3日目、スウェーデンの空港でデザイン性を見る

前回の続き

ストックホルム、アーランダ空港ではそこそこ快適に寝られた。多少暑かったり寒かった時間もあったものの手持ちの服で対応できる範囲であり、汗だくになるとか風邪をひきそうになるというほどのことはなかった。朝6時頃発の飛行機を予約したためかなり早く起きる必要がある。空港に着いたのはだいたい夕方5時だったけれど、僕は7時から12時ぐらいまで寝ていた。ぶっ続けで寝られたわけではないけれど、トロントからの夜行バスといいニューヨークからの飛行機といい2日間ほど全然寝られなかったおかげでかなり寝たほうだと思う。

 

アーランダ空港を出る準備

インフォメーションセンターで聞いた今寝ているこのシートはほぼ満席になっていた。後から空いている席を探してさまよう人たちも出てきたぐらいで、早めに座って寝てしまっていたのは運が良かったかもしれない。明日はフィンランド経由でポーランドのクラクフへと向かう。どうでもいいけどなんでこれクラクフって言うのが通っているのだろう。クラコヴァとかクラコワとか呼ばれている。何語基準だ。飛行機は朝6時20分発だから、3時ぐらいにチェックインして搭乗ゲートへ向かうことになるだろう。今から3時間ちょっとならすぐだと思い、空港の中をぶらぶらしたり日記を書いたりKindleでphaさんの「持たない幸福論」を読んだりしていた。今から本気で寝てしまうともう起きられない可能性があるため、寝てしまわないように注意していた。 

僕がfacebookでストックホルムの空港にチェックインなどしているとメッセージが来ていた。

「ストックホルムの空港は世界的に有名なデザイナーがデザインした内装やイス、照明などのインテリアが有名で家具好きはヨダレが出るぐらい行きたい場所だぞ」

そう言われて僕はいろいろ見て回った。Sky City自体がそもそもかっこよく、僕が寝ていたイスやその前にあった照明も言われてみれば北欧デザインだったのだろう。

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空港で飯を食う

睡眠はよくとれたものの、食事はろくにとっていないままだった。ノルウェジアン航空はLCCだから機内食を省いた。最後の食事はJFK空港に着いてすぐに食べたピザとコーラ。空港で7時間待って飛行機に乗っていたのがだいたい7時間ほど、到着してから空港で頭を抱えては寝てまた7時間、21時間は何も食べていない。その前の食事もさらに半日前にさかのぼり、トロントからニューヨークへ深夜バスで向かう途中のパーキングエリアで朝マックを食べただけ。普段はもうちょっとましな物を食べており、さすがに偏っているなあと思ってちょっとまともな食事をとりたくなった。しかし時間は深夜2時、空港の店もレストランも大抵は閉まっている。インフォメーションへ行った時にセブンイレブンの前を通ったなあと思ってセブンイレブンに行ってみるが、閉まっている。マクドナルドも閉まっている。唯一寝る前にアイスを食った店だけは開いていた。そこで買える食事はパン、キッシュ、ベーグル、サンドウィッチ、値段がだいたい小さいもので50クローネから大きいものだと120クローネぐらい。円に換算すると700円から1800円ぐらい。めちゃくちゃ高い。日本だと100円以下で売ってそうなパンが700円とかして、せいぜい800円ぐらいだろうってキッシュが1800円もする。この物価にはついていけない。これはよほど給料が良いか福祉が良くないと生きていけない。そりゃあ移民も増えるはずだ。しかしこれだけ物価がバカ高くても、今まともな食事をとっておかないと次の飛行機まで4時間近くあり、燃料切れになりそうだと思ったからキッシュを頼んだ。それは1500円ぐらいだったか、ここはレストランではなく売店みたいなところで当然作り置きを電子レンジで温めただけだ。ただ実際はサラダもついてきて思った以上に良かった。久しぶりのまともな食事だった。

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やることもなくウロウロする

飯も食ったところで夜中3時近くになっていた。3時間とちょっと前だったからそろそろ荷物を預けたり出国手続きが始まるかなと思い、Sky Cityを離れ飛行機が飛ぶターミナル2へと向かった。あっちの方には何もないから、なるべくSky Cityに留まっていたかったが、同時に荷物を早く預けてしまいたかったのもあった。ターミナル2はほぼ無人。深夜だしまだちょっと時間あるからこんなもんかーと思ってベンチの横に荷物を起き、貴重品を持ってまた少しブラブラしていた。空港から外へ出てみたり。外は8℃と寒かった。

空港で寝ていたりくつろいでいるスウェーデン人と何人かすれ違う。思ったのは、男性はパッと見ハルクホーガンみたいなゴツイ人が多い。バイキングはノルウェーだったけど、ハゲで金髪ヒゲのプロレスラーみたいな体格した人が多い印象だった。一方女性はというと、なんて言えばいいんだろう、ネットゲームのパッケージに描かれそうな女性が多い。本当に金髪碧眼ばかりで、カナダやアメリカ人みたいに太っている人というのもそんなにいない。このスカンジナビアンの金髪碧眼というのは、北米のいわゆるブロンドとはまた別物だった。

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空港も北欧家具

特にやることもなく荷物も置きっぱなしだからベンチに座り、チェックインカウンターが開くのを待っていた。搭乗2時間前になっても人一人現れない。日本だと「3時間前には空港に到着しておくように」というのが半ば常識みたいになっているが、これはやはり過剰なんだろうか。これから乗るのはフィンランド行きの飛行機で、乗っている時間もせいぜい1時間ぐらいだから、国内便みたいなもんなのだろう。結局受付が現れたのは搭乗1時間前ほど、他の乗客はまだ見かけない。僕はさっさと荷物を預け、出国手続きを済ませて搭乗ゲート前のベンチに座っていた。飛行機はもう来ているようだまだ、搭乗が始まる様子はない。ただ待っていても暇だから歩き回った。

空港の北欧家具は、ここで本領発揮した。これ、どう見ても空港の雰囲気じゃない。

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空港のイスや照明に、ここまで本気で取り組むとは。姿勢の違いを見て取れる。もしくはセンスの差か。スウェーデンと言えばIKEA、H&M,それ以外にも僕が持っている物だとKLATTERMUSEN、FJALL RAVEN、URBANEARS、いずれもデザイン性が優れている。そして空港でまで、その差を見せつけられてしまった。関空やJFK、ピアソンなんかとは明らかに趣向が違う。

飛行機に搭乗する

飛行機への搭乗は出発15分前から始まった。ギリギリ過ぎて日本とは差がありすぎる。僕は関西国際空港で、離陸1時間前に飯を食っていたため放送で呼び出されたことがある。出国の税関を抜けると前にフライトアテンダントが待機しており「急いでください!」と必死だった。関空は出国手続きからゲートまで遠いという理由もあるのだろうけど、それにしても過剰だ。しかし別のときには、出国手続きにやたらと時間がかかるおっさんにあたり、搭乗前の待ち時間が平気で1時間を越え、搭乗時刻に間に合わなかったこともあった。その時は幸い離陸が遅れていたので、飛行機には乗ることができた。両極端すぎる。

飛行機に搭乗する際「ヘイ。」と声をかけられた。このヘイはスウェディッシュの挨拶で、英語で言うところのハローみたいなもんらしい。空港内で質問した時やレストランでもそうやって声をかけられ、また空港に来ている人たち同士も「ヘイ。」と声を掛け合っている。英語のいわゆる「Hey!」とは違い、もっとイの音をしっかり発音していた。思えばこのスウェディッシュのヘイや英語のハロー!ハーイハワユー!みたいな気軽な挨拶って日本語にはないんじゃないか。「おっす!」とか「よう!」とあるけれど崩れすぎており、搭乗口でフライトアテンダントが使うことはできない。強いて言えば「おあざまーす!(おはようございます)」が近いだろうか。

次回、フィンランドの空港を乗り継ぎ、やっとポーランドへ