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「 I wonder where the fish are coming from?
(この魚はどこから来るのだろう。)」

僕は彼女らに尋ねるわけでもなく、一人そうつぶやいた。

「デイアージュロップトフロムダスカイ!」

ええ、なんだって?空から落ちてきた?

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「Have you ever seen that?
(見たことあるの?)」

「ノー、ネヴァー。」

「They say that they didn't used to know where the fish were coming from, so the towns people thought they we're dropping form the sky. Of course they don’t believe this now, it was something like an old superstition. They thought that the fish were birthed from the mountain and dropped down into the sea from above, only to return to the mountain that they came from originally. Not all the fish journey to the sea, some stay in the river.
(ここではそういう風に言われているんだって。彼らも魚がどこから来たかわからないから、おそらく上から降ってきたのだろうって。今は誰も信じていないけれどね。迷信のようなもの。魚は山の方から来ているみたいだよ。そして海へと流れていき、また海から山へ戻っていくそうなの。ここには何種類もの魚がいて、全部がそうではないけれど。)」

「I wonder if I can catch them.
(捕まえられるかな。)」

「アイキャンドゥー!」

「You should try!
(試してみたら?)」

もしかしたらジョンは既に夕食の用意を始めているかもしれないが、僕が魚を捕まえることができれば、いくらか恩返しにもなるだろう。僕は川に足を浸け、少しずつ魚のいるあたりへと移動した。少し離れた場所でリミも同じように川の中へと入っていった。アンは後ろでしゃがみ、そんな二人を川岸から眺めている。

僕の足元には既に魚がいる。目の前、うしろ、足の間、いたるところを泳いでいる。これなら簡単だ。こんなに近くにたくさんいるんだったら、少なくとも一匹ぐらいはすぐに捕まえることができるだろう。

「アッガーリー!!」

リミは両手で魚を掴み、掲げている。魚は勢いよく尾びれを左右に揺らしながら今にも逃げようとしている。彼女はそのまま魚を岸へと放り投げた。魚は地面にぶつかり、のたうち回っている。それにしてもなんて早いんだ。僕も試みてみよう。

僕は水中に見える魚へ向けて手を突っ込んだ。瞬く間に周辺の魚は全ていなくなった。失敗だ。失敗どころか魚に触れてもいない。むしろ全部逃げてしまい、もうこの場所で魚をとることさえできないだろう。僕はゆっくり歩きながら魚がいる方へと移動した。鳥のように、勢いよく水に突っ込んで魚をとったほうがとりやすいかと思ったけれど、どうやら僕には無理みたいだ。僕はあらかじめ体を屈め、水中に手を浸けてから捕まえようとしてみる。魚はそこにいる。すいすいと泳いでいる。あとはこの手のひらで掴むだけなんだ。僕は一瞬だけ素早く動き魚を掴んだ。魚はすぐにすり抜けて逃げていった。手がぬめっとした。そりゃあ魚だからそうか。ぬるぬるだし逃げるよな。でもさっきよりはだいぶましだ。この調子だとそのうち捕まえられるだろう。

「ヤー!!ガリー!!」

「That’s amazing, Limmi!
(すごいねリミ!)」

リミは早くも二匹目を捕まえたようだ。なんたることだ。だんだんこうやって捕まえようとしている事自体が恥ずかしくなってきた。僕は再び水の中へ手を入れ、待ち構えた。魚はたくさんいる。さっきは掴めたんだ。捕らえられない方がおかしい。そうやって僕は何度も挑み続けた。その間にリミは3匹、4匹と捕まえていた。僕は結局ひとつも捕まえることができなかった。

その後僕らは川の中に石で囲いを作り、その中に捕まえた魚を放した。もう死にかかっていたため急いでそれをやった。死んでいる魚もいた。それはただ冷やすために川の中に入れておいたことになる。こんなことならすれ違ったおじさんのようにバケツを借りてくればよかった。囲いからは離れた場所で、僕らはまた川に入り、軽く泳いで遊んだりしていた。僕は初め泳ぐつもりなんてなかったのに、気づけばTシャツもハーフパンツもパンツもびしょ濡れになっていた。かなり早い段階で。

時間はどれぐらい経ったのだろう。2時間ぐらいだろうか。リミもやや遊び疲れた様子で静かにしている。谷を轟く鳥の鳴き声。ああ、これは合図だ。僕らは一斉に崖の上を見上げた。そこには子供と、もう一人大人が立っている。女性だろう。子供の母親だろうか。彼女らが合図をしたということは降りてくるということだ。これらのゴンドラは繋がっているから、二つ同時に上にあったり下にあることはない。彼女らが降りてくるためには今下にあるゴンドラのロックを外し、上に昇らせる必要がある。僕らは上の彼女らに手を振った。

「Is it about time to go back?
(そろそろ帰る?)」

「イェア!」

僕らは家へ戻ることにした。

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