東京みたいに遊ぶところはないけれど

カナダにいたときは、トロントという街に住んでいた。カナダでは一番大きな街ということだったが、東京と比べれば非常に小さく、オーストラリアのシドニーのほうがまだ発展していたように思う。トロントで知り合った日本人も、東京出身の人たちはみな「何もなくてつまらない街」と評していた。

オーストラリアでは滞在の半分ほどをパースという街とその近郊で過ごした。パースはオーストラリアで4番目の街ということだったが、規模はかなり小さい。街が発展しているかどうかを見る基準として、地下鉄網の発達を見ることがあるけれどオーストラリアに地下鉄はない。路面電車かバスでカバーされている。メルボルンやパースなどの市街地では乗車無料の区間も広い。パースは住みやすい街だと言われてるが、その反面見るものは何もない。

海外は日本よりもっと進んでいると思っていたが、全然だった。特に東京なんかと比べたら、遊ぶところも店も物も情報も全然少ない。こっちの人たちはいったいどうやって遊んでいるのだろうと思っていた。街中ではカフェに入ったりバーで飲んだり、クラブへ行ったり、それだけ。アウトドアだとでっかい公園で寝そべったり海で泳いだり、スケートやローラーブレードは移動手段として普通に利用されており、壁や障害物のある公園もどこでもある。庭でバーベキュー、ホームパーティーも多い。どこかの家に集まって酒飲んで喋って、それだけ。日本と一番違うのは家で遊ぶ比率が高いことだろう。

ニューヨークなどの大都会、東京に優る大都市を除けばどこもそんな感じ、バー、クラブ、家、公園、飲んで喋って運動してそれだけ、単調だ。お金も全然使わない。あれ、じゃあ日本では一体何をしていたんだろう。僕らの世代だと学生の頃はカラオケ、ボーリング、ダーツなんていう屋内施設、ゲーセンもときどき行った。ライブに行ったりスポーツ観戦、映画や舞台、ミュージアムに行ったりイベントに参加、買い物、そんなところだろうか。消費してばかりだ。日本の都市は確かにそういうのが揃っている。レストランも掃いて捨てるほどある。東京から海外の小都市へ行くと、何もなくてつまらないと感じるのもわからなくはない。

東京には住んだことないし、そういうのが無くても別にいいんじゃないかと思う。人がいて集まって飲んで音楽を聞いて何かをしていれば、それだけでいいんじゃないか。日本に無いものも一つあった。

このSkrillexのSUMMITという曲に使われたビデオがすごく好きで、これはオーストラリアのパースで作られたものだ。こういう日常風景って日本ではあまり見かけなかった。