海外ドラマ「13の理由」ネタバレ・感想・評価

(※シーズン1についてのみ言及しています)

去年の3月からNetflixオリジナルのドラマとして配信されている「13の理由」を見た。自殺した高校生がその理由をカセットテープに吹き込んでおり、理由となった生徒たちに回っていくという話。主人公のクレイ・ジェンセンは、自殺した女の子ハンナと同じ映画館でバイトをしていた。ハンナの自殺から一週間が経ち、学校では追悼ムードが続く中、クレイの自宅にカセットテープが詰め込まれた箱が届く。

再生してみるとハンナの声で

「人生が終わった理由を話す。このテープを聴くあなたも理由の一つ。この箱を受け取った人はどこかで名前が出る」

と流れ、クレイに戦慄が走る。7枚のカセットテープ、表裏におさめられた13のエピソード、エピソードは時系列で順番になっており、エピソードの舞台となった場所の地図が同封されている。クレイはテープを聞きながら地図の場所を周り、ハンナが自殺に至るまでを回想していく。

見るのがしんどい

超絶しんどかった。Netflixではよく重くて暗いドラマが配信されており、見るのがつらいんだけどこの「13の理由」はトップクラスにきつかった。主人公クレイは劇中で他の生徒に「テープを聴くペースが遅すぎる。俺なんか一晩で全部聴いたぞ」と言われる。しかしクレイは「テープを聴くたびにハンナが現れる。耐えられない」と答える。その通り、クレイと同じでこのドラマはとても見てられない。最初は1日1話も見れなかった。ラスト3話は止まらなかったが。

見るのがつらいのは当然といえば当然かも知れない。高校生の女の子が自殺した理由を順番に聞かされるのだから。それぞれが重い問題で、SNSでの写真流出、いじめ、ストーカー、LGBT、レイプなどが順番に出てくる。様々な被害に遭いながら高校で孤立していくハンナ、日本のいじめとはやや異なるが、アメリカの実態が見えてくる。見てられない。

主人公ジェンセンくん

主人公クレイ・ジェンセンくんは地味でスポーツも苦手、周りのことにあまり気が付かないおとなしい子だ。引っ越してきたばかりのハンナに「この街をどう思う?」と聞かれ、

「他の街に住んだことないからわからない。ハン・ソロに宇宙について聞くのと同じだ」

と答え「うわ、あなたナードなのね」と言われる。他にもスターウォーズに例えて怒ったりするのは笑えるシーンだ。

You're like this unhelpful Yoda!(役立たずのヨーダ!)

そんなクレイは、出会った頃からハンナに惹かれていた。引っ込み思案で人と話すのが苦手なクレイも、バイトが同じハンナとは楽しく会話ができる。彼は「13の理由」にどう関わっていくのか。クレイはハンナに一体何をしたのか。テープの11番目、エピソード11で語られることになるが、それまでずっと気になってしょうがない。

ネタバレを含む感想

クレイはテープを聴きながら、ハンナにひどいことした生徒に何故そんなことをしたのか一人ずつ問いただしていく。他の生徒にはテープが既に回ってきており「お前はまだ自分のテープを聴いてないのか?」と言われつつも、ハンナの自殺に関わった人間たちに怒りをぶちまけていく。

ハンナの自殺に関わった生徒たちは「クレイがテープを警察にバラすんじゃないか」と怯え、クレイの行動に歯止めをかけようとする。最初はクラスのダメなやつ代表みたいに描かれていたクレイだが、もうめちゃくちゃかっこいい。

僕が一番つらかったのはクレイのテープで、ハンナとクレイのエピソードが語られる。ハンナがひどいことをされたり学校で噂になっても気付かないクレイ。気付かないクレイは唯一、ハンナに友達として振る舞ってくれる。学校でナードとして扱われても、かっこいいところがなくても、何があってもブレないクレイ。そんなクレイの強さと優しさにハンナは惹かれる。

パーティーの日、友人ジェフの強い後押しでクレイはハンナを誘い、二人はいいムードになる。ハンナはこの人と一緒だったら、これからの人生は最高になると感じる。しかしハンナは今まで男子生徒から受けたひどい仕打ちがフラッシュバックしてしまい、クレイを拒絶する。「私はダメだから、あなたと一緒にいる資格がない。あなたを傷つけた。悪いのは私」とテープには残されている。

クレイはここで自分が彼女にもっと寄り添って、彼女の話を聴いていれば、彼女のことに気づいていれば、彼女に愛していると告げていれば、こんなことにはならなかったと自分を責める。ハンナが自殺したのは自分のせいだと。そして「もう耐えられない」と崖から飛び降りようとする。

ここでifのシーンが流れる。ハンナに拒絶されたクレイがその場にとどまり「自分はバカだから何も気づかなかったけど、もう二度と傷つけさせない。きみを愛しているから」と告げる。それに対してハンナは「生きてるときに言ってよ」と答え、涙を流して抱き合う。

つらい。「伝えられなかった」「止められなかった」と嘆くクレイ。見ている方もつらくて涙が止まらない。人の死に向き合ったことがある人なら、誰だってクレイの気持ちを噛み締めて悲しくなる。後悔する。生きているときに助けられたんじゃないか。この思いを伝えるためにこのドラマは作られたのだ。

ドラマでは冒頭と最後に、支援機関をお探しの方はこちらへ13reasonswhy.infoとURLが添えられている(日本は範囲外)。

13の理由 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

2018年5月18日からはシーズン2が配信開始!

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