映画「リンダリンダリンダ」で見たブルーハーツの力

底辺文化系トークラジオ「29歳までの地図」を聞いて、映画『リンダリンダリンダ』を見た。

映画の内容をネタバレしているため、映画を見る人はあとから聞いたほうがいい

軽音部が高校の文化祭でブルーハーツの「リンダリンダ」を歌うだけ、というシンプルな映画だ。起承転結を明確に描くというより、邦画にありがちなゆったりとした情景の中に変化を混ぜながらそのままクライマックスまで持っていく。

映画の流れを簡単に説明すると、文化祭の最終日には軽音部のガールズバンドが演奏する予定になっていた。しかし、ギターが手に怪我をして参加できなくなる。もともとオリジナル曲を演奏する予定で、それはずっと一緒にやってきたメンバーで演奏しないと意味がないと言いバンドは解散になる。ただ文化祭の枠は余っており、せっかく高校最後の学園祭だから何かやろうという話になる。残ったメンバー同士揉めながら、偶然見かけた韓国人留学生をヴォーカルに加え、文化祭直前に新たに結成したバンドでエントリーすることとなった。曲目は、たまたま部室のカセットテープに入っていたブルーハーツ。

香椎由宇演ずるケイは、元のバンドでキーボードだったが、代わりにギターをやることになる。彼女は、いわゆる高校のクラスにいる美人生徒。性格は気難しくて、メンバーともよくケンカをする。勢いに乗ると激しい。郊外のスタジオに出入りしており、大人のアマチュアミュージシャンが元カレ。そんな高校生いたよな。全身全霊ロックしていると言える。

もう一人挙げるのが、本物の現役ベーシストでこの映画ぐらいしか出ていない関根史織(僕は知らなかったがBase Ball Bearというバンドのベース担当)。普段は無口でリアクションも乏しいが、内に熱い思いを秘めた望というベーシストを演じる。この映画では唯一正真正銘本物のミュージシャン。

その他、主演のヴォーカルを演じるのは韓国人女優のペ・ドゥナ、ドラムスは『バトルロワイヤル』でも主演をしていた前田亜季、この映画の主題になっているブルーハーツ、甲本ヒロトの弟である甲本雅裕が教師役で出ていたり、松山ケンイチや小出恵介がチョイ役で出ているという豪華キャストだ。

そしてこの映画を盛り上げるのは、やっぱりブルーハーツの力である。僕自身はブルーハーツ世代ではないが、言うまでもなく「リンダリンダ」「トレイントレイン」などは知っている。ブルーハーツの曲は、歌い手の技量を求めない。ただ魂の熱さえあれば、その場を熱狂に変えることができる。この圧倒的な普遍性は曲そのものの実力と言っていい。

耳から離れないフレーズ、単調な音楽、誰にでも乗れるリズム。映画の最初の方で、部室のカセットに入っていたリンダリンダ聞いて急に盛り上がるシーンが実にいい。映画と同様に学園祭でブルーハーツを演奏している素人の動画もあった。

素人が誰かの前で盛り上がる曲をやるなら、リンダリンダをやろう!やってる本人たちも絶対楽しいはず。

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