夜回り先生について

大学生の頃、夜回り先生こと水谷修さんに憧れていた。

きっかけは、テレビ番組だった。当時は実家だったのでまだテレビも見ていた。

一番最初に見たのは、朝生で教育問題を取り扱ってる時だった。そこでは町の聖者と呼ばれていた。

他の番組では夜回りをして、街にいる子供を家に帰らせたり、引きこもりかなんかの相談を受けて家に行ったり、学校で公演をしたり、電話を受けたり、そんな内容だった。詳細は忘れた。

後に図書館で著作を読み漁り、漫画も読み、過去のビデオを見たり、果てはうちの大学に公演に来ていたので聞きに行ったりもした。

僕の若年問題への関心は、この人の影響もある。この人が扱ってたのは主に未成年の問題だけど。

 

大学の公演で面白かったのは、この人が珍しく自分の過去を語っていた事だった。

あまり扱われることのないテーマだったので、知らない人もいるかもしれない。確かこの人は根っからの左翼だった。筑紫哲也とか、その他学生運動の中心人物だった人たちとも親交があったと言っていた。

若い時はドイツの大学に入るために洋行していたとか、そんな話もしていて、外国語が得意で、3ヶ月もあればだいたいマスターできると言っていた。今ではあまり伺えない姿に思えるけど、かなりの国際人だ。

公演では締めくくりのように、自分はたくさんの子供を殺したと言っていた。救えなかった子供、見殺しにした子どもたち、皆自分が殺したのと同じだと言ってた。

テレビを見たことがある人や、公演を聞いたことがある人は知っていると思うけれど、壮絶な内容だった。

この人の子供に対する考え方や、対応の仕方も年々変わっていったように思う。そのあたりは著作の内容でも移り変わりを伺える。

今は殆ど知らない。何年も前からガンにかかっていて、余命はとうに越えているそうだけど、今でも活動されているようだ。

この人のようになりたいと思った大学生の自分と、この人のようにはなれないとわかった自分がいた。 

公式サイト

夜回り先生(1)

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