短編小説の集い「のべらっくす」第10回:感想編

読んでいて全体的に思ったのが、旅の話すくねえ。旅の序盤の話や旅に関連する話ではあったものの、旅をテーマに書いている作品というのがあまりなかった。投稿自体も少なかったように見えるから、もしかすると旅行や旅というのはあまり馴染みがない人が多いのだろうか。海外旅行の話を書いてたの俺だけ。あまり興味ないのかもしれない。旅自体に馴染みがなくても旅行の本とか面白いのがたくさんあるので勧めたい気持ちでいっぱいになる。

また、やたらとファンタジーが多い。ファンタジーが悪いとか嫌いとかいう話ではなく、こうも偏るもんかと思った。旅というテーマに苦戦したのかもしれない。もちろんそれぞれ舞台も時代設定も話も全然違うから楽しめる。旅という言葉も捉え方次第という考えは否定しない。いろんな形の旅があり、旅に関連した話があるだろう。ただド直球に旅を扱った話は2、3作しかなくて、旅好きの自分としてはもっと読みたかったというのが本音でした。

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感想

ところどころの描写がそこはかとなくうざい女性をよく表している。意識高い系ってこういう感じなのだろう。時々あるまつげや髪の描写とか急に挟まっていてアピール、PV、ライター、記事、書きたい、ああ、これ以上はネタバレになるから先に読んでもらったほうがいいと思います。 全部伏線でした。ちょっと予想していたけどやはり来た、でもそういう方向に持っていくとは。闇金ウシジマくんを読んでいる気分でした!!

これ願望?こうありたいと思いつつも、現実にはなかなかできない。それをふとした拍子でやっちゃった系。若手会社員のよくある心情を誰もが共感できるような形で表現されており、これ以上先を書くと真似する人が出てくる。彼はこれからどんな旅をするのだろう。そしてどれぐらい会社を休むのだろう。そのまま辞めてしまうのだろうか?この先にある景色も見てみたい。

最初その世界観がどんなものか戸惑ったけれどファンタジーだった。それでいて物語の内容はオーパーツっぽいものに関する話。ファンタジーとこの組み合わせは珍しいと思った。童話や昔話でマスターキートンを書いたらこんな感じになると思う。独特のほのぼのとした雰囲気も読んでいて気分が落ち着くものだった。

うえええそんな終わり方??と思ってしまった。リアル要素とSF要素を絡み合わせ、SF要素すらリアルの一部(あれは幻覚だったのだろうか?)に組み込まれている。でもあのタイムトラベラーの語り口は好きだなあ。ネットでは有名な2006年に京都であった認知症母殺害・心中未遂事件を思い出した。救いの神はどこにもいない。

これもまた童話みたいなファンタジーだった。少年が屋敷を探索する様子や少女がフードの下から声をかける様子がありありと頭に浮かぶ。夜通しの物語もそうだけど続きが気になる話だ。あとは少年の旅の目的であったり、過去が気になる。全体的に一冊の本のプロローグっぽい。

こちらもファンタジーそして国は日本か中国か、時代設定は昔の話かな。田舎に住んだことがある人ならこの村の雰囲気や他村との関わり、年配の人とのやりとりなどがより実感しやすいのではないかと思った。呪術というものが出てきて最近うしおととらを再読したからそういう絵面が浮かんだ。

小学生が夏に山を探検する物語。最初にインドかネパールの話やククリナイフが出てきてそのあたりの情景や人種を思い浮かべていたら、他の二人の弁当がおにぎりと小倉トーストで日本人だった。実は日本の山の話だったみたいだ。冒険の間に子供の夢や家庭での心情が挟まれるあたり、スタンド・バイ・ミーを思い起こさせる。

田舎の電車内でほのぼのとした雰囲気の話かと思いきや、怒涛の展開だった。書いたの人の最近の記事を見て「なるほど」と思ってしまった。過去には日本にもこのような姿が幾度もあったことだろう。そして近い将来、これが現実になるかもしれない。しかし日本以外の地においてこういった現実がずっと繰り返されている。平和と安定を求めて。

小学生の逃避行、悲しい話だったけれどこちらも「そこで終わり??」という幕切れだった。この弱り目に祟り目ではないけれど、行き当たりばったりで何もかもうまくいかない感というのは僕は個人的にすごく好きだ。現実を生きることの困難と理不尽が正直に描かれていると思う。

二人の少年少女の関係、お別れを描いた物語。金髪と書かれているけれど言動やりんご飴を買ったりする点は小学生っぽい。田舎の山奥の話でスマートフォンを持っている小学生なら金髪でもおかしくないか。そういった描かれている姿と物語の穏やかさにギャップがあって、それもポイントだと思う。

うーん、無職退職を取り扱った作品が多くて時代を感じます。帰省がテーマ。実家住まいを続けている人にはわからないだろう、この気持ち。特に田舎から都会へ出ていた人の多くは共感するのではないだろうか。月や星の描写があるあたり、山間だろうか。空気の澄み渡った土地を思い馳せます。

眼球??グロ話なのか目玉おやじ的に読めばいいのか。眼球とともに小旅行する少女の物語。物語や登場人物の背景というのは全く語られず、ただひたすらこの少女と眼球の旅の様子が描かれている。電車を乗り継いで夏の温泉宿、花火、日本の夏だなあ。でも少女と眼球。

旅がテーマのおすすめ本

青年は荒野をめざす (文春文庫)

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旅で眠りたい (新潮文庫)

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羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

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羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

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