大人だって本を読んだら感想を書こう

書を読んで考えないのは食べて消化しないのと同じ。

エドマンド・バーク - Wikipedia

活字離れが騒がれる昨今(もう古いか)、かたやインターネットを見渡せば多くの書評家、読書家があふれている。身の回りで本を読む人は少ないかもしれないが、ネット上には「本を読む人はこんなにもいるのか!」という驚くべき実態が広がっている。しかし、これらは飽くまで本を読んだことを表明している数であり、もしくは読んだ本の感想なり書評が書かれた数で、表面化されていない読書量はその何倍にもあたる。感想なり書評が書かれたものなんてほんの一部にすぎない。

honto - あなたの読書時間、世の中と比べてみませんか?

確かに本は読むけれど、感想や書評なんて一度も書いたことがないという人もいるだろう。だったら書こうぜ!今回はそれだけの話。もうちょっと広げる。

 

読んだだけではもったいない

たくさんの本を読んでいても、それが身についているだろうか?いつも同じ系統の本を読み、同じ感想をいだき、行動できないうちに忘れ、また同じ系統の本を買って同じ感想をいだいたりしていないだろうか?それらの本は時代が変わり著者が変わり、視点や角度も変わっているかもしれないが、言ってることは大体同じだ。なぜこうも同じ本を手に取り、同じ感想をいだくのだろう。それはまさに、読んだ本が消化されていないからだ。せっかくお金を払い、長い時間と労力を費やして読んだ本。そこにはきっと、その費用や労力を補って余るほどの、目の覚めるようなことが書かれていたはずだ。それをやすやすと水に流してしまうなんて!もったいない!せっかく読んだのに!

ではどのようにして読んだ本を消化すればよいのか。ただ読むだけでは身につかないのか。繰り返し読むというのは一つの手段だ。繰り返した分だけ脳に定着し、手元に書がなくとも頭に入った知識なり知恵なりアイデアを日々の行動に活かすことができるだろう。しかし、同じ本を繰り返し読むのはめんどくさい、大変だ、何よりつまらない。よほど頭に入れておきたい内容でもなければ苦行に近い。そんな時間があるなら新しく別の本を読みたい。他に手段は?そうだ、感想を書こう!

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かのイケハヤ先生も習慣的に実践されている

「面白かった」で終わらせるのはもったいない

「読書は勉強ではない、エンターテインメントだ」と考える人も多くいらっしゃるだろう。楽しければそれでいい、そんな堅苦しいことをいちいちやってられないと感じるのは理解できる。でも実際は感想を書くことなんてそんなに難しくない。本を読んでいる時に思ったこと、感じたことをそのまま書けばいいだけだ。そしてこの作業が思いのほか楽しい。やってみればわかるって。自分の感情や考えたことを文章として形に残すというのは気持ちのいいことだし、書いてしまえば他人と共有することもできる。他人の感想と自分の感想を照らし合わせて比較することも可能だ。形にするだけで、ただ本を読んだだけよりも大きく世界が広がる。書き出すことで自分の感想が整理され、人と話す時にも本の中身や感想がすんなりと口から出てくる。つまり、落としこむ作業によってその本は自分の血や肉になっているのだ。

エンタメから感じることや学ぶことだってたくさんある。だから本当は本じゃなくてもいい。テレビでもマンガでもアニメでも映画でも音楽でも絵でもなんでもいい。アウトプットする喜びをわかち合おう。結果は後からついてくる。

感想の書き方

「そうは言っても、どうやって書けばいいかわからない」と思う人も最初はいるだろうから簡単に。書くことが思いつかなければ、まず強く印象に残った箇所、フレーズだけでも引用してみよう。僕の読書感想文を例に上げると、

「未来国家ブータン」を読んだ - Letter from Kyoto

官僚やビジネスマンはほとんど外国の大学で学位を取っている。開発よりも環境を優先し、世界で最もエコロジーが進んでいるというグローバリズム最先端の国家でもある。p28

この部分が引用で

この時点で牧歌的な幸福大国ブータンの印象は覆された。断然負けてるじゃないか日本!

というのが率直な感想だ。思ったことをそのまま書いただけ。実に簡単でしょ?つまんない、わからないという意見でもいい。反論でもいい。強く印象に残った部分について、思ったことを書く。それだけで十分感想として成り立つ。そういった各所の感想をつなげていけば、自分なりの考えや思ったことが自然に見えてくるようになるだろう。そのうち引用無しでも本全体の感想が書けるようになる。もっと単純に、他の人の感想をいろいろ読んで書き方を参考にするのもよい。自分だったらどう書くか、自分の読んだ本ならどう書けるだろうか、考えているうちに自然と文章はできあがる。

ネタバレについて

もう少し先の段階になると、これから読む人に向けておすすめの文章を書きたいのか、それとも既に読んだ人に向けて意見交換の文章を書きたいのか考えてから書くことになる。そこで注意したいのがネタバレだ。ネタバレとは通常、話の核心部分になることを事前に知らせてしまい、楽しみを奪う行為を指す。話のオチであったり、わかりやすいところだと推理モノの犯人を書いてしまうとか。猿の惑星のパッケージがネタバレの代表だと言われている。

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これから読む人に向けて書く場合はネタバレしないように注意したい。ただそれは本の中身に触れないという意味ではない。ある程度さわりの内容を書くことはネタバレとは言わない。むしろ本の中身に全く触れず書かれた文章なんて、読んでいない人からすれば何が書いてあるのかさっぱりわからない。ただ、本によってはそのネタバレのラインが非常に微妙なこともあるため、自信がなければ読んだ人向けの感想を書こう。読んだ人向けの感想であれば、ネタバレも何もない。全ての内容に触れてしまって構わない。注意するのは「読んだ人向けの感想である」ということを明示することぐらいだ。単純に「ネタバレあり」と書くだけでもいい。

子供だけじゃない、大人も読書感想文

小さい頃は読書感想文が苦手だった。夏休みも終わるが、子供の読書感想文について話題になったこともあった。我々大人には、書かなければいけない読書感想文はない。あんなに嫌だったことを大人になってまで、と思う必要はない。何故なら我々の読書感想文は文字数も決まっておらず、定型も求められず、添削されることもない。思ったことを自由に、ありのまま書けばいいんだ。どうしても形から入りたいという人は、読書感想文の書き方を読んでみるのも面白いだろう。楽しみながら感想を書くのだって、もしかするとそちらの方が近道かもしれない。

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