物を買わないようにしたい

最近は物を買いすぎて困っている。生活に困るほど買い漁っているとか、置き場がなくて困っているわけではないんだけど、なんというか、物をたくさん買うことへの罪悪感がつのりにつのっている。例えば子供の頃、つぎつぎと新しいゲームソフトを買って親に怒られたような、あの感じ。せっかく買ったのに全然遊ばず(高かったのに)、新しいものが出たらまたすぐ買ってしまうやつ。浪費、無駄遣い、なんでもいい。そういう罪悪感が僕の体の中に充満している。

無駄遣いが一番ひどかったは20代前半で、会社員の頃だった。買っていたのは服、カバン、帽子、靴など。全然履かないまま今もまだ残っているものもある。だいたい10万単位で買いまくっていた。まあそういう時期って、誰しもあるんじゃないか。人それぞれタイミングと対象が違うだけで。

その後買い物はしなくなり、浪費対象は旅行へと向かった。旅行はまあ、そりゃあ普通に金がかかる。しかしそれでも、年に数回の長期休暇にしか日程が組めないわけで、行った先で散財するわけでもなく、旅行ばかりしていた頃は意外とお金が貯まった。お金がかからない旅行をしていたのも大きい。旅行にお金をかけるとそれなりの見返りを求めてしまうもので、トラブルやアクシデントが楽しめなくなる。タダ同然の旅行であれば、不手際さえ楽しい。

定職がなくなり、まさに旅行中心の生活になってからは、物を買うことが格段に減った。その当時は「物より、思い出」を地で行ってた。後には何も残らなかったが、自分にとっては本当に有意義だった。同じ浪費(消費)でも、物を買うより体験に使いたいと思っていた。単純に貧しくなったのと、引越しが多くて物を多く所有できなかったことも大きい。

そうやって物を買う生活は一度終了した。しかし最近になって、物を売るようになった。物にたくさん触れ、物の良さを再認識してしまうことで、とうとう再び物を買う生活に戻ってしまった。今しか買えないものを、投資と言い訳してまで買い、当分は全然売る気がない。今僕の身の回りは、物であふれかえっている。高額商品ではないがそれなりに価値があり、いいものばかり。決して浪費ではないが、それにしても買いすぎている。

やっかいなことに物を買う人の本を読んだことで、勢いを増している。その他にも「断捨離は悪」と言うような人たちをフォローしていたり、彼らは物を買いまくることを全肯定どころか推奨している。自分のかつての価値観と相反した影響を受け、戸惑っている。

「値段で迷うなら買ったほうがいい。安いから買っておこうはやめたほうがいい」というような言葉も出てきた。欲しいと思い始めたらきりがない。問題は、この感情をどう処理するのか。買うのか、買わないのか。最近は「買う」を選びがちだった。昨今の、旅行もできない・体験もできない、物を買うことでしか気持ちを昇華できない状況も、大いに影響している。