今日の積読本⑤

積読になる経緯とは、目について購入したものの、今読んでいる本があるから後回しになり、そのらせんが連なり本のタワーと化す。その一端を担うのは、担いやすいジャンル、SF小説です。

なぜか。SF小説は手にとって読み始めるまでのハードルが高い。僕にとっては。なぜか。単純に頭を使うから。文章がすんなり頭に入ってこず、咀嚼して情景を思い浮かべるのに時間と労力がかかる。こういう手間というか苦労は、SFやファンタジーといった、現実から遠い作品ほど付随しやすい。

そしてグレッグ・イーガンです。僕は「ディアスポラ」しか読んだことがなく、めちゃくちゃ苦労した。中盤まで「は?何いってんの?は?」しか感想がなかった。書いてあることが全く頭に入ってこない。しかし読み進めるに従って次第にその世界に馴染み、なんとなくスラスラ読み進められるようになってくる。僕はこの現象を「物語の内側に入った」と呼ぶ。今思いついて初めて使った。

その内側に入るまでの道のりが遠いSF作品やファンタジー小説は、読みたいと思って買ってもなかなか手にとって開かない。これがアニメや映画だったら最初から映像が用意されていて目の中に飛び込んでくるからめちゃくちゃ楽。もうショーットカットはなはだしい。スターウォーズもブレードランナーも攻殻機動隊も好きで、本来そういう世界観は好きなはずなのだ。だからSF小説も、頭に入ってこればおもしろい。「ディアスポラ」に至っては、「これは絶対映像化できないやつ!」という感想をいだいた。小説でしか表現できないSFもある。

「祈りの海」について、予備知識ゼロです。どっかの古本屋で買った。古本屋でグレッグ・イーガンを見かけることは滅多になく、あればとりあえず買っている。