嫌なことを思い出す

日常生活を営んでいると、日々嫌なことを思い出す。人生とはトラウマの積み重ねだ。人生に対して前向きになれない理由の一つでもある。生きることにより、日々悪夢を募らせている。自分の頭の中は「いついつどこどこの悪夢が」をぎっしり敷き詰めたライブラリーのようになっている。受付がおり、「こういうのをお探しでしょうか?」と頼んでもいない悪夢を日々引っ張り出してくる。迷惑で仕方ない。僕は嫌なことを生涯忘れることができない。いい思い出というのも確かにある。ただ、いい思い出というのはその瞬間のいい思い出でしかなく、それはもう過去の話であって今思い出したところで「あれは良い体験だった」などという歓喜を思い起こすことはできない。しかし、悪い記憶というのは違う。今その瞬間に起こった出来事かのように、気分は落ち込む。僕は毎日、その悪夢が引っ張りだされようとする度に、違うことを考えようと試みるが勢力差で負ける。
そしてそのライブラリーというのは日々増えていく。つい先日も一つ追加された。どうやって生きることに肯定的になることができようか。