短歌

ありじごく砂の途中で立ち止まり穴の奥にも微かなひかり

えんえんとひろがる景色に腰を据え畳の隙間とコーヒーのゆげ

町の音 月の光とねころがり どこか遠くのあなたへむけて

人の声 束ね集めた写真立て まぶしいままであたたかいまま

よそおいと あるくはやさと もれるこえ 足を崩してながめる日まで

あしもとのこまかいおうとつ脈脈と 淡い流れは指に届かず

ふくらんだ言葉を母へ届けます。幼いままの笑みをこぼして

にぎった手ひらかせるようくちずさむそういう言葉をほっしてやまない

むさぼるように取り繕うのはやめました。昨日もあれば、彼の人もいる

のばしてもとどかなかった左手はにぎってみると透明になる