外国で外国人について思うこと②

各国の人たちに自分の国をどう思っているのか聞いてみたいという願望がある。非常に難しい問題だけど、例えばベネズエラから来たタイロンという同い年ぐらいの男性に「そういえばチャベス死んだよね」みたいな事を言ったら「彼は色々と問題があった」と言っていた。自国民による自国の評価というのは、なかなか一筋縄ではいかない。

 

サウジの人は、サウド家が国を治める体制について好意的だった。世襲制ではあるが、カナディアンの先生がそれに対して「まあ民主主義もたくさんの問題を孕んでいるからどっちがいいとは言えないよね」みたいな苦し紛れのコメントをしていた。おめーらがいいならいいんじゃね、みたいな。現実として国が安定していればどっちでもいいんだろう。

リビアの人が何人かいるんだが、さすがにカダフィの事を聞けなかった。彼らの国は崩壊しているのか。多少そのような事を言っていたが、それでもカナダに来ているんだからそれなりに裕福な人なのだろう。そのうちの一人は自国のビジネスをしながらこっちでカレッジに通うそうだ。彼も同い年だ。語学学校へ1年ぐらい通っているみたいで、最初(今年の1月)は同じクラスだったのにびっくりするぐらい英語が上達していて羨ましかった。僕は6月で学校が終わったからそれ以降は下降している。退屈だとは言ってたが。

以前にも同じことを書いたが、韓国人に「日本のこと嫌いでしょ?」みたいな話をすると大抵「そんなことない、なんで?」みたいな反応が返ってくる。あと韓国では必ず豊臣秀吉の朝鮮出兵を習うみたいで、それも親の敵というか恨みの歴史として習うらしく、それは共通していた。その辺の歴史の真実みたいなのを追求している人はいない。彼らからすれば習った内容を疑う必要なんてない。それでも大体の人は日本人に好意的だった。

同様に、カナディアンの中でも南京大虐殺について知っている人はそのまま信じていた。「あれは誇張だよ」と言っても彼らからすればどちらでもいい話で、日本人がww2で中国にて虐殺をしたっていう印象だけが強く残っているみたいだ。rape of the Nanking とかの影響だろう。僕もその辺について研究したわけじゃないし伝聞でしか知らないから「真実はこうだよ」みたいなことを反論することもなかった。ただ「誇張」とだけ。

語学学校で自国の歴史上の偉人を紹介するみたいな時間があり、日本人で国際的に知られている人はそういないから(イチローとかしか)とりあえず僕は自分の意見として織田信長を「経済のルールを変えた人」として挙げたが、ベトナム人の青年は「みんなも知っていると思うが、ホーチミンだよ」みたいなことを言っていた。実際あのクラスでどれだけの人がホーチミンについて知っていたのだろう。仮に日本の教室でこの発言をしても、ホーチミンを知る人は2人か3人ぐらいじゃないだろうか。ホーチミンについて軽く知りたければ映像の世紀を見る事をおすすめする。 

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ブラジル人は、特にサンパウロの人は自分の国をやはり危険だと言っていた。「ファビエラがやばい」みたいな話はシティ・オブ・ゴッドを見た僕にとっても共通認識だった。トロントに来て、深夜女性が一人歩いても安全なことに驚いていた。それにしても彼らはなんであんなに陽気なのか全く謎だ。まあ、カナダに来れるだけの金を持っているからだろう。こっちに来ている人は自国で弁護士をやっている人や、歯科大の学生などだった。

シティ・オブ・ゴッド(字幕版)
 

他にもよく、自分の国を紹介する時間みたいなのがあった。キーノートを作ってスライドと共に説明するのだ。僕は日本の特徴を、独自性とそれを育んだ長い歴史だと思っているから、何を紹介するにあたっても「1000年前からあり」だの、その風変わりな様相の写真を大々的に見せたり、なんとか日本をアピールしようとしてた。「平安京は1200年前からいまだに平安京だが、パリはどうかな?」みたいな感じで。そんな事は言ってないが。(実際パリという名称は212年から用いられていたみたいで平安京より長い。ただそれを支配する領主は、日本とは違いころころ変わっている。)