猫とレコード

猫がレコードを聴くとか、レコードをかけていると猫が落ち着くといった話ではない。

今猫と暮らしているわけですが、今のように寒い時期になると、いやむしろ夏の暑い時期以外は、猫がベッドに上がってくる。おかげでベッドがかなり狭い。猫を飼ったことがなかったから知らなかったけれど、ベッドを買うときは+ハーフぐらい大きめを買ったほうがいい。猫を避けて寝るため変な体勢になったり、猫が上に乗っている状態で動くと起こしてしまうため、身動き取れない状態になる。長いこと寝袋でも寝てきたけれど、ベッドが狭くて不便と感じたのは初めてのことだった。

猫との生活も1年半が過ぎ、最近ではほとんど噛まれたり怒られたりしなくなった。僕のことは相変わらずエサ係ぐらいにしか思っていない。もしくは暖を取る暖房器具。猫を飼うことで不便なこととして、長期旅行などに出られないことがあった。しかしもう以前のような長期旅行に出ることはなくなったから、今となってはあまり弊害ではない。

猫かわいいとかっていうのは、そんなに。かわいいというか、そういう生き物だろうとは思う。かわいいって何だ。「90年代のこと」という本の中に、「"かわいい"は思考停止ワード」みたいな言葉が出てきて、僕もそう思った。なんでもかんでもかわいいって言うのは今に始まったことではないが、かわいいって言えば言うほど、何も言っていないに等しくなった。かわいいの一言で片付けるのは、なんだか残念というか、物足りない。猫はかわいいと思われたくてかわいい振る舞いをしているのだろうか?そうであればいいんだけど、他者の意に反して一方的に愛でるのは暴力に近い。

今年からレコードを買うようになった。最初は何を聴くか迷ったが、結局昔聞いていた音楽をレコードで聴きたいと思った。だからやっぱり今欲しいレコードとなると、What's going onとかサム・クックのライブとかになってくる。そういうベタベタな定番を聴きたい。他に昔よく聞いたのは、ダニー・ハサウェイとかカーティス・メイフィールドになるか。このあたりは全て、レコードの角がない音に合っていると思う。聴いていて疲れない音。値段はそんなに下がっていないけれど、だいたいどこでも売っているのを見かける。

これまでずっと、物を減らす生活を送ってきた。一箇所に定住していなかったこともあるし、物欲がおさまってきたことや、お金がなかったこともある。しかしここに来て、生活がほぼ固定化されてからレコードなんていう典型的なコレクターズアイテムを集めるようになった。今のところまだ少ないが、月に1枚しか買わなくてもあっという間に棚を埋め尽くす。ペース配分に慎重にならなければいけない。レコードはいざとなったら売れると言ったって、本と同じで価値のあるものしか売れない。まだ10枚もいってないから、あまり買わないように物欲を抑えよう。最近はGil Scott Heronを配信で聴いており、こちらもレコードでほしい。