CAPSULEは終了したのか

capsuleについてときどき触れていたけれど、はっきりタイトルにしてまとめたことがなかったから思い起こしてみる。capsuleは音楽ユニットで、中田ヤスタカとこしじまとしこがメンバー。ジャンルはエレクトロ。初めて聞いたのは2007年だったと思う。大阪アメ村のヴィレッジヴァンガードで売ってたCDをジャケ買い。最初は外国人ユニットだと思っていた。

当時のCM動画

ニコニコ動画でもてはやされる

capsuleに触れるにあたって欠かせないのが、当時ニコニコ動画に上がったこのリミックス。

ネットユーザーの中にはこれを見てcapsule知った人も多いんじゃないかと思う。しかもこのリミックスは、その後すぐに中田ヤスタカのイベントで本人が公式に採用していた。当時はけっこうよくかかっていた。幾三版も話題になった。

Perfumeからのメディア露出

同じ頃、PefumeのポリリズムがCMかなんかに起用されて話題になり、中田ヤスタカはテレビに出たりしていた。capsuleの曲もメディアで取り上げられ、MORE! MORE! MORE!ぐらいが露出のピークだったんじゃないだろうか。初めから音楽プロデューサーとしての中田ヤスタカばかり取り上げられ、そのうちプレーヤーとしてはメディアで見かけなくなった。

僕はcapsuleの曲を遡って聞いていて、ファンの間では東京喫茶がベストという声を拾って聞いたりしていた。初期の傑作だそうだ。2007年前後だったらjellyとかsugarless girlの入ってるリミックスが一番聞きやすい。僕がいちばん好きだったのは最初に買ったFlashbackだけど、聞いてほしくて人にあげてしまった。

DJをやっている人が身近にいたから、いろいろ教えてもらって音楽を物色したり曲がかかっている場所に出向いたりするようになった。よくわからないままたくさん聞いていたからあまり思い出せないけれど、当時買ったCDは残っている。

きゃりーぱみゅぱみゅ、ポップスの変化

capsule自体は2010年にPlayerを買ってからずっと遠ざかっていた。中田ヤスタカのプロデュース業としてはperfume以外に、2011年からきゃりーぱみゅぱみゅが始まった。PONPONPONはそのビデオも含め衝撃だった。

それまで関わっていた鈴木亜美やMEG、コルテモニカなどは消えていった。「そらとぶひかり」とか好きだったんだけどな。曲提供はSMAPや椎名林檎などもあった。エレクトロポップみたいなのは世の中に蔓延していた。外国でもDJによる作曲や編曲は多く、この頃は本当にどこもかしこも電子音であふれていたように思う。

新生CAPSULE

2013年に出たCAPS LOCKは異次元だった。ここに貼った今までの曲とも全然違い、世に出回るポップスの音からまた大きく外してきたように感じた。声は初音ミクにしか聞こえない。

2015年にはwaverunnerが発売された。僕はこれ、最近になってようやく聞いたんだけど、CAPS LOCKの実験とは逆にわかりやすく聞きやすい音に戻っている。「EDMの要素を本格的に取り入れた」と言われているが、確か本人のクラブイベントではずっとこういうのかけていた。僕自身は2014年にSkrillexばかり聞いていて、その界隈で馴染みのある音だった。

集大成を「If you wanna」に見る

中田ヤスタカは昔のインタビューで「ポップスに定義はなく、流行ったものがポップスになる」みたいなことを言っていた。EDMみたいなクラブの乗りを一般家庭に受け入れられるようになるまで、ずっとチャレンジしてきた人のように思う。そのために本人が興味のない歌入りをやったりしてきた。そういったCAPSULEという活動のある種完成形がwaverunnerだったんじゃないだろうか。「クラブの乗りをポップスに」は2017年のPerfumeの曲にそのまま取り入れられた。

これを聞いたときはすごく驚いた。「これポップスでやっていいの?」と真っ先に思った。いわゆるサビの部分が「音」で、歌はコーラスのような付属品。テレビなんかでやたらと「future bassという海外で主流の新しいジャンル」みたいに紹介されていたが、日本でも界隈の人たちにとっては既に馴染みのある音で、なおかつこれを民放から聞くことになるとは思っていなかったんじゃないだろうか。

Perfumeについては中田ヤスタカプロデュースになった当時、クラブイベントで中田ヤスタカのダンサーに徹するコラボをやってほしいと思っていた。そして今、これぐらいはっきりしたクラブの音で、それに合わせて踊っている様子を見て、当時そう思っていたことを思い出した。アドリブダンスが見たい。今やPerfumeがデカくなりすぎて無理でしょうけど。

CAPSULE終了?

Perfumeでこれができたってことは、もうCAPSULEはいらないんじゃないか?2015年のwaverunnerが完成であると同時に、CAPSULEでやる実験の終止符にも思えた。限界点。これ以上のことをCAPSULEという形態でやる意味はあるのだろうか?中田ヤスタカは2017年からソロ名義の活動を始めている。以前はソロのときも中田ヤスタカ(capsule)と表記されていたが、今回ウェブサイトやロゴも新生され、CAPSULEは終了したんだなーと思わせられる。個人名義で発表されている曲はこれ。

最初「こっち?」と思った。すごく古典的な感じの、この人は結局ソロで何がやりたいんだろう。インタビューがあった。

中田ヤスタカインタビュー「前例のない新しいルールを敷きたい」 | ORICON NEWS

――中田さんも、これまではそこまで前に出てこないようにしてたイメージがありました。Perfumeにしろ、きゃりーにしろ、あまり多くを語らないといいますか。

中田ヤスタカ それはCAPSULEでやればいいと思ってたんですが、CAPSULEもまたボーカリスト(こしじまとしこ)がいるので、そうじゃないことをやるために“ソロ”と言ってるってことです。

今回からソロとして出していくのは、自分としてはポップスを作るという感覚はないですけど、“ポップスのフィールドに入れるもの”ですね。

前に出るプロデューサー、作曲家としてやっていきたいそうだ。曲の方向性としてはよくわからないが、これからもときどき追っかけて聞いてみたい。

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