初心者向けの投資について、調べ尽くした

知人が知識ゼロから投資を始めたいと言っていたり、NISAが新しくなるとかなんやかんやで、最近の投資事情について情報収集していた。で、これ以上はもういいかなと思えてきた。

初心者向けの投資は、ある程度調べるとそれ以上はいらなくなってくる。それどころか、むしろ一定以上の情報は邪魔になってくる。基本的なことだけわかっていればいい。それ以上の情報を得ても、本当に有益なのか判断できず混乱する。さらに、よくわからない商品に手を出して失敗して損することもある。山崎元さんの言う「買い物が楽しい状態」は避けたい。

このあたりでもう十分かなと思ったので、自分が調べた範囲のことを記録しておく。僕的には2023年3月段階で有効な情報です。

どの証券会社がいいのか

今証券口座を開くとしたら、どこがいいのか。調べてみたら、楽天かSBIらしい。マネックスと合わせて3大ネット証券と言われるみたいだけど、マネックスはどこがよくないのか。手数料が高いとかアプリが使いにくいとかいろいろ書かれていた中で、自分にとってめんどくさいのは米国株の円貨決済ができないことかなー。

僕はずっとSBIを使っている。アプリは使えたもんじゃないし、Appストアの評価もめちゃくちゃ低い。だからパソコンのブラウザでしか開かない。今どきそんなサービスってあるのか。パソコンで見てもかなりわかりづらく、ややこしい。SBIの不満点はそのあたり。それで今回、楽天証券の口座を開いてみることにした。少なくともアプリの評価は高いから、初心者にはこちらの方が向いているのかもしれない。まだ使ってないけど。

手数料だったりシステムは、時間が経つと改善されることもある。証券会社を乗り換えるのはめんどくさいから、よほどのことがない限りやらない。ただ新規購入を別の証券会社で行うのは簡単だから、マルチアカウントは推奨されている。

新しいNISA

来年(2024年)から新しいNISAが始まる。知人もこのタイミングに合わせて投資を始めようと思っていたみたいだ。きっとそういう人が多いのだろう。新しいNISAは来年からだけど、証券口座は今のうちから用意しておいて損はない。今NISAの手続きをしておけば、来年には自動的に新NISAへ移行してくれるらしい *1 。2024年の1月に申し込みが殺到することはないと思うけど、システムの移行がありもしかしたら待たされるかもしれない。

新しいNISAについて一通り調べたが、かなり良い制度みたいだ。投資を始めるにあたって、これを使わない手はない。投資家ではない一般人にとってはむしろ、新NISAの範囲内だけで全て完結する。投資=新NISAと言ってもいいぐらい。

新しいNISAについての具体的な説明は、初心者にはきっと難しい。NISAというのは銀行で言うところの普通預金、定期預金みたいな口座のことで、新NISA口座という口座を持つことになる。その口座内で買った証券は、売るときに税金がかからない。通常は利益に対して20%の税金がかかるが、新NISAの口座で買っていればかからない。それがお得、お得だから投資を増やしましょうという制度がNISA。

新NISAは非課税だけど、その代わり購入金額に上限がある。つみたて枠は年120万円まで、それ以外は年240万円まで。さらに通年のトータル金額で、1800万円までという上限がある*2。富裕層や投資家は年360万もトータル1800万もらくらく越えてしまうが、それ以外の一般人が上限に達することはなかなかない。 NISAという制度自体が、そもそも一般人のために用意されたことがよくわかる。

新NISAについてはとりあえずこれぐらい。まず新NISAとは口座であること、そこで買えば税金がかからない、ただし上限*3がある、それだけ。詳しく知りたければ金融庁のページなり、YouTube動画で確認してください。

新しいNISA : 金融庁

何に投資すればいいのか

口座ができて、新NISAのことがわかったら、あとは買うだけ(来年以降だけど)。さて、初心者は一体何を買ったらいいのだろう?最近いろんな本を立ち読みしたり、YouTubeを見たりネット記事を見たりPodcastを聞いたりしたが、ほとんどの人が口を揃えて同じことを言っていた。何も結託しているわけではない。初心者向けの商品は、ある程度絞られている。

新NISAつみたて枠

まず、つみたて枠に関して。新NISAには年120万円のつみたて枠がある。そこで買える商品が、実は限られている。金融庁の説明を引用すると

手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっています

つみたてNISAの概要 : 金融庁 *4

ということで要は、政府が「悪質でない」とお墨付きを出した投資信託しか、NISAのつみたて枠では買えない。

つみたて枠は、初めから商品が限られている。それでも結構あって、その中で何が選ばれているか。一番よく目にしたのが、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)だった。手数料が安く、全世界に投資するためリスクが少ない。貯金感覚の積み立て投資にはもってこいで、実際売れているみたいだ。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | eMAXIS

他には、楽天VTIなど。楽天が販売しており、アメリカの投資会社ヴァンガードのETFであるVTIに、そのまま連動する商品。こちらは全米に投資している。

楽天・全米株式インデックス・ファンド | 投資信託・ETFのご案内 | 投資信託・ETFなら楽天投信投資顧問

このあたりの比較というか、理解も難しい。本を読んだり比較動画を見たりして、なんとなく判断するしかない。これらの具体的な違いは、全世界のほうが全米より範囲が広い分、リスクも少ない。その分リターンも少ないかもしれない。あとは信託手数料の違いがある(売買の手数料ではなく、毎年払う手数料)。

類する商品がたくさんあるから、あとは比較検討してお好みで。僕は多分来年から、eMAXIS Slim 全世界株式 をつみたて枠で買い始める。

新NISAつみたて枠以外

新NISAのつみたて枠以外は、成長枠と呼ばれている。成長枠はつみたて枠と違い、政府に選ばれた日本の投資信託以外も購入できるが、一部のハイリスクな商品は買えない。投資初心者はつみたてだけでいいと思う。実際に、つみたて枠だけ利用しようと思っている層も多いみたいだ。

【独自調査】新NISA「つみたて投資枠のみ利用予定」約4割。みんなの利用意向は? LIMOのInstagramアカウント・フォロワーに行った「新NISA」のアンケート | LIMO | くらしとお金の経済メディア

つみたて枠以外は蛇足だと思ってもいい。それでも仮につみたて枠で投資できないような銘柄を、成長枠で投資するとしたら、何がいいか?成長枠でしか投資できないような銘柄がいくつか出てきた。

例えばSPYD。SPYDは米国の株価指数S&P500から、配当金が高い80社のみを選んだ高配当ETF。直近の配当利回りは5%で、2016年から平均4.63%と高配当のまま安定している。信託手数料も0.07%と非常に安い。

値上がりよりも毎年の配当金がほしければ、SPYDのような選択肢もある。配当金とは利息のようなもの。例えば今の水準で100万円買えば、年に4万円もらえる。500万円買えば年20万円ぐらいもらえる。*5

SPYD 銘柄 - SPDR Portfolio S&P 500 High 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets

高配当よりも、安定的な値上がりを期待するのであれば、本家の全米株VTIやS&P500に連動するVOOを買うという手もある。厚切りジェイソンはVTIしか買っていない。VTIやVOOは日本の商品ではないから、つみたて枠では買えない。信託手数料はいずれも0.03%と非常に安い。配当金も1%ある。*6

VTI 銘柄 - バンガード・トータル・ストック・マーケットETF 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets

Voo 銘柄 - バンガードS&P500ETF 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets

SPYDもVTIもVOOも、楽天証券やSBI証券では買付手数料が無料になっている。SBI証券に至っては定期買付サービスを行っており、積み立てのように自動的に買い増ししていくこともできる。

買付手数料無料 海外ETF | 海外ETF | 外国株式・海外ETF | 楽天証券

SBI ETFセレクション|SBI証券

米国株式・ETF定期買付サービス|外国株式・海外ETF|SBI証券

新NISAつみたて枠以外の成長枠については、つみたて枠の年120万円を使い切ってまだ投資したい人か、もしくは日本の投資信託以外の、SPYDなどに投資したい人が使えばいい。

僕は成長枠でVTIに投資すると思う。奥さんにはSPYDを勧めるかな。

これ以上知っておくべきことある?

今僕が調べた範囲では、だいたいこのあたりに落ち着いた。これ以上は知らなくていいかな、というところ。もちろんもっと余力があったり、本格的に投資家デビューしたい人はこの限りではない。飽くまでも初心者、素人が日々の労力をかけずに来年から投資をするなら、このあたりが手堅いんじゃないか。

今挙げた内容や、これ以上もっと詳しく知りたい人のために、以下は参考になった。無料で読める。

ホンネの投資教室 | 楽天証券の投資情報メディア

関連

*1:旧NISA口座で買った銘柄は新NISAへ移管されず、期限終了まで同時並行になる

*2:つみたて枠以外は、1800万中の1200万円までという上限がある

*3:上限というのは購入金額の上限で、売るときに1億円になっていても同じく税金はかからない

*4:この説明は現行のつみたてNISAだけど、来年からの新NISAつみたて枠に引き継がれる

*5:新NISA口座で買っても、海外の配当金には海外の税金がかかる。アメリカは10%。新NISA口座以外だと日本の税金20%がかかるため、配当目当てでも新NISA口座で買うメリットは大きい

*6:楽天VTIなどの投資信託では、配当金は自動的に再投資される