ふと思ったこと

とある本を読んでいて、誰かと誰かが一緒にドラッグをキメて以降親しくなった、という話があった。よくあることだと思う。僕も実際にあった。カナダでジェシーと仲良くなったきっかけはポットの共有だった。もっと一般的な話だと、お酒の席を共にしてから仲良くなったとか、喫煙ルームで一緒にタバコを吸うことで仲良くなるとかあると思う。さらにもっと一般的な話で、一緒に食事をすることで仲良くなるということなら、けっこう誰でも経験しているんじゃないか。

ドラッグでもお酒でもタバコでも、食事でも、やっていることは根本的に変わらない。参加者同士が互いに快感を共有する、という点でそれらの行為は共通している。フェスとかライブとか、一体感のある催しも同じ。より簡易で汎用性が高い手段が、食事やお酒となる。もっと言えば性交渉。これほど直結的に快感を共有する手段も他にない。

つまり、一緒に飲みに行きたいとか、一緒に食事したいと言って誘うのは、セックスしませんか?と誘うのと同義だと思うんですよね。ややライトなだけで、やっていることは根本的に変わらない、快楽の共有。違うのは段階だけ。ここまでだったら共有できるけど、この先はちょっと、となれば、食事はできるけどセックスはできないのは、付き合えるけど結婚はできないようなもの。程度の違いこそあれ、本質的には同じ。

普段は全く意識しないけれど、食事に誘うことは、飲みに誘うことは、セックスに誘っていることとあまり変わらない。手段は違えど、いずれも快楽の共有を提案している。飲み会の後で仲良くなるのは、セックスの後で仲良くなるのとどれだけ差があるのか。ジェシーは男性だったけれど、一緒にポットでstonedしてそれ以降仲良くなった。まあそういうことだろう。

僕はだいたいそういうのに抵抗がない人に好感をいだきやすい。つまり、快楽を得る刺激に対して抵抗のない人。だから飲酒、喫煙者大歓迎だった。飲酒喫煙の習慣がある人は、だいたいにおいて刺激快楽の摂取のハードルが低いと思っていた。好奇心が強く、刺激に対して前向きになれる人。ただまあ好き嫌いはあるから、お酒が苦手、タバコが苦手、セックスが苦手、それぞれあると思う。僕は食べることが苦手だから、太っている人や食べ放題が苦手だった。

反対に、無意味に保守的で消極的で抵抗の強い人は、めんどくさいと思っていた。ノリが悪いとかっていうのとはちょっと違う。なんかその、自らの足で踏み出す好奇心のない精神性とは、付き合うのがめんどくさい。きっと刺激や快楽に耐性がなく、その分恐怖心が強いのだろう。ビールが飲めなかったり、ブラックコーヒーが飲めなかったり、辛い食べ物が苦手だったり、刺激を楽しいと思えない人とは付き合いにくかった。

それも結局は程度や分野の違いで、エクストリームスポーツをやれと言われたら、あんまり乗り気になれない。バンジージャンプやスカイダイビングだって、機会があればきっと平気だけど、わざわざやろうとは思わない。SMとかも無理だし、音楽フェスも興味ない。海外バックパック旅行は平気。それが相性と呼ばれる部分なのか、きっと違う。

好き嫌い、苦手なことはそう主張すればいいだけで。僕の言う苦手な精神性というのは、ためらったり決断できなかったり、興味はあるけど踏み出せないような、好奇心に振り切れないじれったさにあるのだろう。いろんなファックをしてきたし、ファックと意識しないファックをしてきたんだと思う。断ればいいんだから。