Kindleではなく、タブレットで読む電子書籍

先日、アメリカでKindleの利用が減少傾向にあるという記事を見た。記事の内容はそれがメインではなく、そもそも電子書籍が低迷傾向にあるというものだった。

 

電子書籍の歴史というのは意外と古く、Kindleについては2007年の発売から8年経ったことになる。iPadが登場したのは2010年、それより3年前からあった。ここで言うKindleとは電子ペーパーディスプレイのKindle Paperwhiteを指し、Kindle Fire等のタブレット端末ではない。僕がKindleを購入したのは2012年であり、そこから3年近く使用していることになる。使ってみた感想というのは「Kindleは文庫の代わりにしかならない」ということだった。 Paperwhiteは白黒でしか表示されない。文字やコミックの表示については長けているものの、図形や写真の表示は苦手ときている。図形や写真を中心とした、例えば雑誌等の閲覧にはあまり向かないという印象だった。電子書籍市場は、Paperwhiteの得意分野となる文字やコミックが中心に展開されていくだろうと思っていた。

しかしiPadが登場して以来タブレット端末というカテゴリが一世を風靡し、周りを見渡せばKindle保持者よりもタブレット保持者を圧倒的に見かけるようになった。これは日本でも外国でも変わらない。Kindleはわずか8000円前後だけど本しか読めず、それよりは数万出して何でもできるタブレットが売れている。またスマートフォンの大型化も広がり、Kindleそのものを利用した電子書籍の閲覧よりもスマートフォン、タブレットを中心としたKindleアプリにより電子書籍の利用が増えたんじゃないだろうかと思う。このあたりは統計情報があるわけではないからわからないけれど、 Paperwhiteの保持者とタブレット端末及び5.5inch以上の大型スマートフォンの保持者を比較すると後者の方が圧倒的に多いだろう。そもそも電子書籍を買わないという人は確かに多いかもしれないが、今後の展開、電子書籍におけるマーケットの予想を考えると、 Paperwhiteにて読まれることよりもタブレット、もしくはスマートフォンで読まれることが前提になるのではないだろうか。今Kindleストアでは雑誌が数多く売られている。これらが Paperwhiteにて読まれているということは、僕にはちょっと考えにくい。マンガ雑誌はともかく、ファッション誌やパソコン雑誌、ビジネス誌などの写真が多用される雑誌は Paperwhiteにて読めたもんじゃないというのが僕の個人的な印象だ。

そもそも電子書籍=Kindle= Paperwhiteって発想自体が既に古いのかも知れない。iPadが登場して以来、電子書籍はもはやタブレット端末で読むものとなっており、それ以降電子書籍というものはタブレット端末で読むに適した形で発行されているのではないだろうか。僕は2013年に写真ばかりを集めた本をKindleダイレクトパブリッシングに出した。当時の僕の認識では電子書籍=Kindle= Paperwhiteであり、写真も白黒にして明るさも強くし、 Paperwhiteで見やすくなるように加工していた。これらの工夫はタブレットで閲覧されることを考えた場合、見やすさという面で返って妨げとなっている。当時は出版できる本の容量が50MBであり、僕が出した写真集も60枚ほどある写真の容量を削るのに苦労した。しかしそれが2014年から上限が650MBとなっており、大量のカラー写真を利用できるようになった。

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もう Paperwhiteで読むことを前提とした電子書籍は終わり、意識することは返って妨げになり、タブレットで読まれることを前提に考えた作りにしていくのが主流なのだろう。「これ、何かに似てるなあ」って思っていたらブログだった。ブログは、今となってはラップトップよりもスマートフォンで読まれることが圧倒的に多く、デザイン等も写真も文章もパソコンで見られることではなくスマートフォンで見られることを前提に書くのが市場の動向に適した対応と言える。

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