月末に一時帰国する

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photo by JonathanCohen

今月末、少しの間だけ実家に帰る。今まで旅行先から日本に帰る時というのは、ある種の喜びがあった。一週間か10日かそこらの旅から、住み慣れた、勝手知ったる土地に帰るとき、関空のベンチで荷物の入れ替えをする時、地元に着いても家に直行せずでかいバックパックを背負ったままラーメン屋に寄ったりなど、帰国の実感を満喫していた。多分、今回はそんなもんではない。

僕は5年以上一人暮らしをしていたが、親が心配で月に一度は実家に帰っていた。これは隣の大阪に住んでいたことや、名古屋にいた時も関西に出張があったりして帰りやすかったというのが大きい。普通はそう頻繁に実家に帰らないだろう。
今はトロントなので、往復14、5万する。そうそう帰るわけにはいかない。帰っていないのはたった半年だけど、それだけ実家に帰らなかったことさえも今までにはない。そして今回帰った後2年は帰らない予定となっている。

この半年間というのは実に特殊であった。当たり前だけど街を見渡せばみんな外国人で、最初の数日は旅行気分だったけれど、時間が経つに連れて今まで歩んできた人生とは全くつながりのない、かけ離れたものになった。それは言語であるとか、友達とかコミュニケーションとか街や仕事やそういうことではなく、常識の崩壊、認識の改訂、まさに新世界を生きていた。僕はもともとそういう世界にいた人間ではない。外国人の友人が多いとか、英語を話せるとか、どちらかというとそういうのに興味がなく疎い方だった。留学などもしたことがない。会社員になって初めて一人海外旅行をしたぐらいだ。本当のところ、その態度は今も変わっていない。僕は外向きの人間ではないし、日本のワーキングホリデーエージェントに集まっていたような外人カッコいい英会話大好き女子みたいなのとは根本的に異なる。今この場所にいても中身は変わっていない。

今後もこれまでと異なる環境に身を置いていければと思う。僕は子供の頃からずっと変化に適応するのが苦手だ。物覚えも悪く、新しい環境に馴染むことができない不器用な人間だったりする。ましてや自分という人間が凝り固まっているため、自分を変えることができない。だから環境を変える。環境を変化させるのではなく、違う環境に身を置く。これからの2年は更なる修行の旅になればいいなあと思う。自分を変えるためではなく、自己をより追求し、研ぎ澄ますために。