我々は虫と共存できるか?

都会に暮らす多くの大人がそうであるように、僕も虫が苦手です。よく「子供の頃はつかめた」なんて聞きますが、僕は子供の頃から虫は触れなかった。気持ち悪い。でもさすがに虫が出て大騒ぎするほどではない。家にゴキブリが出たら、見逃す前に殺してしまう。多くはゴキジェットのような殺虫スプレーで、なければ新聞や身近なもので潰す。そのままにしておくことが一番嫌で、もっと言えば知らない間に触れてしまったり、寝ている間に布団に入ってきたり、体の上を這っていたり、口に入ってきたりご飯に入っていたりすることだけはなんとか避けたい。見かけたら漏らさず殺すようにしている。抹殺。殲滅。

奥さんの実家に泊まると必ずゴキブリが出る。日本家屋で山が近いから、ゴキブリが出るのは当たり前らしい。だから奥さんの実家ではゴキブリを殺したりしない。無駄な殺生を避けていることもあるが、同時にいちいち殺していたらキリがないそうだ。僕がゴキブリを見つけると、奥さんのお兄さんなんかがわざわざ家の外に逃がしてくれたりしていた。人の家のことだから、そこのルールに従うようにしている。

オーストラリアにいたとき、よくゴキブリが出る家に住んでいたことがあった。他の人は誰も気にしていなかったようだが、僕はこの、部屋にいつゴキブリが湧くかわからない環境が耐えられなくて、一掃することを決意した。スーパーでよく効きそうな殺虫剤を買い、休みの日に駆除を始めた。そこは庭付きの一軒家だったんだけど、家の外縁に沿って、屋根と壁の接点に殺虫剤を撒き始めた。すると壁からワラワラとゴキブリが湧いてきて、ボタボタと地面へ落ちていった。一部は庭へ逃れようとしたが、途中で力尽きていた。目で確認しただけでも10数体、20体ほどのゴキブリを駆逐した。スプレー缶は新品をその日に使い切った。それ以降その家で、ゴキブリを見かけることはなくなった。

ゴキブリ以外の虫については、カメムシなどはちょっと困る。気持ち悪いし何よりクサい。クモもちょっと嫌かな。見つけたら駆除している。セミも困るが、室内に入ってくることは滅多にない。バッタとかそういうのは平気だ。アフリカに住んでいたとき、部屋の中でバッタやコオロギが飛び回っていた。トカゲも走り回っていた。アフリカの家では蚊帳を吊っていたから、寝る時の心配はあまりなかった。それでもゴキブリやクモが出たら駆除するようにしていた。この違いはなんだろう?やはり見た目だろうか。

日本の家で虫が湧いたら、さすがにバッタやコオロギでもなんとかするだろう。今はマンションだし、まずそういうことはあり得ないけれど。