株式投資関連本ということで「バフェットの銘柄選択術」に引き続き、「バフェットの財務諸表を読む力」を読んだ。ファンダメンタル投資を行うにあたり、財務諸表が読めないと話にならない。しかしこの財務諸表の読み方を取り扱った本というのが、意外と少ない。経理目線や経営者目線で数字の読み方を書き表した「決算書の読み方」というような本は山ほどあるが、株式の購入を検討する人向けの財務諸表の見方を解説した本は、全然見かけなかった。たまたまブックオフに置いてなかっただけかもしれない。
「バフェットの財務諸表を読む力」を書いたのは前回同様メアリー・バフェットとデビッド・クラーク、共にバフェットの元で学んだ人たち。「銘柄選択術」が2002年に出た本で、「財務諸表を読む力」は2009年だから、リーマンショックを迎えやや新しい内容になっている。それでもバフェット流の根本的なところは変わらない。「銘柄選択術」ではバフェットが選択する市場独占型企業とは何か、その判断基準や見分け方などを解説していた。
今回の「財務諸表を読む力」でも同じく、永続的競争優位性を持つ企業を、財務諸表を手がかりに見つけ出す方法を述べている。財務諸表の各項目を拾い、具体的にどのような数字が該当していればバフェット銘柄として買い対象に挙げられるのか。58項目にわたり、理由なども含め一つ一つ細かく解説されている。例としていくつかの購入基準をここにまとめたい。理由や解説を読みたい人は、本書を購入してください。
損益計算書
粗利率 p53
粗利 / 売上 > 40%
< 20% はアウト
高粗利率→価格決定力がある
販売費及び一般管理費(SGA)率 p56
SGA / 粗利 = 低ければ低いほどいい
ただし長期一貫性がより重要 研究開発費も合わせて見る
減価償却費率 p66
減価償却費 / 粗利 < 10%
低ければいい低いほどいい
支払利息 p68
支払利息 / 営業利益 < 15%
同業他社とも比較
純利益 p81
純利益 / 売上 > 20%
ただし金融業は除く
EPS p83
10年単位の一貫した上昇
貸借対照表
現金及び短期投資 p99
7年間見る 多い方がいい 借入金と比較
棚卸資産 p101
急激な増減がないか見る
土地及び生産設備 p110
莫大な金額になっていないことが望ましい
長期借入金満期 p134
集中すると一時的に株価が下がる
長期借入金 p138
長期借入金 / 純利益 < 3〜4
3〜4年以内の純利益で完済できるかどうか
自己株式調整済み負債比率 p146
負債合計 / 純資産合計+自社株買い(自己株式のマイナス分をプラス計上) < 0.8
内部留保 p156
長期の一貫した上昇
キャッシュフロー計算書
資本的支出 p176
資本的支出 / 純利益 < 50%
長期的に純利益の50%以下 25%以下が理想
本自体が200ページほどの短いもので、その中に多数の表が出てくるためすぐに読み終わる。ただこの本は「読んでよし」というタイプのものではなく、財務諸表を読むたびに照らし合わせて見るための本だ。ここにまとめたのはざっくりとしたメモ程度でしかなく、バフェット流のバリュー投資を行いたい人は、各自一冊所有しておいたほうがいいんじゃないだろうか。