スティーブン・ショア/スチール・タウン

仮想通貨を売っぱらったお金で(言い訳)またもや写真集を買った。アメリカンニューカラーのどれかをほしいと思っていて、結局スティーブン・ショアにした。アンコモン・プレイセスとトランスペアレンシーズとも迷ったけど、唯一サイン本が残っていたスチール・タウンにした。

スティーブン・ショアの作風からしてメジャーなのが、アンコモン・プレイセスやトランスペアレンシーズになってくるだろう。絵的にも鮮やかでわかりやすく映える。それに比べて僕が買ったスチール・タウンは、寂れていく町を撮っている分色合いも地味で、落ち着いている。どちらかというとマイナーではないだろうか。

それにしてもこの、なんてことない町の写真をポスターみたいに撮ってしまうのが、技術というか腕というか機材というか、目なんだろうなと思った。そこに特別なものは写っていないのに、部屋に飾りたくなるような。

Steel Town - Stephen Shore – MACK

ダイアン・アーバス作品集:アウトサイダーとは誰のことか

これまでにも写真集は買ったことあるけれど、たまたま見かけて買ったものばかりだった。「写真集を買おう」と思って買う最初の一冊は、ダイアン・アーバスしかない。理由はまず、テーマがわかりやすかった。写真のことがわからない自分にも、とっつきやすいのではないか。次にそのテーマが自分にとって、親和性が高いと思ったから。

ダイアン・アーバスはヌーディストや障害のある人、双子などを撮った写真が有名で、亡くなってから回顧展が開かれ、写真集が出た。亡くなってから有名になった人っぽい。どこかで「アウトサイダーを美しく撮る人」みたいに書かれていた。被写体と親しくなり、その魅力を引き出して本人に喜ばれる写真を撮ったとか。

アウトサイダー・アートという言葉を一時期よく見かけた。それはアウトサイダーが作るアート作品、みたいな意味だったと思う。今調べてみると、その言葉はどうやら日本とそれ以外で使われ方が違うらしい。ダイアン・アーバスの写真もそういう文脈で語られているのを見かけたが、今ここではアウトサイダー・アートのことはひとまず置いておく。

ダイアン・アーバスは被写体にアウトサイダーとしての自分を見ていたのではないか、みたいなこともどっかに書かれていた。撮影者の目を通して撮られた人たちが、撮影者そのものを表しているなら、それを見る自分は一体誰なのか。

アウトサイダーを撮るダイアン・アーバス、の写真を見る自分。写真を通して、自分のことがわかるのではないか。「アウトサイダーとは、自分のことではないか?」という気持ちが、撮影者と同様自分にもあるから、きっとこの本を選んだのだろう。世界的に広く読まれている写真集だけど、見る人がみんなそういう気持ちなのだろうか。アウトサイダーとしての自分を見つめるための本として、手に取っているのだろうか。

ダイアン・アーバスについて書かれた本も気になる。

今年読んだ本(2023)

今年は本読めてないなーと思っていたけど、思っていたより読んでいた。今年はなんといっても、高野本の新作、それも辺境本が出た。最近出ていたのは飯系や言語の本だったから、辺境本はソマリア以来ではないか。

今日マチ子のコロナ日記が完結した。あの頃、僕らの周りでは何が起こっていて、どう感じていたのか。もう既に忘れつつあるけれど、当時の印象が克明に刻まれている。あの3年、それぞれの日々と変化を、イラストとコメントを見るだけで思い出せる。

写真はカナダ、トロント。2014年かな。

  • 村上朝日堂はいかにして鍛えられたか|村上春樹
  • じゃむパンの日|赤染晶子
  • 痴人の愛|谷崎潤一郎
  • 彼女の思い出/逆さまの森 |J.D.サリンジャー
  • Essential わたしの#stayhome日記 2021-2022|今日マチ子
  • From Tokyo わたしの#stayhome日記2022-2023 |今日マチ子
  • 僕は写真の楽しさを全力で伝えたい! |青山裕企
  • 細雪|谷崎潤一郎
  • 腰痛探検家|高野秀行
  • 喫茶店のディスクール|オオヤミノル
  • 乙女の密告|赤染晶子
  • 珈琲の建設|オオヤミノル
  • 街とその不確かな壁|村上春樹
  • その謎を解いてはいけない|大滝瓶太
  • サバービアの憂鬱|大場正明
  • 少女漫画家「家」の履歴書|週刊文春編
  • イラク水滸伝|高野秀行
  • 小澤征爾さんと、音楽について話をする|小澤征爾,村上春樹
  • 金は払う、冒険は愉快だ|川井俊夫
  • 謎とき『失われた時を求めて』|芳川泰久
  • プールサイド|藤本和剛 文 / 新田君彦 写真
  • 「へんな会社」のつくり方|近藤淳也
  • ダロウェイ夫人|ヴァージニア・ウルフ

計23冊

#イラク水滸伝 を読んで「あれ、もしかしてイラク行けんじゃねえの?」と思った

辺境作家、最近は普通にノンフィクション作家と名乗られている高野秀行の最新著書「イラク水滸伝」を読んだ率直な感想は「あれ、もしかしてイラク行けるんちゃうん?」だった。実は以前の著書「謎の独立国家ソマリランド」でも同じことを思った。僕は結局訪れなかったが、実際ソマリランド本を読んで現地を訪れたという人の話がネットにたくさん転がっている。今回のイラク本もきっとそうなるに違いない。「あれ、もしかしてイラク行けんじゃね?」と思ったのは、僕だけではなかったはずだから。

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イラク水滸伝が出るぞ…

今一番待ち遠しい本。高野本はソマリランド以降メシ系の本が続いており、食指が動かなかった。それらもいずれ読むと思うが、その次に出たのが語学本で、これも自分にとって高野本の本流(未確認生物or辺境モノ)を外れているためスルーしている。そのうち読むだろう。

しかし今年2023年7月26日に出る新刊は、紛れもない新作辺境モノ。舞台はイラク…行けないなーイラクは…自分では決して行けない。高野さんはこれまでも軍政下のミャンマーや、現在も内戦が続いている海外渡航情報では危険度MAXのイエメン、言わずもがなソマリアなど、一般旅行者は決して足を踏み入れない危険地帯へ出向き、独自の調査を行ってきた。それが今回はイラク。

高野さんは別に、危険地帯に足を踏み入れて現地を突撃取材するユーチューバー的なジャーナリストではない。そんなわかりやすい舞台としてのイラクではない。今回のテーマは「謎の巨大湿地帯〈アフワール〉」

権力に抗うアウトローや迫害されたマイノリティが逃げ込む 謎の巨大湿地帯〈アフワール〉 ―――そこは馬もラクダも戦車も使えず、巨大な軍勢は入れず、境界線もなく、迷路のように水路が入り組み、方角すらわからない地。

なんじゃそりゃ!

高野さんのTwitterをフォローしている身としては、高野さんがイラクを訪れていることはなんとなく知らされていた。その調査対象は「謎の巨大湿地帯〈アフワール〉」だったらしいです!なんなんだそれ!

というわけでイラク水滸伝を予約しましょう。

「その謎を解いてはいけない」感想

6月5日に買って、10日ほどで読み終えた。なお6月5日は発売から5日後で、まさにその日に重版かかったそうな。著者の大滝さんは10年ぐらい前にはてなブログ経由かなにかで知り、ツイキャスとかで喋ったことがあり、一回会ったことがある。当時キレやすく煽りやすい理系のジャックナイフ的な印象を抱いていた。当時のブログでは村上春樹や新海誠を茶化す記事を書かれていたが、今は削除されている。そしてそういう要素を、今回の著作では大いに発揮している。

  • これ普段の大滝さんじゃ…
  • あらすじ、物語の紹介
  • 文学性がどうとかこうとか
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今週のお題「読みたい本」: #その謎を解いてはいけない

著者の大滝瓶太は前にSF小説を書いていたから、そういうのを書く人なんだろうなと思っていたら、今回まさかのミステリー小説が単著となって出た。どういうことだろうと思い、買って今読んでいるところ。過去作は以下など。

『その謎を解いてはいけない』はまだ100ページぐらいしか読んでいない。第一印象としては、とにかくふざけている。ふざけているというのはけなしているわけではなく、ミステリー的な探偵小説の体をとったコメディー小説だった。

ネット文体をこれでもかと駆使し、今の30代から40代の特定の分野に精通している人なら目にしたことのある言葉、表現がこれでもかと散りばめられ、特定の層にグサグサ刺さるピンポイントな笑い。これは好き嫌いが分かれそう!Amazonレビューも荒れてる!正直ミステリ要素とかどうでもいい(ミステリファンが怒ってるのだろうか?)。

ただ今のところは最初の方を読んだだけだから、読んでいくうちに印象が変わるかもしれない。最後まで読んだ時点では感想も違ってくるかもしれない。違わないかもしれない。どうだろう、このまま来週中には読み終えます。ふざけた本が好きな人にはおもしろいと思います。発売5日で重版かかったそうです。

今週のお題「読みたい本」

読んだ感想

ネタバレについて厳しい

お題「皆さんのネタバレNG基準はどこですか?」

自分はけっこうネタバレしていくスタイルだけど、自分が聞きたくないネタバレも積極的に避けていくほうだ。ネタバレの苦い思い出は、今でも記憶に残っているのが『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』で、新潮社文庫の下巻だったかな、はい今からネタバレをします。さて、新潮文庫の裏表紙には、本の紹介文が載っている。下巻のそこには「意外な結末」と書かれていた。『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は、世界の終わり編で主人公が壁の中の街から逃げ出さないと世界が終わってしまうという話で、追っ手に追われ必死に逃げ出そうとする。最後川に飛び込んで渦から壁の向こうに逃げてしまえばゴールっていうところに来て、主人公は「やっぱりこの街に残る」と言って物語が終わる。世界も終わる。そういう結末だった。これ、本の裏表紙に「意外な結末」って書いてあったらそれだけでもうネタバレやん!!最後絶対飛び込まへんやん!!オチ言うてもうてるやん!!わかってしまうやん!!読む前に全部わかってしまうやん!!

っていうぐらいネタバレに厳しい。しかし人にはズケズケとネタバレをしていく。歩く災厄のようだ。

ちなみに、本当に見たい映画は予告編も見ない。おかげでときどき失敗する。

「街とその不確かな壁」ネタバレ有りの感想・書評

2023年4月13日に出た、村上春樹の新刊です。これまで村上春樹の新刊を、リアルタイムで読んだことはなかった。初めて同時代の波に乗っかる。ただ今回は、前回『騎士団長殺し』や前々回『1Q84』の時ように大々的に騒がれていない。一冊だけど650ページ超えで、長編のはずなのに。世間はもう村上春樹に飽きたのか。ノーベル賞も獲れなさそうだしね。

そもそも騒がれだしたのが、『海辺のカフカ』でノーベル賞の前哨戦と言われるフランツ・カフカ賞を獲ったあたりからだった。「大江健三郎以来か」とにわかに沸き立ったがその後何度も逃し、「どうやら見込みがなさそうだ」というところで落ち着いたのかもしれない。

  • なぜ村上春樹作品を読むか
  • ネタバレ有りのあらすじと感想
  • 読書メモ
    • 第一部
    • 第二部
    • 第三部
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なるほど、新書リスト41

どこかで読んだ新書リストが挙がっていたので、自分もリスト化してみたいと思った。覚えてないのやどうでもいいのも含まれている。

  • 岩波新書
    • 非ユダヤ的ユダヤ人|I.ドイッチャー
    • 独ソ戦 絶滅戦争の惨禍|大木毅
    • ユーゴスラヴィア現代史|柴宜弘
    • 魔女狩り|森島恒雄
    • パレスチナ〔新版〕|広河隆一
    • 香港―過去・現在・将来|岡田晃
    • ルポ 貧困大国アメリカ|堤未果
    • 日本人の英語|マーク・ピーターセン
    • 知的生産の技術|梅棹忠夫
    • 写真の読みかた|名取洋之助
    • 日本の思想|丸山眞男
    • 歴史とは何か|E.H.カー
    • インドで考えたこと|堀田善衞
    • やさしさの精神病理|大平健
  • 講談社現代新書
    • 世界史の中のパレスチナ問題|臼杵陽
    • 日本を降りる若者たち|下川裕治
    • 「国境なき医師団」になろう! |いとうせいこう
    • 教養としてのキリスト教|村松剛
    • はじめての金融工学|真壁昭夫
  • ちくま新書
    • ニッポンの海外旅行 若者と観光メディアの50年史|山口誠
    • ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる|梅田望夫
    • はじめての哲学的思考|苫野一徳
    • 本屋になりたい: この島の本を売る|宇田智子
  • 新潮新書
    • 関西赤貧古本道|山本善行
    • 大人の見識|阿川弘之
    • 国家の品格|藤原正彦
    • 損をして覚える株式投資 (PHP新書)|邱永漢
    • 人間を幸福にする経済―豊かさの革命 (PHP新書)|奥田碩
    • 人新世の「資本論」 (集英社新書)|斎藤幸平
    • 他人と暮らす若者たち (集英社新書)|久保田裕之
    • 下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)|三浦展
    • 人格障害かもしれない (光文社新書)|磯部潮
    • 翻訳夜話2 サリンジャー戦記 (文春新書)|村上春樹,柴田元幸
    • ”俺様国家”中国の大経済(文春新書)|切込隊長・山本一郎
    • 2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書)|瀧本哲史
    • 僕は写真の楽しさを全力で伝えたい! (星海社新書)|青山裕企
    • 超簡単 お金の運用術 (朝日新書)|山崎元
    • 勝ち続ける意志力 (小学館101新書)|梅原大吾
    • 物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)|小倉貞男
    • 人にいえない仕事はなぜ儲かるのか? 角川oneテーマ21|門倉貴史
    • 間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに (コア新書)|ロマン優光
  • 俺的、三選
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「逆さまの森」のネタバレ感想

今年に入ってから「彼女の思い出/逆さまの森」を読み始めて、読み終えた。最後の「逆さまの森」がひときわ印象的だった。他はもっとスムーズに、心地よく読める。以前の翻訳では「倒錯の森」というタイトルだった。読んだことがある人もいるかもしれない。僕も「サリンジャー選集3」で以前に読んでいたはずだけど、あまり記憶に残っていなかった。今回のも、翻訳が良かったんだと思う。

「逆さまの森」はひどい話だった。世の中にありふれているとまでは言わないものの、既視感のあるひどい話。まあ一言で言ってしまえば、いわゆる寝取られの話。僕はこういう話って、やっぱり吐き気がするぐらい嫌悪感が募る。オタク界隈で言うところのネトラレ属性って、まったく気が狂ってるとしか思えない。そういう人は、本当にそこまで遊び尽くして性に奔放なんだろうか?

僕が「逆さまの森」を読んで感じるのは恐怖で、世の中にこういう人が実際いることも知っている恐ろしさ、いつ自分の身の回りに現れるかもしれないおっかなさ。事故や災害、犯罪への恐怖に近い。羆嵐の事件を知った時の恐怖にも近い。ただ自分はクマがいる地域に住んでいないから、この恐怖は遠ざけられる。「逆さまの森」はいつ自分の身の回りで起こるとも知れない嫌さ。

幸いなことに、今のところそういった災害級のヤバイやつとは知り合ったことがない。周りでも聞いたことがないから、そうやたらめったらそこら中に出没するわけではなさそうだ。ただ話には聞いたことがある、それもフィクションではない事実として。この手の人物はフィクションにもよく描かれるし、実在もする。

そういう極めて不快な、恐ろしい話を怖いもの見たさで読みたければ、「逆さまの森」どうぞ。作品としてはおもしろかった。この手の人物に慣れている人は、そんなに不快とも思わず驚きもしないと思うから、僕の反応が過剰なだけかもしれない。不倫報道があるたびに、人がなぜ不倫をするのか考える。「彼女の思い出/逆さまの森」は、グラース家ともコールフィールド家とも関わりのない、それ以前に書かれたサリンジャーの短編集。

ボーイミーツガールには、素敵な出会いが必要だ

選書「彼女の思い出/逆さまの森」を読んでいた。4つ目の話「ボーイ・ミーツ・ガールが始まらない」は、ニューヨークに住む冴えない男、ジャスティン・ホーゲンシュラグの物語を書きあぐねる作家の話。ホーゲンシュラグはバスの中で見かけたシャーリー・レスターに一目惚れをする。しかし作家は素敵な出会いの場面を書くことができず、ボーイミーツガールは一向に始まらない。

これは架空の物語について書かれた短編だけど、世間でよく言う「出会いがない」ってこういうことだったのか、と思った。街を歩けば恋愛対象になる人とたくさんすれ違う。しかし出会いがないと恋愛は始まらない、という意味か。僕はずっと「出会いって何だ?」と思っていた。難しいな、出会い。出会いについて、あまり自覚的でなかった。日本語では「縁」という言葉のほうが的確かな。

恋愛的なことに上手く行っている人だったり、テクニックのある人というのは、きっとこの出会いなり縁を演出するのが上手い人だと思う。「これは素敵な出会いだ」と相手に思わせるのが上手い人。その「なにかの縁」は、巧みな相手によって作られた演出かもしれない。もともと上手い人もいれば、本を読んで試行錯誤したり、数多く失敗を重ね技術を磨き上げた人もいる。何事も経験豊富な人がその道に秀でているように。

「出会い」や「なにかの縁」をただ待っている間に、生まれ持った物や磨き上げた物が優れた人にかすめ取られた経験のある人は、少なくないと思う。待っているだけでボーイミーツガールが始まる人は、狙われる対象か、よほど運がいい人のどちらかだろう。

僕自身はサリンジャーが描くような、始まらない恋愛の話が嫌いではない。その始まらない人物に好感を持つ。共感するような「素敵な出会い未満」の経験があっただろうか。あったとしても、あったと言えないぐらい些細な段階で終わっている。若い頃は特に、誰かに好感を持ったところで、何もできなかった。技術や才能はもちろんなくて、ただ待つことさえなかったかもしれない。だから片思いの記憶というのもあまりない。

自分がこれまで恋愛的なものにこぎつけたきっかけは「素敵な出会い」によるものではなかった。今でも演出とかできない。技術もない。自分がやってきたのは、お互いの話ができる人と、接点を多く持つこと。それだけだったと思う。そこには積極的になった。でもそういう人と知り合うにあたり、「出会い」を積極的に求めていたかというと、そうでもない。身近にいた人や、たまたま知り合った人とそうなった。

だからこれまで「出会いがない」という言葉にピンとこなかった。でもこの短編を読んで、人がそういう「素敵な出会い」をきっかけに関係を進めているんだなと、なんとなく思った。それはどちらかの演出によって生まれたものかもしれないし、偶発的なラッキーかもしれない。そういえば「運命」とか言う人もいるな。「運命の出会い」までいくと、それは本当に信仰に見えて近寄りがたい。

ブラックフライデーセールで気になったKindle本

こういうセール、とにかく対象の本が多すぎるので、気になったのだけをただ羅列します。読んでない。

【ブラックフライデー】最大80%OFF Kindle本キャンペーン

  • 魔除けの民俗学 家・道具・災害の俗信]
  • 40代からの心と体を整えるゆるランニング! もちろんやせます
  • たそがれビール
  • 旅のオチが見つからない
  • トレイルズ 「道」と歩くことの哲学
  • スーパーファミコン&ゲームボーイ発売中止ゲーム図鑑
  • タクシードライバーぐるぐる日記
  • セイバーキャッツ
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今日の積読本⑧

「失われた時を求めて」を読んでいると、やたらとドレフュス事件が話題にあがっている。本が書かれた当時の社会で、注目を集めた大きな事件だったのだろう。僕はまともに世界史も学んでいなかったため、ドレフュス事件なんて何も知らなかった。本の話についていくために、ドレフュス事件についてネットで調べた。

検索上位に真っ先にあがってきたのが「世界史の窓」 - ドレフュス事件。事件の経緯と、当時のフランス社会におけるユダヤ人の扱い、またその後の展開が教科書的にまとめられている。

ここからさらにユダヤ人の項目へ飛ぶと、ユダヤ人のおおまかな歴史、概要がまとまっている。そこで参考文献として多くの引用が掲載されているのが、シーセル=ロスの「ユダヤ人の歴史」(みすず書房)だった。

具体的にどの引用が気になったのかは忘れたけれど、このあたりを読んでいて「原典にあたったほうが早い」と思い購入した。この本は、今でも書店で新刊が買えるようだ。僕が買ったのは旧版の古書。1000円ぐらいだったと思う。「失われた時を求めて」→「ドレフュス事件」→「世界史の窓」ときてこの本にたどり着いた。

しかしまだ全然読んでいない。「ユダヤ人の歴史」というからには歴史書なのだろう。最初の方はまさに旧約聖書の時代のことから書かれている。読み物であると同時に、資料だ。読んだところできっと頭には入らない。すぐに忘れてしまうたぐいの本。しかし、いつかは通して読みたい。