日本の素人投資マネーが米国に流れている

最近NISAについて調べていると、国策としての「貯蓄から投資へ」で流れていってるお金の行き先が、S&P500だとかVTIだとかことごとく米国だった。オルカンの指標となるACWIも6割が米国で、(こちらは5%ほど日本も噛んでいるが)NISA絡みの投資本やネット記事を見ると、だいたいこの3つ、S&P500、VTI、ACWI連動商品が推奨銘柄とされている。実際に資金も集まっているようだ。

1兆円突破、日本人の「S&P500買い」が止まらない 一方で米国では株価が下落(1/3)〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)

「eMAXIS Slim 米国株S&P500」が残高2兆円を突破 - 資産運用・資産形成|QUICK Money World -

よく、日本の預金口座に眠っている貯蓄を市場に流すために、アメリカから命令されて始めたのがこの「貯蓄から投資へ」だとか言われる。それがまんまとお望み通りアメリカの金融市場に流れており、アメリカの時価総額アップに寄与している。利益を享受するアメリカ万々歳だね。

それがまあただの陰謀論などではなく、購入側からしても合理的選択なのだから仕方がない。長期的に見て浮き沈みの激しい日本市場に資産を任せるより、アメリカのインデックスに賭けるほうが手堅い。さらに米国市場は流通量も多く手数料も安いとなれば、なおさら選ばざるを得ない。

そのことについて、岸田首相ならびに金融庁から、日本の資産運用会社にお達しが出ているみたいだ。

資産運用会社、日本勢の規模・能力見劣り 首相改革指示 - 日本経済新聞

岸田文雄首相は26日、金融庁に運用会社の抜本的な改革を進めるよう指示した。内向きになりがちな運用会社の姿勢にしびれを切らした形だ。

日本の資産運用業界の問題点 - 銀行員のための教科書

しかしながら、銀行や証券会社など、わが国における運用商品・サービスを提供する金融機関(以下、「販売会社」という。)については、時として、販売手数料獲得を目的とした顧客本位ではない販売行動が見受けられる。

日本政府はNISAの整備をするなどして、国策として日本国民の貯蓄を株式市場に流してやってるのに、それらを全部アメリカに持っていかれるとは何事か!日本の資産運用会社、おまえらもっとちゃんとやれ!ということなのだろう。そして日本の資産運用会社の問題点がいくつも指摘されている。なかなか手厳しい。

その中身については、日本とアメリカの企業文化の違いからくる根深い差もあり、政府に言われたとておいそれと改善できないと思う。日本のマーケットに魅力がないのは日本経済の衰退具合から見ても明らかで、日本の運用会社が海外株も含めたファンドを作ろうとしても、S&P500、VTI、ACWI連動商品並みのものを生み出せるとは思えない。というか信託報酬が高い。

かろうじて、つみたてNISAは対象銘柄を日本のファンドに限定していた。だからつみたてNISAで米国インデックスを買うにしても、日本の運用会社に上乗せ手数料を払わなければいけなかった。おかげで0.数%は日本の企業にもお金が流れていた。

しかし最近見たら、iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(IVV)がつみたてNISA対象銘柄に追加されているではないか。

つみたてNISAの対象商品 : 金融庁

これなんかは経費率0.03%で、手数料の安さでは日本のどのファンドも到底太刀打ちできない。しかも中身は同じS&P 500に連動している(というかこちらが本家本元)。今後さらに外資系ファンドが直でつみたて枠対象になったら、日本のファンドはもう誰も見向きしなくなるのではないか。

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