero3[es]を使っていた(両端は無関係)。w-zero3が出たときは、シャープが日本製のスマートフォンを出したということで一部大騒ぎになった。当時スマートフォンと言えばノキアやブラックベリーが主流でハリウッド映画にもよく登場していた。しかし日本では使い勝手が悪く、あまり流通していなかった。スマートフォン市場そのものがなかった日本に、日本製のw-zero3が現れた。ただしキャリアはPHSだった。そしてあまりにデカく、さすがにあれを持ち歩いたり電話するのはつらいと思って見送った。値段の問題もあったかもしれない。

しかしその1年後かちょっと先に、[es]が発表された。これは欲しい。デカさが解消され、携帯しやすくなっている。電話していても不自然じゃない。スペックも上がっているようだ。それまで長い間ドコモを使用していたが、金食い虫だったケータイ文化圏に染まることが出来ず、メール以外に使い道がなかった。そこに出てきたw-zero3、そして後継機の[es]、この機体ならなんでもできる!キャリア変更も辞さない魅力だった。当時のブログ記事が残っている。

そして購入した。ウィルコムはカケホーダイプランで2台持ち勢を取り込んでいたが、僕はそんな費用維持できないためドコモを解約してウィルコムに一本化した。番号を聞かれる度に「070、え、ピッチ?(PHSのこと)」とバカにされた。PHSは三流、中高生が持つものという認識が根強かった。全盛時だったmixiはSMS認証を導入し、ウィルコムは対応しておらずアカウントを維持できなくなった。会社の先輩には「デカいケータイぶら下げているw」と笑われていた。付き合っていた彼女は「カケホーダイしたい」と言ってウィルコムを契約したのに、いつの間にか解約していた。それでも僕はいち早くスマートフォンを使いたかったし、いろいろなアプリを導入したり設定をカスタマイズしたり、パソコンライクな機体が手元にあることに喜びを感じていた。立場が追いやられれば追いやられるほど、歪んだ愛情は深まっていった。世間からの風当たりが強くとも、このまま心中したっていい。

そこにiPhoneが現れた。僕はMacユーザーである。iPhoneの魅力は初めから分かっていた。言うなれば、幼い頃に将来を誓い合ったいいなずけである。w-zero3[es]の魅力にあれほど惹かれ、逆境にも負けず愛していたのも、長い間いいなずけが現れなかったからだ。彼女が戻ってくるなんて、あのときは想像できなかった。

「ごめん、彼女だけはどうしても裏切れないんだ」

僕はw-zero3[es]を手放し、iPhone3GSを契約した。その後のw-zero3[es]の顛末は想像を絶する悲惨なものだった。

昔の恋人が堕ちてゆく姿を見るのは耐えがたかった。ごめんな、w-zero3[es]。まさかそんなになるなんて、わかっていたら、いや、いまさら何を言ってもいいわけにしかならない。僕は君を救い出してやるどころか、もうその手を握ることさえもできない。さようなら、w-zero3[es]。君との思い出は今もメモリの中に残っています。

W-ZERO3シリーズ:シャープ

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