キューバ旅行記最終日⑭「帰国まで」

前回の続き

最終日

しつこいけれど、日焼けが痛すぎて全然眠れなかった。朝7時半には朝食をとり、部屋に戻ると帰る支度を始めた。ホテルのチェックアウトは昼12時まで。帰りの送迎バスが来るのは夕方の17時半。僕は部屋でお金の計算をしたり、写真を取り込んだり旅行のメモを書いたりしていた。旅行の最終日になると、いつも何もする気がなくなる。かと言ってずっと部屋にもいられないから、僕は今まで行った場所をもう一度覚えておこうと思い、チェックアウトを済ませて外へ出た。時間は朝の9時半だった。

 

暑い中を歩き回る

外は昨日と同様暑かった。僕は日焼けが擦れるのを我慢しながらも、カメラとポーチを肩に提げて歩いた。旧市街をぶらぶらと歩き、暑さと疲れから時々木陰で休んだ。旧国会の方まで戻ってくると、アイスが売っていたので買った(1人民ペソ約5円)。

f:id:kkzy9:20150125171606p:plain

再びSalmonBolivar通りを西へと歩き、2ペソのマンゴージュースを飲み、5ペソのハムとマヨネーズを挟んだサンドウィッチを食べた。そして休憩を繰り返しながら、また旧市街へと戻ってきた。まだ昼の12時。

アイスを買うのに苦戦

公園のベンチに座り、休んでいた。日差しが強く、日焼けがひどく痛み体力を消耗していた。僕はまた違うアイス屋でアイスを買おうとした。手元にはもう2ペソと1/4CUCのコインしか残っていない。僕はアイス屋のおばあさんにクォーターのCUCコインを見せ、これで買えるかどうか聞きたかったが、全く伝わらない。お婆さんは5ペソ紙幣を見せ、これとクォーターのCUCは同じだという風に説明してくれるが、僕が聞きたかったのはそれでアイスが買えるのかどうかだった。値段は書いていない。

そこに現地の女の子が訪れた。同様にアイスを買おうとしているので僕は話しかけた。

「Excuse me, do you speak English?」

「Yes」

女の子が言うには、クォーターで買えるということだったので僕はコインをお婆さんに渡し、お婆さんはバニラのアイスをくれた。お婆さんは2ペソのお釣りをくれた。3ペソだったのか。僕はアイスを食べながらその2ペソをお礼として女の子に渡した。

「Thank you」

女の子は僕にお礼を言った。英語を話し、制服のような服を着ていたからよくできた子なのかもしれない。そうやって僕はアイスを買うことができた。助けられっぱなしだ。

ロビーで待つ

暑さと日焼けで、僕はもう動きたくなかった。時間は昼の2時で、送迎バスがくるまでまだかなり時間があったもののホテルのロビーに戻ることにした。ロビーは涼しく、電源が使えたから僕はMacを取り出し、また旅行のメモを取っていた。この旅行記の最初の方はそこで書いたものだ。この分量を書くのに僕はかなりの時間を要する。

そのまま送迎が来る夕方5時半まで書き続けた。時間になってもバスが来る様子はなかった。そして6時になった。僕は受付の女性に

「バスが来ないんだけど電話しくれないか」

と聞いた。どのみち飛行機が飛ぶまでは時間があったため、乗れない心配はなかったけれどバスが来ないようでは困る。

「バスはいつも30分ぐらい遅れるんですよ、あと5分経ってそれでも来なければ電話してみますね」

そして5分が経ち、彼女は電話してくれた。

「向かっているから大丈夫、安心して」

そう言われてもなあ、そういう問題じゃないんだよ。彼女が悪いわけではないから何も言わなかった。

別に遅れることは構わない。何かトラブルがあったのかもしれないし、他の乗客を待っていて遅くなったのかもしれない。渋滞に巻き込まれることもあるだろう。でも何時頃着くとか、あとどれぐらいかかるかとか、そういうことを聞きたかった。僕は着いたらすぐにバスに乗り込めるように待つしかない。Macを広げて、バス到着した時にまた片付けたりして僕のせいで更に数分送れるようなことはしたくない。結局バスは1時間以上遅れた。

安いツアー、高いツアー

彼らには段取りとかそういう発想が全くないのだろう。もし1時間遅れるなら初めから1時間遅れると言ってくれたら、その間僕はただロビーで待っているだけでなくその1時間を有効に使えた。日も落ちてきていたから残ったペソで買い物をしたり、最後の見納めでただ近くを散歩することだってできただろう。しかし彼らにそんな配慮はない。ただ1時間遅れる。これは安いツアーだから仕方がない。これがもし高いツアーであればそもそも遅れないだろうし、遅れるにあたってどれぐらい遅れるか、いつ頃には着くかぐらいのアナウンスはあるだろう。そうでなければ品質を保てない。厳密にいつ着くかなんてわからないにしても1時間遅れるなら30分は余裕ができたはずだ。しかし、安いツアーにそこを期待しても仕方ない。彼らは所詮低賃金で働いているのだ。

働く側が「1円でもお金を貰えば全力でプロの仕事をするべき」と言うのは理解できるというか、どうぞ好きにしてくださいと思うが、サービスの利用者側はそれを求めてはいけないと思う。所詮値段相応の仕事しかしないから安いんだ。それでいい。高いクオリティのサービスを求めるなら、それ相応の対価を支払うのが筋だ。値段も安くて質もいいなんていう都合のいいことを世の中に求めてはいけない。安いサービスを利用するのであれば、安かろう悪かろうを受け入れないといけない。それでもし飛行機に乗れなくなったりすれば代わりの便を用意してもらう必要はあるけれど。そしてこういう評価は表に出していかないといけないと思う。それがどの程度の品質かというのは、利用する側の事前の覚悟にもなるだろう。それでも格安を利用するかと言われたら、まあ利用するだろうから。

帰国

着いたのは、バスではなかった。6人乗りぐらいのワゴン車だ。僕はホテルの受付にグラシアスとお礼を言った。もうこの程度のスペイン語も当分使わないだろう。受付の女性は

「Ciao! Have a good flight!」

と快い挨拶で見送ってくれた。僕はホテルを出るとすぐ車に乗り込み、車は空港へ向けて出発した。これはトロントへ向かう飛行機のための送迎だから、社内ではネイティヴの英語が飛び交っていた。これ自体久しぶりの感覚だ。空港までは2時間ある。僕はうとうとしていた。隣に座っているカナディアンらしきおばさんも寝ていた。

空港に着くと僕はすぐ搭乗手続きをした。キューバの出国手続きは時間がかかるとどこかに書いてあったからすぐに列に並んだけれど、入国時よりも早く済んだ。バラデロ空港は何故か中国人で溢れかえっていた。僕は免税店でラッキーストライクをワンカートン買い、飛行機が来るまでの間またMacで旅行のメモを取っていた。

飛行機が着き、列に並ぶのは同じく中国人ばかりだった。飛行機の中も同じ。ここはどこだというぐらいに中国語の会話ばかり聞こえる。バラデロ→トロント間はたった3時間。僕は飛行機で寝れないから、その間をぼーっと過ごしていた。行きと同様に液晶も音楽もない。機内食はピザ。ビールをもらおうと思ったら有料だった。

終わり

キューバ旅行の要点だけまとめた日記もあります。本当にこの旅行記をまとめただけの内容となっておりますので、これを読んだ方は写真や内容が被ってしまいますが、もう一度見返すことがあればそちらもご参考ください。

この旅行記はパート①から段々と失速こそしたものの、パート⑭まで結局4万字近くに渡ってしまい、最初から最後まで読んで頂いた方は長々とご精読ありがとうございました。

※電子書籍にまとめました。タブレットやスマートフォンのKindleアプリで読めます。

記録キューバ旅行

記録キューバ旅行