恋愛だと思っていたら違ったらしい

自分にはやはり、恋愛感情というものが備わっていなかったらしい。幼い頃から「恋愛とかよくわからん」と言い続けてきたが、欠落しているからわかるわけがなかったんだ。図で書いてこういうものだと説明を受ければ理解することはできる。でもその形を内側に落とし込むことはできない。セックスの説明を聞いても、体験するまで実感が無いのと同じ。

だとすれば、過去に自分が経験してきたことも恋愛と呼べたのかどうか、あやしくなってきた。

昨日話していたことで「恋愛とはこういうもの」みたいなことを聞いて、けっこう驚いた。なんて言ってたかな、恋愛っていうか、恋心?

友達じゃなくて、ちゃんと自分を男として見てドキドキして欲しいとか、そういう感情が特定の人にだけある、ってのが恋かと。

恋心とは、特定の相手にだけ抱く特別な感情、らしいです。根拠は?わからん。また、恋心と嫉妬心はセットだそうです。嫉妬心とは、相手にも自分への特別な感情を求める気持ち、だそうだ。みんな知ってるのか。

まるで中学生に対する授業のようだが、このコースではもともと"嫉妬心"についての講義を受けていた。"憧れ"はわかるが"嫉妬心"およびそれに狂った行動とはなんぞやという解説。それが全然理解できなくて、何故だろうと掘り下げていったら嫉妬心とセットになっている大元の恋心、恋愛感情が自分にはそもそも無いという結論に落ちついた。

自分にそういう感情がないのは、自分とそれ以外の他人の断絶が著しいため、混ざり合わないことから来ていた。自分は一人で、自分だけの世界を生きており、他人も同じ。それぞれの世界には入ってこれないし、入っていけない。現実には誰もが自分だけの世界を生きていて、実際に混ざりあうことはない。しかしその願望を抱き、互いに求め合うことが恋心のようだ。自分は断絶の意識が強く、混ざり合えるとも混ざり合いたいとも思わない。

恋愛感情が存在しないから嫉妬心も存在しない。僕の中では「悲しい」という感情が強くて、今までずっと「悲しむ」のが嫉妬心だと思っていた。しかし違うと言われた。嫉妬心とは「怒り」に近い感情らしい。

「自分の所有物を誰にも渡したくないって、子供が駄々こねる感じのが嫉妬のイメージですね」

「うーん、でも人は自分の所有物じゃないですよね、難しいな。本人に意思があるわけだし」

「それを頭では分かっていながら嫉妬してしまうんですよ」

「悲しさ」や「落ち込み」に振れることはあっても、「怒り」にはならない。怒り、妬み、僻みこそが嫉妬心の本質なのだと。だから会話で言うような I'm jealous とか I envy you はいわゆる嫉妬心にあたらないのではないか。

自分の場合、恋愛とか友情とか家族愛とかに区別がなくて、単に優先順位や親密度であったり、関係性の違いだけで、根底にある感情は同じ愛情みたいなものだと思っていた。でも他の人から言わすと、それらは全く別の感情だそうだ。