底辺

経済的な話をすると、月収はとりあえず$1000(約10万円)、家賃が$250、生活費はトータルで$500ぐらい。収入はバイトから得ているが、これもいつなくなるかわからない。貯金は少しあるが日に日に減っていっている。去年の半分以下だ。年齢は30代、特別な技能はなく、才能はなく、コネも金もない。若さもない。未来もない。底辺だ。

 

自分は今こうやって外国に逃げてきているが、期限付きである。ふと、明日にでもこのまま日本に帰ったらどうなるのかと、真面目に考える時がある。仕事はないだろう。それでもどこかから収入を得なければ生きていけない。ワーキングホリデーから帰ってきた人の社会復帰をサポートするセミナーのようなものにでも出てみるか。かと言って僕はこっちで英語が上達したわけでもなく、TOEICなどのスコアを持っているわけでもない。外国で培った何かを武器に!みたいなことは成し得ない。だからあまり意味がないかもしれない。仮に今やっているようなバイトにありついたとしても、やっていけない自信がある。

以前から青年海外協力隊に行けばいいみたいなことを書いていたけれど、正直なところ僕はそういう有償ボランティア、海外支援みたいなのに興味があるわけではない。ボランティアなんか今まで一度もしたことがない。そのあたり本気な人からしたら圧倒的に情熱に欠ける。そういう人間が競争に勝てるとはあまり思えない。協力隊も基本は自分の能力(スキル)を活かして世界に役立てるという主旨だ。僕にはそんな能力がそもそも無い。

「お前会社を辞めてどうするんだ?」

以前の会社の役員に言われたことを覚えている。彼は自分の会社を心配すると同時に、少し僕の人生についても心配していた。どうにもならない、どうしようもないことがわかっていたからだ。それでも何かアイデアを持っているのか、ただなし崩し的にリタイアするのか、それを確かめたかったみたいだ。現実として、僕には何もなかった。それは日本にいるとか外国にいるとかはあまり関係がない。どこにいたって同じ。

イギリスのアンダークラスについてのブログ記事を読んでいた。自分はまさにこれだなあって思った。

僕は会社員としての真っ当な社会人生活が送れなかった。当時は酒と睡眠不足、食事不足、ストレスでボロボロだった。辞めたことを後悔こそしていないが、それで何かが解決するという類のものでもなかった。それが終わった後の今、僕の体は相変わらずボロボロだ。髪が長くホームレスのような風体で、中年だというのに顔も体も見るからに痩せ細り、先日鏡を見た際に「胸のあたりがなんか動いているな」と思ったら心臓だった。心臓の鼓動が可視化されている。脳細胞はストレスを緩和するための大量の酒と煙草と睡眠で、日々死に絶えている。金は確かに必要で、あるに越したことはないが、金を手にするだけで不安やストレスを解消できる人は羨ましい。会社員の頃は金はあった。でも金だけではどうにもならなかった。

自分はこの先、どうやって生きていくかなんて真面目に考えたことがない。むしろずっと、死ぬことしか考えていなかった。今こうやって、死が割りと近い、それも数年の間に迫ってくると、それは本当に目先の問題として対処しなければならなくなる。病は患っていないが、やはり経済とストレスを考えると自分の寿命は限られている。自分に許された時間は実に短い。今のところ僕はまだ死ねないから、なんとか死を逃れる方向で考えていかなければいけない。この僕を死に追いやる経済と、ストレスをなんとか間を取り持って、生きながらえる必要がある。どうやって?