海外長期旅行についてあれこれ

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photo by pedrosimoes7

若い人が海外へ長期渡航しようと思う場合、「留学」もしくは「世界一周」のどちらかになるのではないだろうか。中には職業的な修行のためとか、もしくは僕みたいにただ「外国に住んでみたかった」という人もいるだろう(ワーキングホリデーに関しては思いの外その数字が多かった)。

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全体を大まかにわけると留学か世界一周に分かれる。それぐらい世界一周も多いし留学はそれ以上に多い。普通に日本で生活していればそういう人たちに接することが無いからわからないけれど、まあいるいる。留学に関しては言われなくても多そうだが、世界一周のブログをやっている人とか、実はめっちゃいる。

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世界一周

世界一周を志す人は、モラトリアムだか世界をこの目で見てみたいとか、話題作りのチャレンジだったりいろいろ理由があるだろう。僕はやってないからわからないけれど、飛行機を多用した世界一周というのは結構簡単だったりする。乗って回るだけでいいんだからある程度スケジュールも決まっており、意外とお金も時間もかからない。その手の世界一周指南書みたいなのが山ほど出ているから詳しく見てもらえれば参考になると思う。

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飛行機を利用しない、もしくは一部しか利用しない世界一周となると、完全に旅になる。予定や行き先も決めず、日本を出発してぐるっと回り日本に帰ってくることだけを目指す。船やバス、電車やヒッチハイクを乗り継いでガイドブック片手にゲストハウスを転々とする世界一周旅行というのはかなり過酷だ。最近と言っても2、3年前だけど流行っているのは自転車を使った世界一周で、これはさらに過酷だと思うけれどなぜか挑戦が後を絶たない。

世界一周に関しては、お金と時間とやる気があればできる。飛行機を用いた格安世界一周や自転車を別にすると、だいたい1日1万円の計算で半年から1年かければ世界一周は可能だということだ。ルートによって大まかに変化はするが。

何を隠そう、僕も初めは世界一周に憧れていた。年に何度も旅行するようになり、いつか1年ぐらいかけて世界を周りたいと思っていた。しかしあまりにもそのチャレンジャーの数の多いことと、金の不安があったことと、旅行して「もっと長くいたい」と思ったことが大きく、一箇所に長期滞在したいと思う方になった。当時は本当にこのやすやすさんのポッドキャストをよく聞いていた。

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留学生について

留学を選ぶ人というのはまた全然方向性が違う。大学生の間に試みる、目的のない留学というのは殆どの人が就職に向けて英語習得を目的としている。中には英語を本当に身につけたい、仕事にしたいという人もいるだろう。そして中にはただ箔をつけるためだけに海外留学をしている人もいる。研究や学問的な必要性があってする人は、全体の半分もいないんじゃないだろうか。大学生なら、アメリカかどっかに提携している大学があったり交換留学制度がある中で、行き先の大学や国を選ぶ。学ぶ環境としてはこれがベストなのかもしれない。向こうへ行っても普通に大学に通うことになるので語学に集中することはないだろうけれど、どこの国であれ大学という環境において学習するのは理想的な場であると僕は勝手に思っている。

ただ、留学はお金がかかる。期間と学費のことを考えると世界一周よりかかるんじゃないだろうか。大学の留学となると基本は1年かそれ以上、生活費と学費でかなり費やすことになると思う。世界一周は移動費と宿代が主な出費になり、しかも大半を先進国以外で過ごすことになるため、物価が安い分そんなにかからない。

そしてワーキングホリデー

世界一周する決意はなく、留学したいけれどお金が足りなかったり、大学生じゃないから交換留学制度が使えない人や、学校が好きじゃなくてもっと気ままに過ごしたいという人がワーキングホリデーを利用する。日本人のワーキングホリデー制度利用者は大抵が大学生だ。(これは統計等を探したけれど出てこなかった。現地の体感と印象でしかない。)ワーキングホリデーという手段を選ぶことになる理由は当然ながら「就労できるから」という部分になる。就労許可がついてくるため、現地でアルバイトをしながら生活、滞在、もしくは就学も可能だ。予算をそれほど多く取らなくていい。留学生でもできる仕事はあるが、大学から許可されたアルバイト先や期間など、かなり限定される。ワーキングホリデーだと採用さえされれば一応どこでも働ける。同時に金さえ払えば語学学校へ通うことだってできる。滞在許可も1年とそこそこ長い。

一般的には、ワーキングホリデーを利用しても1年遊んで帰ってきて終わるだけ、と言われている。日本のピリピリした気分から逃れて旅行気分で外国人の友だちを作ったり派手に飲み歩いたりしながら1年過ごして何も残らなかったというケースだ。これが大学生にも僕みたいにドロップアウトした人間にも非常に多いらしい。人生の無駄を謳歌するという意味でいいか悪いかはその人の判断になってしまうけれど、日本社会的にはこれがあまりよくないことだと思われている。
日本以外の先進国だとギャップイヤーという言葉があり、世界一周旅行や放浪の旅、外国生活みたいなのはさして珍しいことではなかったりする。また、途上国では自分の国で稼ぐより給料が良かったり渡航中培った英語がステップアップのための必要不可欠な武器になったり、本気で移民を目指していたりする。中国や韓国では長男以外アメリカの大学に通ったり高校の時から先進国に留学したりして、自国に残らないケースというのが昔から多いようだ。ニューヨークでミシガンの大学に通う中国人と話をしていた時に

「うちの大学には日本人なんてほとんど見たことないが、なぜなんだ?中国では次男やそれ以下はアメリカの大学にやられることがかなり一般的なんだが日本ではなぜそれがない?」
という風なことを聞かれた。

「日本では英語を使わないし、外国の学歴なんかも使えないから、わざわざ大金をはたいて子供をアメリカにやったりはしないんだよ。日本は日本国内のマーケットで成り立っている部分が大きいからね」
僕はそんな感じのことを答えた。

とにかくワーキングホリデーという手段はお金もかからず、自由で敷居が低い、失敗もし易い手段として広く利用されているのだ。

ワーキングホリデーでどこへ?

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photo by stoofstraat

ワーキングホリデーではほとんどの人がオーストラリアに行く。実はワーキングホリデーで行ける国というのは少ない。中でもほとんどが英語学習を目的としているため、オーストラリア、イギリス、カナダが三強となっている。イギリスは年間で1000人ぐらいしか受け入れしておらず、一瞬で定員オーバーの締め切りとなる。イギリスは2年の滞在許可が出ることもあり人気としてはこちらのほうが高いものの、募集が少ないため行く人の絶対数が少ない。

オーストラリアが人気な理由は何よりもその快適な気候と、日本から近いということ、景気がいいこと、あとオーストラリア自体がワーキングホリデー先進国であるという理由がある。オーストラリアは労働力不足解消のために国を上げて積極的に外国人季節労働者を利用してきたそうだ。そこに当てはめられたのがワーキングホリデーで来ている人たち。特に農場などでの季節労働者を雇うことが多いらしいが、工場労働者もワーキングホリデーの外国人雇用が多いと聞いた。つまり、短期で外国人を雇う環境というのが古くから整備されていて、雇う側としても雇われる側としても非常に効率がいいのだ。そういう人たちへ仕事を斡旋するインフラや、外国人労働者が宿泊するための家、ドミトリー施設なんかも数多い。もちろん語学学校なんかも多い。
「ちょっと1年ぐらい海外でぶらぶらしたいけどお金ないな」っていう時に「うちなら仕事も住むところも行き届いてますよ。まさにあなたにうってつけ」というのがオーストラリアだ。僕はオーストラリアに観光でしか行ったことがないので聞いた話でしかないが。

ワーキングホリデーでカナダ 

では、そんな中なぜカナダを選ぶ人がいるのか。理由はいろいろあるだろう。暑い土地より寒い土地が好きとかウィンタースポーツが好きとか、オージー訛りではなくカナディアンアクセントを習得したいとか北米を旅行したいとか。その中でもほとんどの人がバンクーバーを目指す。バンクーバーは寒いカナダの中でも年間を通しての気温が大阪と同じぐらいで過ごしやすく、冬は雨が多いけれど住みやすい街として世界的に有名だからだ。僕がトロントを選んだ理由は何度も書いたが、僕は旅行が好きなため旅行しやすいのが理由となっている。バンクーバーから行ける場所というのはアラスカかアメリカ西海岸、手を広げて中南米となってくるけれど、トロントから大西洋をまたげば結構どこにでも行ける。
ワーキングホリデーという視点でカナダを見ると、学校は充実している。トロントに限って言えばサウジアラビアやトルコ、ブラジル、ベネズエラ、コロンビア、メキシコから英語を学びに来ている人が非常に多く、その需要を充分にまかなえるだけの学校施設がある。しかし仕事や住む場所についてはオーストラリアほど整備されていない。寒い土地柄のためか、オーストラリアで一般的なファームの仕事というのは聞いたことがない。日本人はほとんどが日本食屋でアルバイトすることになる。いわゆるジャパレスというやつだ。一部英語の秀でた人が現地人経営のカフェで働いたり事務職をやったりショップ店員をやったりしている。カナダは失業率も高い。確か8%とかそれぐらいだったと思う。カナダで働こうと思えばカナディアンを差し置いて、言葉のつたない外国人を雇用するだけの価値を向こうに提供しないといけない。それは個人的な特技であったり、日本人としての何かであったり。そういう意味でもカナダでカナディアンに混じって職を探すのは厳しいからジャパレスに落ち着いてしまうというわけだ。